財団法人日本ユニセフ協会




ユニセフはイラク全土で調査を実施:水と衛生の状態の悪化が深刻

【バグダッド 2003年5月22日】
 ユニセフは、現在イラク全土で、病院、学校、そして不可欠な水と衛生施設のアセスメントを実施しており、さらにイラクの人々が最も緊急に必要としている人道支援のニーズを満たすよう活動しています。

 イラク南部では、ユニセフは30のアセスメント・チームを形成し、南部諸州の水の状況を調査しています。アセスメント・チームはバスラで水質検査を行っていますが、検査のために訪れた現場の3分の1で、実際には水がまったく無いため水質検査を行うことができなかったことに驚いています。

 この理由は簡単です。人々が給水管に穴を開け、そこから噴き出す水を盗っているからです。水が流れ出すにつ入れ水圧が下がり、給水管の下流では水が無くなってしまいます。

 その結果、2つの非常に大きな影響が出ています。まず第一に、こうした略奪の結果、水を必要としている人々が水を手にすることができないでいます。あるケースでは、バスラ総合病院に水を送る給水管に何度も穴があけられ、そのさらに先にある病院に届くころには、水がまったく残っていませんでした。水が完全に無くなるまでに、病院はわずか2日分の水しか確保していません。

 別のケースでは、よどんだ水たまりに横たわっている給水管に意図的に穴が開けられ、新鮮な水が盗れるようにされていました。子どもと女性はきれいな水を汲むために、そのよどんだ水たまりの中に入っていき、汚れた水が給水管の中に漏れた結果、その先に送られる水を汚染しています。

 これは、バスラの人々の健康に明らかな危険を及ぼします。先週、ユニセフ職員が現地を訪れた際、すべての小児科病院が下痢性疾患の急増を訴えていました。

 こうした状況の改善を支援するため、ユニセフは給水車を病院に送っています。また、給水管の修理を行えるよう、主要な給水ネットワークのアセスメントも行っています。問題は、こうした修理のために治安が確保されなければならないことですが、これはユニセフが提供できるものではありません。それは連合軍の責任であり、今、行う必要のある任務です。

 ユニセフは、イラクの学校に関して、戦後の教育システムのより明確な全体像を把握するために、全国規模のアセスメントを実施します。ユニセフは、今週、まず南部5州で4,000校の調査を始める予定です。

 バグダッドでは、ユニセフは現在、市周辺の学校に”スクール・イン・ア・ボックス”(教育資材キット)を配布しています。実際、今日、ザファラニアという貧しい地域で、子どもたち4,800人分の教育支援物資を配布しました。また、ユニセフは、栄養不良の子どもたちに高たんぱくビスケットを、そしてザファラニアの病院へORS(経口補水塩)を配りました。

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募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。