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財団法人日本ユニセフ協会





ミャンマー サイクロン被害第29報
サイクロンの後に生まれた「子どもに優しい学校」

【2009年7月28日 ミャンマー発】

© UNICEF/2009/Thame
アイェ・ナンダールちゃん(11歳)も、新しい学校は快適で、授業も楽しいと話します。

アイェ・ナンダール・ウィンちゃんは、小学校5年生。ディディエ・タウンシップに再建されたシンク小学校で、毎日楽しく授業を受けています。

シンク小学校の以前の校舎は、2008年5月、ミャンマーのイラワジ(エーヤワディー)・デルタ地帯を襲ったサイクロン「ナルギス」によって破壊されました。

「私たちの村は深刻な被害を受けました。」ウ・チット村長は話します。「学校は吹き飛ばされ、350棟の家屋が破壊されました。サイクロンが過ぎ去ったあとに残ったのはわずか4棟でした。」

親たちが村を建て直している間も子どもたちが勉強を続けることができるように、ユニセフは、仮設の教室を設置し、全ての児童・生徒に学用品を提供しました。学習する環境は理想的なものではありませんでしたが、ダウ・フラ・フラ・ンウェ校長先生は、学校という『場所』と友人と交流できる時間が提供されたことで、子どもたちは、失った日常を少しでも取り戻すことができたと言います。

以前より、さらに良い学習環境を

© UNICEF/2009/Thame
真新しい校舎と校庭を持つシンク小学校には、サイクロンで校舎が倒壊する以前より、多くの子どもたちが通っています。

そして今、子どもたちも先生方も、ユニセフがミャンマーの教育省と連携して建設した新しい校舎で勉強しています。

「子どもたちにはすでに大きな変化が見られます。」ダウ・フラ・フラ・ンウェ校長先生は指摘します。「子どもたちはやる気が満ち溢れ、積極的に授業に参加しています。子どもたちはとても楽しそうです。」

「子どもに優しい学校」の考え方に従って再建されたシンク小学校には、明るく風通しの良い教室や、職員室、図書室、水道、トイレ、障害のある子どもたちのためのスロープ、大きな校庭が整備されています。学校は震度5の地震や強風にも耐えられるように設計されています。

また、洪水に備え、校舎は海面よりも高い場所に建てられました。

ユニセフは、この学校に、教科書と教員用の教材をはじめ、机や椅子など学校で必要な全ての資材を提供し、校庭には遊具も設置しました。また、質の高い教育を提供し、適切な学校の運営管理を確保し、地元のコミュニティの参加を促すために、教員や、学校当局、地元の人々にも研修の機会を提供しました。

「とても誇りに思います」

「以前の学校では、ひとつの教室に、4つの学年の子どもたちが集まって学習していましたので、教師たちは教えるのが大変でした。子どもたちはほかの学年の子どもたちが勉強するのが気になってなかなか集中できませんでした。」(ダウ・フラ・フラ・ンウェ校長先生)

今年の6月に新しい学校が始まってから、児童・生徒数は72人から136人と、約2倍に増えました。

「近隣の村の人々も、子どもたちをこの学校に通わせるようになりました。この学校が安全で良い場所だと認識しているのです。私は、このことを非常に誇りに思っています。この学校で子どもたちは安全に過ごしていますし、もしまた酷い嵐がやってきた時も、この学校が避難場所として機能します。」ダウ・フラ・フラ・ンウェ校長先生は話しました。

コミュニティのサポート

地元の村の人々は、サイクロンに襲われた直後から、学校の再建に協力してくれました。新しい校舎の建設が開始される前、人々はお金を出し合い、新しい校舎や校庭に合う大きな敷地を確保しました。みんな、学校を良い場所にしておく責任は、自分たちにあると思っているのです。

「毎日校庭をチェックして、問題があったらPTAに報告することを決めました。そして、修繕などが必要な場合は、PTAが責任を持ってそれにあたることを決めたのです。」(ダウ・フラ・フラ・ンウェ校長先生)

ウ・チット村長は、村人の力を信じています。「私も村人も、この学校を誇りに思っています。私たちが、必ずこの学校を守り続けますよ。」(ウ・チット村長)

ユニセフは、サイクロン「ナルギス」の被害を受けた5つのタウンシップで、合計46の学校を再建する予定です。