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財団法人日本ユニセフ協会




 

少しずつ希望が戻ってきました

津波によって引き起こされた莫大な規模の破壊と人命の喪失は、過去に例のない緊急支援を必要としました。そして実際、世界は迅速にそして寛大に対応したのです。異例ともいえるこれほどの国際的な復興支援の努力は、病気の大規模な発生と蔓延を予防し、数十万の人々の健康と福祉に貢献したのです。

しかし、私たちの果たすべき仕事は終了からは程遠いところにあります。約12ヵ月経った今も、数万世帯が未だに仮設キャンプに住むことを余儀なくされています。再建のプロセスは会議室や図面の段階から、実際のれんがやモルタルへと移ったばかり、今がまだ始まりなのです。

それでも毎週進展が見られています。人々は生きていて健康に暮らしています。一度離れ離れになった家族も次々に再会しています。90%以上の子どもが津波後3ヶ月の間に学校へ戻り、仮設校舎や保健センターも建設されています。そして、このような基本的なサービスは多くの場合コミュニティとの相談しながら具体的に形となる一方で、国会や地方議会では復興のための政策や基準が導入されています。

津波の被災地域のユニセフ事務所は、津波直後の緊急支援物資配布やその後の継続的なケアから、子どもに配慮した基準や政策を提案したり、子どもとその家族の生活を向上させるために実際に校舎や保健センター、水と衛生システム、その他の必要な施設を建設し提供することに至るまで、この莫大な事業において重要な役割を果たしてきました。

私たちのこの極めて重要な仕事は、支援に協力してくださった皆さまなしには到底成し遂げられないことでした。世界中の何百万という人々が、津波発生後数時間または数日の間にユニセフへ募金を送ってくださり、被災した子どもたちを心配して下さるだけでなく、ユニセフの子どもに対する使命と短期間・長期間に関わらず適切な支援を届ける準備ができていることに対して変わらぬ信頼を寄せていただいています。

皆さまからのご支援により、ユニセフは災害に迅速に対応することができ、その後12ヶ月間支援を継続することができました。寛大なご支援のおかげで、ユニセフは今後数ヶ月間も、仮設校舎を恒久的な校舎にかえたり、簡易保健施設を新しいコミュニティの診療所に建て直したり、津波で悲劇的にも失われてしまった人的資源の回復のために引き続き他のパートナーと共に活動を続けることができます。

この報告書では、津波に遭い希望を含めて全てを失ってしまった子どもたちのために、ユニセフがどのような貢献をしてきたかを包括的にご報告しています。私たちはこれまで重要な歩みを重ねてきましたし、これからの数ヶ月に更なる進展をもたらすことができるでしょう。

最も重要なことは、被災した人々に希望や楽観主義が戻りつつあることです。現在も進行中の復興支援を通して、津波で生き残った人々が、今は津波前よりもさらに良い状態まで復興させる機会だと捉えるようになってきたのです。私たちは彼らのその不屈の精神と強健さに毎日のように感銘を受けています。私個人は、インドネシアのバンダアチェの子どもたちから、ハリケーンカトリーナで被災したアメリカの子どもたちへ団結と思いやりの証として送られた絵を見た時、大変心を打たれました。

皆さまのユニセフへのご支援がなければ、この稀に見る復興プロセスを支援することは出来なかったでしょう。皆さまの寛大さに感動している子どもたちに代わって、ただ一言感謝の言葉を申し上げます。

アン・M・べネマン
ユニセフ事務局長

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