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ミャンマー サイクロン被害第30報
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■日 時: | 2009年7月15日(水) | |
■場 所: | 東京・港区高輪 ユニセフハウス | |
■報 告: | 國井 修 氏 ユニセフ・ミャンマー事務所 保健・栄養事業部長 |
2008年5月にミャンマーを襲い、甚大な被害をもたらしたサイクロン「ナルギス」。ユニセフでは災害発生直後から現地で緊急支援を行ってきました。昨年に引き続きユニセフ・ミャンマー事務所の保健・栄養事業部長國井修氏が、緊急支援後の復興支援について最新状況を報告しました。
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ユニセフは、子どもとお母さんに関わるあらゆる支援を行います。ユニセフは被災者の5〜8割に支援が行き渡るよう、自分たちの能力を最大限活かして支援しています。
■保健、医療、栄養
災害後ははしか(麻疹)が流行するため、すぐにはしかワクチン・キャンペーンを実施しました。これは12万人に対して行われ、早期に予防することができました。またBCGやポリオの予防接種や、マラリア対策のため、薬剤処理済み蚊帳も提供しました。
■教育
ミャンマーの教育は中央政府による管理が徹底されており、個別の支援が難しい分野でした。その中で「前より良くする(Built Back Better)」を目標に、再度サイクロンが起こっても被害を最小限に抑えられるような復興支援活動を行ってきました。
被災した2740の小学校の6割を早期に再開し、41万人の子どもに教育の場を提供しました。また精神社会的支援を行い、災害で親を失ったり辛い経験をしたりした、14万人の子どもたちのための心のケアも行いました。
© UNICEF |
■住居、食料以外の物資、水と衛生
サイクロンで家が倒壊したため、簡易シェルターを18万世帯に支給し、住む場所を提供しました。衣服や毛布などの生活必需品が入ったファミリーキットも、11万世帯へ配布しました。また、安全な飲料水を提供するため、溜め池の整備や、各家庭に対しての水がめの支給も行いました。
■子どもの保護
災害により家族と生き別れになった1,396人の子どもたちを、保護して家族を捜索しました。うち575人の子どもを家族と再会させることができました。また、援助ワーカーによる子どもの性的搾取を防ぐため、行動規範を徹底して指導しました。
© UNICEF |
緊急援助ではどの寄付をどの援助機関に回すかの調整が難しく、政府も調整ができません。そのためOCHA(国連人道問題調整部)が、国連機関やNGOなど各機関のまとめ役となっています。またIASC(機関常設委員会)を設け、各機関の活動を話し合い、支援分野毎にリーダー的役割をする機関を決め、その下で各機関が協力して支援活動を行っています。
今回ユニセフは10分野中、水・衛生、栄養、教育、保護、通信の5分野におけるリーダーとして、自らの支援活動に追加して調整業務を担当しました。
© UNICEF |
■「前より良くする(Built Back Better)」
再度災害が起こっても被害を最小限に抑えられるように、そして住民たち自身で地域を守れるように、更なる復旧・復興支援を継続して行っています。災害対策、水と衛生、居住、保健、栄養、教育、保護の分野で活動していきます。
■見過ごされた災害
サイクロン被災地以外への支援も重要です。ミャンマー内の90%の地域が、「慢性的な緊急状態」となっています。しかしそれらの地域はメディアに取り上げられることもなく、見過ごされがちになっています。そのため援助額が減少し、支援活動も遅れがちです。ユニセフは、サイクロン被災地以外への援助も継続・拡大して行っていきます。
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被災から1年が経ちました。最初は被害の規模も把握できない中で行われたユニセフの支援でしたが、現在はみなさまのご協力により復興支援が進んでおります。しかし國井氏が伝えるように、ミャンマーには被災地以外にも、長年に渡って援助を要する子どもが数多くいます。被災地の復興支援と共に、その子どもたちの支援も継続的に行っていく必要があるのです。
ミャンマーの子どもたちのために、引き続き、みなさまの温かいご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。