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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン地震 第16報

アン・ベネマン事務局長 パキスタンの地震被災地を視察
〜人道支援関係の国連機関トップで初めて〜

【ニューヨーク 2005年10月31日発】

ユニセフのアン・ベネマン事務局長は、10月8日に起きた地震による被害の状況を視察するため、パキスタンの北西部を訪問しています。人道支援に関わる国連のトップとしてこの地域を訪れるのは、ベネマン事務局長が初めてとなります。

「本日、私は、短時間ながら震源地を訪問いたしましたが、そこでは想像を超える規模の倒壊が起きており、人々の深い悲しみと辛さを感じ取ることができました。広大ながら、厳しい地形を擁するこの地に住む子どもたちに、今度の地震がどれほどの影響を与えたかを思うと、心臓が締め付けられる思いです」

より多くの資金が必要

ベネマン事務局長の被災地訪問は、パキスタン北西部の子どもたちが直面している危機を、世界に報せる重要な任務を担っています。「子どもも、その家族も、あまり長く待つことはできません」地震で大きな被害を受けたムザファラバードで記者会見したベネマン事務局長は、「被災した方々が生き延びられるよう、全力を挙げて支援を行わなければなりません。被災者が早急に必要としているのはシェルターと心のケアです」と述べました。同じようなメッセージがここ数週間、繰り返し発信されています。国連としてもより多くの支援金が届かない限り、第二の犠牲の波が訪れる可能性があると警告しています。

地震が起きて早3週間近く。遠隔地に住む、何千人もの子どもたちが直面している危機は未だに去っていません。ユニセフは、山の上の被災した村から、次から次へと降りてくる人々のニーズに応えるため、国際医療団体(IMC)、オックスファム(OXFAM)、難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界食料機関(WFP)と共に、飲み水、衛生、食料、シェルター、適切な保健ケアを提供しています。

緊急事態下での教育が第一優先に

これからは、教育制度の立て直しが急務となります。「子どもたちがひさしぶりに学校に戻る姿を目にすることができました。84人の女子学生と校長を含む6人の教師が命を落とした学校(ムザファラバードにあるナロレ地区の公立女子学校)を訪れて、学校が再開しているのを見て心を動かされました」とベネマン事務局長。「コミュニティが元の生活に戻るに連れ、こうした緊急事態下での教育が重要になってきます。これを促進して、子どもたちが本来持っている教育の権利の機会を失われないようにし、より良い生活を送り、より多くの機会を逸さないように守ってあげなければなりません」ユニセフは地震で被災した子どもたち14万人に、1,740セットの教育キットを提供しています。また、10万冊近いノートもパキスタンに届く予定になっています。

冬将軍がより多くの命を奪おうとしている!

ベネマン事務局長は、今回の視察で、より多くの人たちの関心がこの地域に向けられることを願っています。間もなく、ヒマラヤから容赦のない冬将軍がおりてきます。そうすると、何千もの子どもたちの命が新たな危険にさらされるのです。緊急に支援を行う必要があります。被災地を襲う新雪は、道路を寸断し、支援物資の行く手さえも阻んでしまいます。ユニセフのトップであるベネマン事務局長は、今まで以上にユニセフが支援に力を入れることを約束し、再度、世界からの温かい支援を求めました。

アン・ベネマン事務局長は、パキスタン医科学研究所の子ども病院を訪問。この病院には、約2000人の子どもが治療のために連れてこられ、内1500人が重症。頭のケガや複雑骨折が多いという。
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最近オープンしたムザファラバードのテント校では、教育キットを使っての授業が行われている。
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ムザファラバード近くのジャララバード・キャンプを訪問するベネマン事務局長。キャンプには、地震で家を失った人2500人が住んでいる(うち半数は子ども)。
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◇ 募金のお願い ◇

 日本ユニセフ協会では、被災地域におけるユニセフ活動を支援するための募金を、下記の方法で受け付けています(当協会への募金は寄付金控除の対象となります)。皆様のご協力をお願い致します。