財団法人日本ユニセフ協会




ウムカスルにきれいな水を届ける
イラク南部では黒水熱が発生

[アンマン 2003年4月16日]
 イラク南部では、黒水熱が発生しています。これは水によって感染する病気です。

 イラク難民支援委員会は、アマラで100人、ナシリヤで70人、そしてズバイルでも何人か症例が見られると話しています。患者の年齢は不詳です。黒水熱により命を落とすこともあり、5歳未満の子どもたちは、この病気にもっとも感染しやすいのです。

 黒水熱は、主に砂バエにより広がります。その結果、栄養不良や貧血を引き起こし、栄養不良の子どもの命を奪うこともあります(しかし、これまでにこれらの街で死者は報告されていません)。

 この病気の症状は、熱、虚弱、染み、臓器の拡張による腹部の膨張、そして黒色の尿です。4〜6週間のうちに治療しないと、ひどく衰弱し、最終的には死に至ります。

 これを受けて、ユニセフが最も懸念しているのは、最初の黒水熱の症例が、戦争前の2月に報告されていたということです。ユニセフは即座に黒水熱の治療のために必要な薬を調達しました。しかし、薬をイラク国内に運び込む前に、戦争が勃発してしまったのです。

 今回、南部のティガール州から、北部のバビロンまで、100件の黒水熱の症例が見つかっています。これらは、まだユニセフがアクセスすることのできない地域です。そして、こうした患者の90%が、薬(PENTOSTAM)が手に入れられないまま死んでしまう可能性があります。

 ユニセフは、医薬品1,000個を確保しており、昨日、ナシリヤに向けて100個の薬ビンを送ることができました。国連とメディアの素晴らしい協力の一例として、ドイツのテレビ・クルーとともに、子どもたちの命を救う医薬品を送りました。明日、200個の薬ビンを送ることを考えています。

 今日、ファオ半島に向けてきれいな水を運んだ9台のトラックが、イランを出発し、シャラムチェの国境を通り、イラクに入りました。別の3台のトラックは、今日国境を越えることができませんでしたが、明日イラクに入る予定です。

****************

[アンマン 2003年4月15日]
 ユニセフは、WHOとともに、今日、ヨルダンのラーニャ王妃と会談し、イラクの子どもたちの健康状態の改善を支援する方策について話し合いました。

 ユニセフが進める「グローバル・ムーブメント・フォー・チルドレン」の世界的なリーダーでもある王妃は、子どもたちが戦争のトラウマを克服できるようユニセフへの支援を表明しました。また、王妃は、長期的に早期幼児教育分野で働きたいとの意志も表明しました。 これは、何年もの戦争、制裁、そして闘争の後、イラクの子どもたちが人生最善のスタートを切ることができることを保障するものです。

 イラク南部では、コミュニティが参加して、基礎的支援物資の保護と配給が進んでいます。

 ユニセフは、10日以上もウムカスルにきれいな水を配ってきています。しかし、支援を受けるためバケツを持って列をつくる人々を前に、どの給水車も4時間半で空になってしまいます。

 私たちの目標は、5,000リットル入る巨大な水袋を設置することです−これは20分でいっぱいになり、トラックが自由に行き来しより多くの水を運んでくることができます。略奪の中で、ユニセフは水袋の安全が保障されることを確かめたいと思っています。2日前、ユニセフは水袋を2つ配給すると、コミュニティ全体が水袋のための土台を作りました。今日、私たちがウムカスルから戻ってくると、そのコミュニティは水袋を守るために自分たちで周辺にフェンスを張り巡らしていました。

 ユニセフは、明日、さらに水袋4つを配給します。そして、今週末までにさらに4つ配給したいと考えています。これらの水袋は、コミュニティの水のニーズに応えるものです。

 このようなより多くのイニシアティブが、イラク各地で支援物資の配給とその効果を高めており、必要としている人たちが支援物資を手にすることができるよう保障しています。

 ズバイルにおける大きな懸念事項は、浄化用の塩素がわずか2週間分しか残っていないことです。戦争の勃発前には、9ヶ月分の貯蔵がありました。しかし、略奪の結果、今ではわずかしか残っていません。給水ポンプ所も略奪にあい、レンガさえも取られてしまいました。状況をさらに複雑にしているのは、イラク南部に塩素を供給していたバスラの塩素工場が現在炎上中ということです。

 また、とくにこの時期、きれいな水の重要性を過小評価することはできません。この時期、イラク南部では、水に関連する病気や下痢が蔓延し、気温が上昇するにしたがって、現在の水不足の結果、問題は悪化するばかりです。水は生命を与えますが、悪い水は人々の命を奪います。そのため、給水所を立ち上げることが重要です。

 イランからイラクのアルファオ半島に向かっている人道支援物資を積んだ輸送団は、国境で立ち往生をしています。トラックは12万リットルの水を運び、今朝、シャラムチェの国境に到着しました。しかし、必要な手続きの遅れにより、輸送に遅れが出ています。輸送団は、明朝、国境を越える予定です。

 また、昨日、イラク北部では学校が再開しました。しかし、私たちが把握しているだけで、アルビルにある2つの学校は再開することができませんでした。理由は、現在その学校を米軍が使用しているからです。こうした状況について、ユニセフは軍関係者に対し、はっきりと不快感を表明しました。子どもたちは、軍隊よりも、学校が必要なのです。

****************

募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。