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財団法人日本ユニセフ協会
 



フィリピン台風緊急募金 第15報
「箱の中の学校」で教育再開

【2013年11月26日 タクロバン/マニラ発】

© UNICEF/NYHQ2013-1101/ADAM DEAN
一時的に身を寄せている避難所の一端で、ノートに絵を描く女の子

台風30号で被災した学校は7,000校以上。被災した多くの子どもたちが、学校に通えない状況が続いています。大きな災害を経験し、今も“日常”を奪われた環境の中に置かれている子どもたちは、みな一様に心にストレスや恐怖を抱えています。それが深い心の傷となる前に、一刻も早く心理社会的な支援(心のケア)を始めることが重要です。

ユニセフは、「箱の中の学校(スクール・イン・ア・ボックス)」と「レクリエーション・キット」を、台風30号によって被災したタクロバンとロハスの子どもたちに届けました。

学校は学びの場であるばかりでなく、子どもたちが安心して過ごせる場。それが例えちゃんとした教室がある建物でなくても、“学校”の再開は、子どもたちの“日常”を取り戻す第一歩です。

23日朝、セブ島に350セットの「箱の中の学校」が到着しました。「箱の中の学校」は、15,000人分(消耗品は3ヶ月分)の文房具や本、算数用の教材などが入った、緊急支援活動の中で使われるユニセフが開発した支援物資の一つです。この他、仮設の教室や子どものための安全な空間を設置するための大型テント99張と「レクリエーション・キット」も、抗生物質や虫下しなどの医薬品とともに到着。「レクリエーション・キット」には、6〜15歳の子どもたちを対象にしたサッカーボールやバレーボールのネット、フリスビー、縄跳びなど2万5,000人分の遊び道具やスポーツ用品が入っています。

“日常”を奪われた114万人の子どもたち

ユニセフは、就学前と就学期の子ども114万人がこの災害で被災したと推定しています。被災した子どもたちの心のケアのためにも、学校に通える、友達と遊べるといった“日常”を感じられる場をつくることは、重要です。台風で受けた精神的ショックを抱える何万人もの子どもたちの心の傷の多くは、学校活動という“日常”をとりもどすことで癒される可能性があります。

ユニセフは、この他にも、各地の避難所で『子どもにやさしい空間』を設置するなど、子どもたちが安心できる場所で、遊びや周囲の人々とのかかわりの中で心を開放できるよう、支援活動を進めています。

フィリピン教育省は、被災した地域の子どもたちが再び学校に戻れるようにするために、4段階に分けた計画を策定。第1段階では、子どもたちや教員、教育関係者に心のケアを提供するとともに、一時的な学習スペースを設置。校舎や施設が不十分な中でも、とにかく学習活動の再開を進めることに重点が置かれています。