HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > パキスタン 2005/10/11
財団法人日本ユニセフ協会


パキスタン大地震
ユニセフの支援が本格始動

image1 国連児童基金(ユニセフ)の現地事務所も、地震により建物の一部が使えなくなり、外部との通信手段の一部に障害が出るなどの被害を受けましたが、地震発生1時間後には支援活動を開始。ペシャワールに備蓄していた緊急支援物資を被害が深刻だった北部の街マンセラに送り、政府・NGO等と協力して被災民の支援を実施しています。マンセラに送られた支援物資には:

  • 毛布17,000枚
  • 子ども用長靴570足
  • 子ども用セーター500着
  • 70リットル入り水タンク840個
  • シェルター用ビニールシート8,400メーター
等が含まれています。

一方、カラチからも以下をはじめとする支援物資が被災地域に向け発送されています。

  • 浄水剤300,000錠
  • 毛布10,000枚
  • 子ども用長靴1000足
  • 子ども用セーター12,000着
  • 高栄養価ビスケット375ケース
  • 10m3容量の仮設給水タンク15器
  • シェルター用ビニールシート20,000メーター
  • 石鹸7,000個
  • 水タンク5,200個
今後6-8週間の支援計画

ユニセフは、現在、他の国連機関等とともに被害状況の把握に努めています。今後、被害状況が明らかになり次第、世界中のユニセフ事務所より応援のスタッフを現地に向かわせる準備を整えました。また、これまでの緊急支援の経験から、医療、栄養、水と衛生、教育、子どもの保護の分野における当面の支援活動に必要な資金を2000万米ドル(約23億円)と見込んでいます。

1.医療・栄養分野(US$500万ドル)

子どもたちの多くは、食料や避難する場所も無いまま、冬の寒さや雨・雹(ひょう)に晒されています。また、病院や保健センターも崩壊し、特に元々保健サービスが貧弱だった辺境の各地では、怪我の治療も受けられないまま多くの子どもたちやその家族が取り残されています。被災者の避難所への過度の集中は、呼吸器感染症や水を媒介とする疾患、はしか等の伝染病の発生を誘発します。生き残った人たちがこうした2次災害で命の危険に晒されることがないようにするための支援が急がれます。また、特に女性や青年期にある女の子たちのニーズに注意する必要があります。

ユニセフは、当面、以下の支援を実施します。

  • 毛布、セーター、長靴、シェルター用ビニールシート等の配布
  • 高栄養価ビスケットの配布
  • 緊急支援用医療キット・医薬品の配布
  • 予防接種・ビタミンAの投与(必要が認められれた場合)
  • 医療・栄養支援活動の運営サポート(特に女性の医療スタッフの必要性と女性被災者のニーズに配慮)
ユニセフはWHOを初めとする他の支援機関と協力し、被災地の保健サービスの復興のために支援を開始します。ユニセフとWHOは既に被災地に派遣されたパキスタン政府の医療チームを支援し、仮設の医療施設の設置にも協力する予定です。

2.水と衛生(US$500万ドル)

地震により飲料水やトイレなどの衛生設備に被害が出ていることが予想されます。飲料水の不足により、安全でない飲料水に手を出さなければならない状況が生まれ、被災者の健康が危機に晒されます。また、トイレなどの衛生設備が不足することにより、赤痢をはじめとする特に子どもの命を危険に晒す伝染病等が発生することがあります。

ユニセフは、当面、以下の支援を実施します。

  • 浄水剤、水タンク、給水タンクの配布
  • 石鹸、被災地域の言葉で書かれた衛生教育用教材等の衛生関連資材の配布
  • 必要に応じた共同トイレ、給水ポイントの設置
ユニセフはまた、他の支援機関や現地政府と協力し、飲料水供給設備や衛生設備への被害調査を実施し、復興支援の計画を立案します。

3.教育(US$500万ドル)

これまでの経験から、ユニセフは、子どもたちを一日も早く学校に戻すことが非常に重要な「緊急支援」のひとつであると考えています。教育は子どもたちの「将来」「可能性」を作る基礎となるもので、一時でも中断されるべきものではありません。また、学校は子どもたちに「日常」を取り戻してくれる場所で、トラウマの被害の予防などにも有効です。

ユニセフは、当面、以下の支援を実施します。

  • 教育キット(スクール・イン・ア・ボックス)の配布
  • 仮設小学校用テントの配布
4.子どもの保護(US$250万ドル)

子どもたちの多くが心理的な被害を受けていることが予想されます。また、多くの場合、自分自身が不安で混乱している保護者からも、十分な心理的ケアが与えられません。恐ろしい体験や余震に怯え、ストレスやひきこもり、不眠などの状態に置かれます。子どもたちの長期的な健康を確保するためにも、心理的ケアのサポートが必要です。

また、混乱の中で保護者から引き離される子どもも少なくありません。混乱の中で搾取や虐待などの更なる被害に遭う可能性も高くなります。現時点でどれだけの子どもが保護者と離れ離れになったかは判っていませんが、そうした子どもたちに対する支援の準備を整える必要があります。

ユニセフは、当面、以下の支援を実施します。

  • おもちゃやゲーム等が入ったレクリエーションキットの配布
  • 子どもたちが安心し心理ケアを受けることができる「‘child-friendly’ spaces」の設置
  • 保護者との離別の予防。必要に応じ、身寄りを失った子どもの発見と保護。保護者の発見システムの確立。
  • 子どもたちの保護(虐待や搾取の危機)に関する地域住民の啓蒙
5.支援活動全体のサポート、被害状況調査、支援計画立案、人員・支援物資の輸送(US$250万ドル)

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◇ 募金のお願い ◇

 日本ユニセフ協会では、被災地域におけるユニセフ活動を支援するための募金を、下記の方法で受け付けています(当協会への募金は寄付金控除の対象となります)。皆様のご協力をお願い致します。