
世界マラリア・デー(4月25日):予防・治療可能な病気でいまだに年間80万人の命が
【2011年4月25日 ニューヨーク本部発】
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© UNICEF NYHQ2009-2543 Williams |
マラリア蚊に刺されぬよう、蚊帳の使用を呼びかけている壁画(コンゴ共和国) |
マラリアは、世界の子どもたちの命を奪う3大疾病のひとつです。マラリアに感染し、命を奪われる人の数は年間80万人にのぼります。うち90%はアフリカで起きています。アフリカでは、子どもの6人にひとりがマラリアに命を奪われています。
「世界マラリア・デーに限らず、そのほかの日も含め、年間約2,000人の子どもたちが、マラリア蚊に刺されてマラリアに感染し、亡くなっています」とユニセフのアンソニー・レーク事務局長。「死に至ることもあるこの病気と闘う有効な方法はすでに存在しています。それを使用して命を守ることが大切なのです」
マラリアは、予防可能であり、また治療可能な病気です。殺虫剤処理された蚊帳(ITN)の中で毎晩寝れば、マラリアによる子どもの死亡は全体として20%近くも削減できるのです。
それなのに、主にアフリカでは、このITN蚊帳を利用できないために、あるいは、症状が出てから24時間以内に治療を受けることができないために、多くの子どもたちの命が奪われています。症状が出てしまった子どもにとっては、治療が6時間遅れるだけで、命そのものにも関わってきてしまう病気なのです。
2004年から2010年の間に、マラリア感染の危険性がある国に、マラリアを防ぐための蚊帳が4億張(はり)送られました。うち、2億9,000万張は、2008年度以降送られた数です。この2億9,000万張という数値は、アフリカ全体で「蚊帳を必要」と申告している国のニーズの80%にあたる枚数です。
こうしたマラリア対策は大きな前進を見せています。世界的には、2000年から2009年の間に、マラリアによる世界の死亡数は、20%削減されました。その多くは、何千もの子どもたちの命で、それだけ多くの子どもたちの命が救われたことになります。
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© UNICEF/NYHQ2008-1232/Holt |
ユニセフの支援で配られている蚊帳の一例(コンゴ民主共和国) |
制度的にマラリア予防に力を入れた国々では、マラリア感染の症例数が少なくなり、保健施設の負担も減っています。エリトリア、マダガスカル、サントメプリンシペ、ザンビア、ザンジバル(タンザニア)などの感染危険国では、マラリアの確認された症例数、あるいはマラリアによる入院・死亡の数で、50%以上の削減をみています。
マラリア対策は、子どもの命を守るだけでなく、保健面、経済的な面でも、いろいろな恩恵をもたらしてくれます。例えば、マラリア感染の低減に成功すると、今まで保健センターにかかっていた過度の負担が減ります。マラリア感染の防止は、妊産婦の健康改善にもつながり、それにより、赤ん坊の健康にもつながります。また、マラリア感染の防止は、栄養不良による死も低減することができるのです。それは、栄養不良の上にマラリアに感染すると、免疫力の弱った子どもは死に至ることが多いからです。
「マラリアへの感染リスクにさらされたままの子、感染リスクから救われる子・・・この格差を放置してはなりません」とレーク事務局長。「殺虫剤処理された蚊帳、正確な診断、効果的な治療・・・どんな形であれ、マラリア感染の危険性がある子どもすべてに、保護とケアを提供すべきなのです」
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