パキスタン地震 第9報
ビスケットが子どもの命を繋ぐ!
ユニセフ、地震でアクセスが困難となった地域にヘリコプターで緊急支援を実施!
【2005年10月15日 バラコット発】
パキスタン地震で影響を受け、地震で道路が寸断され到達が困難となっている地域に、ヘリコプターによってユニセフからの援助が届けられました。
ユニセフの飛行機が、毛布や栄養ビスケットを積んで、週末までに5回、パキスタンに到着。更に合計10万枚近い毛布を乗せた飛行機が、来週以降7フライト予定されています。
パキスタン軍のヘリコプターを借りて行われている支援物資とユニセフ・スタッフの遠隔地へのピストン輸送では、高カロリービスケットも運ばれました。このビスケット一袋分で、子どもひとり3日間分の食料となります。また今回の輸送では、以前入ることができなかった村落での被害を、ユニセフの職員が調査することができました。
ユニセフの活動の焦点は、捜索や救助から、生存者への緊急支援の提供へと移っていますが、生存者への到達は困難なものとなっています。地震により道路が寸断され、山間地にある村落に近づくことができないからです。
物資は空路によって運ばれています。まずはカラチにあるユニセフの支援物資供給センターからペシャワ−ルに、そして今回甚大な被害を受けたマンセラの街まで運ばれます。その先の、アクセスが困難な地域へは、パキスタン軍のヘリコプターが、物資をピストン輸送しています。
ユニセフでは、すでに、生存者の為に、テント、毛布、防水シート、セーター、医療物資、飲料水用容器、高カロリー・ビスケットなどの緊急物資を提供しています。
「現在最も必要とされている援助は医療施設で使う医薬品と食糧です。食糧が不足すると、一番影響を受けるのは子ども(特に女の子)です。水の必要性も増すばかりですし、現在は天候が移りやすい時期なので、シェルターの問題がより深刻です。」とユニセフ・パキスタン保健担当官のタムール・ムイーヌアッディン博士は言います。
次の段階
冬が近づくにつれて、生存者への食糧とシェルターの提供がますます重大となります。
ユニセフは甚大な被害を受けた地域に更なる前線基地を開設し、政府と協力して『はしか』予防キャンペーンを行ったり、ムザファラバードに飲料水供給設備を設置する活動を支援したり、被災地における学校や教育環境の調査を行う予定です。
今回の地震で多くの学校が破壊されました。ユニセフの概算では、その数は8000にもなります。バラコット地域だけでも、数百人の生徒たちが、土曜日の早朝に起きた地震によって命を落としたと言われています。
まだ形が残っている学校がある一方で、瓦礫の山と化した学校もあります。バラコットからわずか4キロ離れた場所にあるコルミ小学校では、140人の児童が急いで避難した跡がはっきりと残っています。小さな靴が瓦礫の中に残され、教材がいたるところに散らばっているのです。
小学校4年生の女の子、ラレブちゃんが、学校がどのようにして無くなってしまったかを話してくれました。「壁が崩れてきた瞬間、先生が私たちに避難するように言ったんです。」
「今は、学校に行くのが怖い気もしますが、授業がないのはとても寂しいです。」とラレブちゃん。
ムイーヌ・アッディーン博士は、「多くの場所では、子どもや女性が最も地震の影響を受けています。地震があった時に屋内にいたためです。男性よりも多くの被害を受けているみたいです。もちろん全ての人が大きな被害を受けているのですが、病院から聞くところによると、おそらく女性や子どものほうが、男性よりもひどいケガを負っているようです。」と言います。
今、子どもたちには遊ぶところも勉強するところもありません。食糧援助が届き始めた現在、ユニセフの次の課題は、雨や雪をしのぐことができる適切なシェルターの提供です。既に、夜間の気温は摂氏0度にも達しているのです。
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