財団法人日本ユニセフ協会




〔2003年4月1日〜4月3日〕

支援物資の輸送努力が続く
南部では水の供給が急務
地雷により子どもたちが被害に

〔2003年4月3日〕  ユニセフは、イラク南部の水危機を救うために送り込んだ9台の給水車が、バスラ南部の都市、サフワンに到着したと発表しました。

 トラックは、基礎医薬品が危機的なまでに不足している地元の病院の支援のために、緊急医薬品を運んでいます。ユニセフは、イラクにおける戦争が子どもと女性に与える影響について懸念を表明し、市民生活を守るようすべての紛争当事者に求めています。

 戦争が子どもたちに及ぼす危険について強調する事件として、ユニセフ・イラク事務所の広報官ジョフリー・キールは、今週初めにイラク北部で地雷で遊んでいて負傷した3人の子どもの状況について説明しました。この地雷による事故には、ドホークからガラゴウ村に家族とともに避難していた2人の兄弟とその従兄弟が巻き込まれました。

 子どもたちは、外で遊んでいる時に、古い地雷−20年前のイラン・イラク戦争の遺物−を見つけました。そして、地雷が爆発し、3人とも重傷を負いました。6歳になる兄は、両手の切断手術を受け、顔をひどく負傷し、胸部に火傷を負いました。彼は、現在ドホークの病院の集中治療室で治療を受けていますが、容体は深刻です。

 5歳の弟は、左目に重傷を負い、手術を必要としていますが、地元の病院に手術を行える医者がいません。もう1人の子ども(6歳)は、右手足に怪我をしています。

 「残念なことに、これらの少年たちは、紛争が残した人の命を奪う遺物の被害者です。これはまさに、戦争が子どもに及ぼす影響を示しています。戦争下において、子どもがもっとも危険にさらされていることを思い知らされます。」キール広報官は述べています。

〔2003年4月2日〕  ユニセフは、米英軍が現地で提供している人道支援物資のパッケージに黄色を使用しており、これが投下されている爆弾の一部と見分けにくくなっているとし、変更を求めました。

 爆弾や爆弾の破片は、落とされても常に爆発するとは限らず、子どもたちが不発弾を人道支援物資と見誤る恐れがあります。同じような黄色いパッケージの支援物資は、アフガニスタンでも投下されました。アフガニスタンでは、国連がその危険性を指摘し、黄色いプラスチック製のパッケージは青色に変更されました。

 イラクでは、こうした支援物資の投下は行われていませんが、ユニセフはそれでも両者を混同するような色付けは子どもにとって大変危険であると警告しました。 「不発弾を食べ物と混同するような状況は子どもを怪我や死の危険にさらします。ユニセフは、米英軍に対して、ただちに色を変えるように要請します」とユニセフ・イラク事務所の広報官ジョフリー・キールは述べました。

 また、同日、キール広報官は、何万人もの人びとが安全な水を手に入れられずにいるイラク南部へのアクセスが改善されつつあるようだと述べました。5台の給水車がバスラの南、サフワンの町へ向かっています。タンク車は1台あたり3万5,000リットルの水と緊急保健キットを運んでいます。

 現在、イラク南部で活動しているユニセフ・スタッフはいませんが、給水車のドライバーによって、現地の状況と新たに何が必要になっているかを把握しています。昨日、ズバイルにたどり着いたドライバーは、ウムカイル周辺の2万人の住民は、戦争が始まってから、何も支援を受けていない状況だと話しています。ユニセフは、この地域でますます多くの子どもたちが下痢になり、地元の病院では基礎医薬品が底をついている、という報告を受けています。ユニセフは、木曜にもウムカイルの町へ、給水車と緊急保健キットを送る予定です。

〔2003年4月1日〕  ユニセフは、非常に難しい状況下で、民間トラックと契約し、人道支援物資と給水車をイラク国内に送りこむ努力を続けています。

 本日、人道支援物資を積んだトラック2台が、トルコ国境を超えてイラク北部に入りました。トラックは、医薬品16トン、浄水剤6トン、および教育資材を載せて、ドホーク、アルビル、スーレマニアに向かいました。これらの地域では、何万人もの人びとが、街の中心部から比較的安全な農村へと避難しています。

 昨日、ドホークからガラゴウ村に避難していた家族の3人の子どもが、地雷により負傷しました。地雷は、20年前のもので、過去の戦争で埋められたものでした。ひとりは目の手術を必要としていますが、残念ながら、この病院には手術を行える外科医がいません。

 イラク南部では、水の不足が健康上の危機を引き起こしています。今週末までには気温が摂氏37度まで上昇すると予測され、状況はますます悪化しています。 南部では、15万リットルの水を積んだ4台の給水車が、ウムカスルからズバイル(北に40キロ)まで行きました。ズバイルは6万人の街です。給水車はクウェートから出ていますが、日曜日の段階で一番遠くまで行った給水車がこの車になります。ズバイルでは、地元の病院、保健センターに水が供給されました。

募金のお願い

 財団法人日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支えるため、イラク緊急募金の受付を開始いたしました。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。