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パキスタン緊急募金 第12報
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© UNICEF Pakistan/2009/Ramoneda |
全国一斉予防接種デーのこの日、パキスタンのラワルピンディーで5歳未満の全ての子どもたちにポリオ予防接種を行うため、各家を訪れる女性の予防接種スタッフたち。 |
モハメッド・サレエム医師は、経口ポリオワクチンが沢山入った小さなクーラーボックスを持ったボランティアの方々と一緒に、プンジャブ州のラワルピンディーにあるファンジコロニー通り周辺を歩いています。
今日は全国一斉のポリオ予防接種デーです。パキスタン全国で一斉に行われているこの予防接種キャンペーンは、ユニセフと世界保健機関(WHO)の支援のもと、パキスタン政府が実施しています。ボランティアの人々は、5歳未満の子どもたちの小さな指に、ペンで付けられた印があるかどうか確認しています。もし、その印がない場合は、まだワクチン接種を受けていないということなのです。
「私たちが直面している最も大きな問題は、“移動している”子どもたちにワクチンを届けるということです。」サレエム医師はこう説明します。
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パキスタン、スワートで続いた武力衝突によって避難を余儀なくされ、仮住まいをしているラワルピンディーで、経口ポリオワクチンを投与されるサナ・グルちゃん(2歳)。 |
サナ・グルちゃん(2歳)もそうした子どもの一人。彼女は、スワート渓谷にあるマラカバド村から避難してきました。サナちゃんは、パキスタン北西辺境州における政府と武力勢力との間でこの数ヵ月間続けられている武力衝突によって、住む場所を追われた200万人以上の人々の一人です。
他の大勢の人々と同様、サナちゃん一家は、長年にわたってパキスタン国外のみならず、隣国のアフガニスタンなどから多くの人々が移り住んできている、国内でも貧しい地域のひとつ、ラワルピンディーのファウジ・コロニーに避難してきました。ファウジ・コロニーに昔から住んでいる人々は、血縁であるか否かに関わらず、避難を強いられてきた人々に避難場所を提供し、わずかな蓄えや収入を分け与えています。
「サナが予防接種を受けたのは、ここに避難してきて初めてです。」母親のナジアさんは話します。ナジアさんは、故郷では、4人の子どもたちに常に予防接種を受けさせていました。
昨年一年間、スワートの多くの子どもたちが、定期的な予防接種を受けることが出来ませんでした。治安の悪化によって、保健スタッフの活動が妨げられ、予防接種キャンペーンが中止を余儀なくされたのです。
パキスタン西北部のアフガニスタンとの国境地帯にあるバジャウルとモーマンド地区でも、スワートと同様に治安が安定せず、保健活動が制限されていました。このため、最近、2件の新しいポリオの症例がバジャウルで確認されています。
パキスタンは、現在、世界でわずか4カ国になった、ポリオの流行が認められている国のひとつです。2008年には117件のポリオの症例が認められ、2007年にはそのほぼ4倍の症例が報告されています。ユニセフは、WHO、国際ロータリークラブ、米国疾病予防管理センターとともに5歳未満の子どもたちを対象にした予防接種キャンペーン=世界ポリオ根絶イニシアティブを展開し、この予防可能な疾患を根絶するべく活動しています。
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北西辺境州での武力紛争の影響で避難を余儀なくされた子どもたちに、ポリオのワクチンを投与することは必要不可欠です。多くの子どもたちは、故郷で起きた武力紛争のために予防接種を受けていませんでした。 |
「厳しい状況ではありますが、(今回のキャンペーンは)ワクチンを投与されていない子どもたちにワクチンを届け、以前から支援が届けられていなかった人々に保健サービスと情報を提供する良い機会を与えました。」ユニセフのメリッサ・コーカム広報官は話しました。
これまでに、主に北西辺境州から避難して来た72万3,000人の子どもたちに、ポリオのワクチンを投与しました。この地域の多くの世帯が避難を強いられていますが、パンジャブとシンドーでも同様に、避難を余儀なくされている状況です。
サナちゃん一家は、ファウジ・コロニーに留まっているスワートから避難を余儀なくされた数世帯のうちの一つ。政府が帰還を呼びかけ始めたことを受け、過去2週間の間に、多くの人々が帰還し始めています。
サナちゃんの家族の中にも、すぐに帰還するべく準備を始める人もいれば、スワートが安全であると確かめられるまでもう暫くラワルピンディーに留まることを決めた人もいました。
8月には、帰還した子どもたちのための保健サービスを再開するため、包括的な支援活動の一環としての予防接種キャンペーンも、スワートでも実施される予定です。一人でも多くの子どもたちに予防接種を実施するため、スワートまでの帰路の途中に設けられた中継地点にも、予防接種の臨時拠点が設定されています。
予防接種の対象ながら、何らかの理由で投与されなかった子どもたちには、この臨時拠点で予防接種を投与する計画です。サナちゃんは、故郷への帰り道、小さな指にペンで書かれた予防接種済みのマークを予防接種ボランティアに見せることになるでしょう。