財団法人日本ユニセフ協会




イラク南部への支援が続く:
予防接種、ゴミ清掃、不発弾、そして教育支援

【バスラ 2003年5月28日】
予防接種

 ユニセフは、今回の戦争が始まって以来、イラクでは12万人の赤ちゃんが生まれたと推定しています。しかし、そのほとんどが、下痢やポリオ、はしか、結核といった幼児のかかる病気のワクチン投与を受けられないままでいます。イラク国内の基礎保健センターに保管されているワクチンの多くは、略奪の際に盗まれてしまったか、保冷のために必要な電力の不足により、保存状態がよくありません。

 ユニセフは、イラクの子どもたちに予防接種を行うプロセスを再開するための大きなステップを踏み出しています。今、非常に必要とされているワクチン輸送の第1陣が、明日、バスラに到着する予定です。

 ワクチンは市内の保健省の保冷施設に直接運ばれ、その後すぐに基礎保健ケア・センターに配布されます。ワクチン輸送の第2陣は、今日、バグダッドに向けて始まっています。第3陣は、イラク北部のアルビルに向けて、来週実施されます。これは非常に重要なことです。親であれば、皆、予防接種が、生まれたばかりの自分の子どもにとってどれだけ重要であるか分かります。幼児の免疫システムはとても脆弱で、ワクチン投与が無いと非常に病気にかかりやすいのです。保健省と地元の保健機関との協力により、まもなくワクチンの分配が開始する予定です。ユニセフは、バスラに150万個のワクチンを輸送しており、イラク南部全体の主要なワクチン配給地となるでしょう。

 今日、バスラのイブン・ガズワン病院を訪れました。この病院は260床あり、小児科と産婦人科を専門としています。ここでは、毎日およそ50人の赤ちゃんが生まれています。 医師は、昨年12月以来、子どもたちは予防接種を受けていないと語っています——少なくともここ5ヶ月間です。2月以来、病院は新しいワクチンを手に入れることができないでいます。通常、BCG(反結核)ワクチンは生まれた時に投与されます。予防接種は最優先事項なのです。病院と保健省は、すぐに出生記録を再確認し、ワクチンを投与されていない子どもの親に連絡を取る作業を始めなければなりません。

クリーン・アップ(清掃)キャンペーン

 ユニセフは、他の機関との合意の下、バスラのゴミ収集について主導的な役割を担っています。これは住宅地を中心とした市内全体を清掃する、2週間のキャンペーンです。ユニセフは、最初の2週間にキャンペーンにかかる物資のコストを負担する予定です。また、HABITAT(国連人間居住計画)と共に、ユニセフはプロジェクトの実施をモニターします。ORHA(イラク復興人道支援室)は、さらに2週間このプロジェクトを継続することで合意しています。その後、市民軍事作戦センター(CIMOC)が、さらに1ヶ月延長してキャンペーンを実施します。CIMOCは、バスラ市政府と共に、市郊外30キロメートルのところにごみ処分場を探す努力をしています。コストは2,600万イラク・ディナール以上(2,624万イラク・ディナール)。このキャンペーンは、6月1日より開始する予定です。

不発弾

 ユニセフは、地雷教育に関して、イラクの市民防衛組織(CDO) と密接に協力して活動しています。今後数日間のうちに、ユニセフはアラビア語で不発弾の危険性を警告した7万2,000枚のポスターをCDOに提供します。こうしたポスターには、イラクで見つかった様々な不発弾の写真が写っています。不発弾、そしてあらゆる種類の法令が、最近の戦闘に限らず、イラン・イラク戦争の際の名残りであったりもします。最近、不発弾により子どもが何人も亡くなっており、多くの子どもが負傷しています。CDOの職員は、こうしたポスターをバスラに張り出し始めており、まもなく、バグダッドや他の街でもポスターが張り出されます。

教育

 ユニセフ・イラクは、バグダッドで、学校に戻り、学期末試験を受けることを呼びかける広告を製作し、イラク全土でテレビとラジオでその放映・放送を始めました。ユニセフは、1,500万の試験冊子を印刷し、子どもたちが学校で過ごしたこの1年を無駄にすることのないよう支援する予定です。この広告は、子どもたちに試験を受ける機会を逃さないよう、今すぐ学校に戻るよう促すもので、来月、繰り返し放映・放送されることになっています。

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募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。