財団法人日本ユニセフ協会




下痢性疾患(コレラ、赤痢、チフス)に苦しむ子どもたちを支援

【バグダッド 2003年6月8日】
 イラクの子どもたちの健康状態は弱々しいままです。多くの子どもたちが下痢性疾患に苦しみ続けています。これは、昨年同時期の数字よりもずっと高い割合です。下痢と言うとたいしたことはないように聞こえますが、イラクではこれは命を奪う病気です。今回の戦争前には、子どもの死因の70%が下痢と呼吸器感染症によるものでした。

 下痢と関係する病気で、最も死に至る危険のある病気の一つがコレラです。バスラでは、現在までに、コレラの症例は66件確認され、3人がコレラにより死亡しました。66件のうち、79%が5歳未満の子どもで、59%が女の子です。

 また、ナシリヤやミッサンの病院でも、コレラの症例が確認されていますが、これらはまだ研究室の検査によっては確認されてはいません。と言うのも、イラク南部や全国で、検査に必要な医療機器が深刻に不足しているためです。

 赤痢やチフスも、子どもたちにとって現実の問題となってきています。赤痢は汚染された水や食糧を通じて広がっています。バクテリアは子どもの腸内に寄生して、腸壁を侵食し、血の混じった下痢を引き起こします。バグダッド周辺の病院の医師によると、ここ数週間、赤痢の症例の増加が見られるとのことです。

 チフスは、汚染された食糧により広がり、首都バグダッドでも症例が見られます。戦争による保健システムの崩壊前は、子どもに影響を及ぼすチフスや他の病気の厳密な調査が実施されていました。毎週、レポートがイラク中の保健担当部署に送られ、これが保健省に資料として集められていました。

 現在、こうした調査は無く、どれくらいのチフスの症例が、どこで見られるのか分かりません。こうした情報は、調整のとれた効果的な対応を計画するためには不可欠です。例えば、昨年はチフスが合計2,000件ありました。今年は、保健システムが機能を停止してしまい、症例を把握することができなくなってしまったために、その数は分かりません。

 こうした病気で苦しむイラクの子どもたちを支援するために、ユニセフは病院にIV液やORS(経口補水塩)を提供しています。その結果、子どもたちの健康状態が回復しています。例えば、ユニセフは、下痢性疾患により脱水症状を起こした子ども2万5,000人を治療するために、カルバラにORSを送りました。

 また、チフスの子ども約1,000人の治療のために十分なアンピシリン薬を、バグダッドの病院に送りました。そして、アンバル県のアルラマディにいる5万人の患者のために、十分な医薬品と医療機器を送りました。

****************

募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。