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フィリピン台風緊急募金 第14報
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© UNICEF/NYHQ2013-1027/JEOFFREY MAITEM |
がれきが山積みになったタクロバンの路上で、子どもを抱く母親 (写真は今月12日時点) |
台風30号により最も甚大な被害を受けたタクロバンで、26日、はしかとポリオの予防接種キャンペーンが始まりました。この大規模なキャンペーンは、フィリピン政府が、ユニセフとWHO(世界保健機構)をはじめとする諸団体の支援を受け展開します。予防接種とあわせ、子どもたちには、感染症に対する免疫を向上させるビタミンAも投与も実施されます。
今回対象となるのは、3万人を超える子どもたち。各地の避難所や地域の中に設置された拠点での予防接種に加え、保健専門家のチームが様々な場所を訪問しながら、予防接種活動を行います。
この予防接種キャンペーンは、今回のタクロバンを皮切りに、5歳未満の子どもたちを対象に全ての被災地で展開されます。フィリピン政府保健省や現地の赤十字はじめ、多くのNGOから派遣されたボランティアを含む方々で編成された15チームが、タクロバン市内全域に散らばり、26日、予防接種活動をスタート。300家族以上が身を寄せ感染症のリスクが高まっていたサンノゼ小学校はじめ20か所の避難所にいる子どもたちが、この日、最初に予防接種を受けました。
タクロバンで支援活動にあたるユニセフのアンジェラ・カーニー緊急支援調整官は、「タクロバンの子どもたちは、今、可能な限りの保護を必要としています。感染症は、音も立てずに忍び寄る猛獣のようなものです。感染症を予防できる手段はあります。これからも、できる限りのことをしていきます」と話します。
フィリピン政府の要請を受け、ユニセフは、今回のキャンペーンに急遽“動員”したワクチンの国内備蓄分を補充するため、200万米ドル相当のワクチンを調達しました。また、これと並行し、WHOと協力しながら、コールドチェーン(ワクチンを適切な温度で保ちながら輸送する物流システム)の復旧を急いでいます。
「WHOとユニセフのスタッフが、マニラからタクロバンまで予防接種のために必要な物資を手荷物で運びました。このチームは、災害発生後の困難な状況の中でも、ワクチンを運搬し、予防接種を実施する訓練を受けています。これほどの規模の災害、被害状況、さらにはロジスティック(物流)面での困難な状況を考えると、災害発生後2週間ほどしかたっていないこの時期に、これほどの大規模な予防接種キャンペーンが開始できたことは、これまでに例がありません」と、WHOフィリピン事務所のジュリー・ホール代表は語ります。
今月20日、135万人の子どもたちが栄養不良の危機に直面していることが明らかにされたことも受け、この予防接種キャンペーンでは、接種を受けた子どもたちの二の腕の太さも計測。栄養不良で治療の必要がないかのチェックも行っています。