財団法人日本ユニセフ協会




ユニセフは緊急人道支援を続ける一方、略奪の報告を懸念

[アンマン 2003年4月8日]  ユニセフのトラック輸送による人道支援活動は、イラク北部と南部で今日も続いています。

 31トンの支援物資を運ぶ5台のトラックが、トルコのメルシンの港に上陸しました。これらの物資は国境の街シロピに向かっており、明日、ハブル国境を越えイラク北部に入る予定です。

 ユニセフの支援物資はドホークに運ばれ、そこで配られます。支援物資は、病院ベッド、トイレ、病院設備、医療器具(注射器、温度計、ワクチン保管庫)などです。

 また、今日、別の11台のトラックが、イラク南部のウムカイル、バスラ南部、サフワン、ズバイルに向かっています。ユニセフがクウェートからの人道支援物資の輸送を開始して以来、85台のトラックが救命支援物資をイラク南部に運びました。

 ユニセフのトラックのドライバーは有能な情報提供者であり、支援を必要としている子どもたちと、医薬品や医療器具が不足している病院が支援物資を受け取れるよう、適切な支援物資を適切な場所に届けています。

 ユニセフは、そうしたドライバーから寄せられた情報として、特にズバイルなどの地域において略奪があったという報告を懸念しています。ドライバーによると、学校が略奪にあい、状況は混沌としている一方、管理できるものであるとのことです。とても単純なことですが、絶望的になっている人々のもとへ、支援物資を積んだトラックがやってきて、必要としている物資を届け続けることを再確認する必要があるのです。

 学校における略奪は、二重の懸念をはらんでいます。まず明らかなのは、すでにかなり破壊された教育インフラに、さらにダメージが与えられるという懸念です。

 もうひとつの懸念は、学校や集中的な戦闘が行われている他の場所が、子どもたちの好奇心を招きかねないということです。こうした場所での戦闘が収まり、より自由に家を離れることができるようになると、子どもたちは自然な好奇心として、こうした戦闘が行われた場所に行ってみたくなります。そして、戦争の置き土産や残骸に引き寄せられるということがよくあります。戦争の置き土産とは、子どもたちの命を奪うものです。

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イラク南部への支援物資の輸送が続く

[アンマン/ニューヨーク 2003年4月7日]  今日、世界保健デーに、バグダッドにいる8歳の子どもが、目のあたりにしている毎日の悪夢について、いろいろ想いをめぐらしています。

 その子どもは、電気のない家で生活し、1時間ごとに100人もの犠牲者が運ばれてくると報じられている病院のある街で暮らしています。そこは、学校や通常の日常生活が何日も止まっている街。そして、夜の眠りが砲撃の音に中断される街です。

 テレビで見る映像は、最も直接的に、隠すことなく子どもたちのイメージを伝えます。それは、紛争で傷つきケガをした子どもたちの姿です。しかし、あまり伝えられないイメージ、そして、より破滅的な影響を及ぼすのは、水の不足、貧弱かつ悪化する健康状態、そしてそれぞれの子どもが抱えている心的外傷(トラウマ)です。

 ユニセフはこうした状況をただ深刻に憂慮するだけではありません−私たちは行動的です−イラク南部の現場でも、イラク北部の現場でも、そしてバグダッドの物資に関しても−物資は紛争前に備蓄されました。

 今日、ユニセフは11台のトラック輸送団を、クウェートの国境を越え、バスラやサフワン、ズバイルを含むイラク南部の街に送りました。

 それぞれのトラックは緊急支援物資を運んでいます−数千リットルのきれいな水、経口補水塩、救命医療器具などを、最も必要としている人のために。

 今日の輸送団により、ユニセフはこれまで60台以上のトラックをイラク南部に送り込んだことになります。毎日より多くの物資を、よりイラク内部に届けています。

 私たちがより多くの場所で、より多くの子どもたちに支援を届ける必要があるのは明らかです。

 紛争が続くにつれ、毎日人道支援の時計は時を刻んでいきます−これはアクセスの問題です。物資配給の問題です。時間の問題です。そして、イラクの子どもたちの生命の問題なのです。

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募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。