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12月3日は国際障害者デー
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提供:テレビ静岡 |
「『戴いたトロフィーを持ってにっこり!息吹は拍手してくれました。』(テレビ静岡橋本さん談)」 |
12月3日は、国連が定めた「国際障害者デー」です。
この約1月前の11月2日、アジア太平洋放送連合(ABU)、アジアケーブル衛星放送協会(CASBAA)、ユニセフ(国連児童基金・UNICEF)が共催するアジア・太平洋「2011年子どもの権利賞」授賞式が香港で開催され、テレビ静岡が制作したドキュメンタリー番組『いおりといぶき〜私たちが生まれた意味〜』が、同賞を受賞しました。
2001年に設立された「子どもの権利賞」は、毎年、アジア太平洋地域で制作される子どもの権利に関する問題を取り扱ったテレビ番組の中から、最も優れた作品に授与されます。今年は、アジア太平洋諸国から50近くの候補作品が寄せられました。
このドキュメンタリーを制作した静岡テレビのディレクター、橋本真理子さんは、障害を持って生まれた唯織(いおり)さんと息吹(いぶき)さん姉弟を、11年にわたり取材し続けています。
全盲のお姉さんの唯織さんは、「自分はなぜ目が見えないのか、弟の息吹は、なぜ身体・精神の障害と共に生きているのか」と、小さい頃から悩み続けていました。息吹さんは、11回の手術と、33回の入院を経験しています。それにもかかわらず、息吹さんは明るく快活で、障害のあることで人生を投げ出したりしていません。
ドキュメンタリーは、息吹さんの生きる姿勢が、唯織さんとご両親の“強さ”の源になっていることを明るく前向きに綴ります。また、この一家が持つ強さと弱さも描きながら、この世に生を受けた者全ての人生に「意味」があることを伝えています。
ディレクターの橋本さんは、11年にわたり唯織さんの学校や家庭を定期的に訪問。唯織さんと家族への取材とインタビューを続けながら、唯織さんとの信頼関係を築いてきました。
提供:テレビ静岡 |
橋本さんは、次のように語ります。「日本では、障害のある子どもはいじめを受けやすい傾向があります。また、幼稚園や学校、また様々なサービスを受ける場所も不足しています。現在の社会では、障害のある人々は、‘こっそり’と暮らさざるを得ず、こうした現状は変えなければならないと信じています。障害のある人々に対する差別のない自由な社会が訪れることを強く望みます。」
子どもの権利賞の審査員は、このドキュメンタリーの内容そのものに対する評価と同時に、10年以上にわたり家族との信頼関係を構築し家族の日常に入り込んで取材を行ったことを高く評価しました。このドキュメンタリーは、どんな困難があっても生きることの大切さを訴えています。
「このドキュメンタリーは、人間の精神と、限界に打ち勝ち、適応する私たちの能力への賛美です。」「障害のある子どもたちが社会でどのような環境に置かれているのか、そして、こうした状況が子どもたちに与える負の影響を捉えています。しかしながら、同時に、このドキュメンタリーは、そうした状況にある子どもたちが持つ強さと、彼らが家族や社会(国家)に与えているもの、貢献していることも、同時に描いているのです。」ユニセフ・アジア太平洋地域事務所のマデリン・アイズナー広報官は、こう語りました。
「アジアケーブル衛星放送協会(CASBAA)は、障害を克服している子どもたちの感動的で心を打つドキュメンタリーを製作したテレビ静岡の受賞をお喜び申し上げます。」「全ての業界団体に制作の場を確保し、私たち全員が活動するコミュニティに還元することは、私どもの役割のひとつです。」アジアケーブル衛星放送協会(CASBAA)のサイモン・ツイストン・デービス最高責任者はこう話しました。
「特別なニーズや成長するために必要なスキルを子どもたちに与えることで、子どもたちの成功を促すことができます。」「橋本真理子さんはじめ、番組制作に関わられたスタッフのみなさんから頂いた希望のメッセージは、特別なニーズが必要な全ての子どもたちに、彼らはみんな、喜びに満ちた幸せな人生に向かう旅を続けているという確信を与えてくれることでしょう。おめでとうございます!」アジア太平洋放送連合(ABU)の事務局長はこうお祝いの言葉を述べました。
授賞式から帰国されたディレクターの橋本真理子さんの喜びの言葉と写真が届きました。
「会場で、いおりといぶきの映像が流れた時、涙があふれてどうしようもありませんでした。『体が不自由でも命を大切にする、生きようとする意志が強く、家族のサポートする姿に感動した』『10年を超える長期取材に敬意を表する』『構成・映像に独自性がある』との評価を受けた次第です。障害を持った子どもたちが笑顔で生きられるよう、差別がなくなるよう、私たちはこの家族をずっと追っていきたいと思っています。今回の受賞に、主人公の「いおりといぶき」も喜んでくれました。これからも切磋琢磨し、良い番組を作っていきたいと思います。本当にありがとうございました。」