HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > 東日本大震災緊急募金
日本ユニセフ協会
 



東日本大震災復興支援 第234報
新たな役割を担う“仮設園舎”

【2014年5月7日 陸前高田発】

竹駒保育園の仮設園舎は、2012年4月に完成。新園舎が完成する翌年3月まで使われた。(2012年4月撮影)
© 日本ユニセフ協会
竹駒保育園の仮設園舎は、2012年4月に完成。新園舎が完成する翌年3月まで使われた。(2012年4月撮影)

日本ユニセフ協会は、東日本大震災被災地支援の中の未就学児に対する支援の柱の一つとして、被災地の地元自治体の要請を受け、保育園や幼稚園の園舎や図書館、保健センター、給食センターなど、子どものための様々な施設の再建支援を、岩手、宮城、福島3県の計20カ所で展開しました。

津波で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市の竹駒保育園は、震災直後、市内の別の保育園に間借りをしながら保育活動を再開。2012年4月から高台に新しい園舎が完成した2013年3月まで、日本ユニセフ協会の支援で建てられた仮園舎で保育活動が続けられました。当初の役目を終えたプレハブの“園舎”は、今また、市の家庭児童相談室として陸前高田の子どもたちを支え続けています。

安心して相談できる場所

かつてのプレハブ園舎は、市の「相談室」として、引き続き、陸前高田市の子どもたちのために活躍しています。(2014年5月撮影)
© 日本ユニセフ協会
かつてのプレハブ園舎は、市の「相談室」として、引き続き、陸前高田市の子どもたちのために活躍しています。(2014年5月撮影)

震災以前の姿を想像することすら難しい程の壊滅的な被害を受けた陸前高田市。中心部にあった市役所も津波で全壊したため、被災地の他の多くの自治体と同様、仮設の建物での業務を強いられています。ただでさえ手狭なプレハブづくりの市役所。子育てや療育に関する相談や面接ができる個室スペースは確保できませんでした。こうした中、竹駒保育園の新園舎への引っ越しで“空いた”建物が、市の児童家庭相談員の相談室や発達障害児支援のための療育相談室「ふれあい教室」として活躍しています。

プレハブとはいえ、もともと園舎として使われていた建物。相談業務にあたられている児童家庭相談員さんたちは、「個室が確保できたので、私たちも、周囲を気にせず面接することができるようになったし、来談された市民のみなさんも相談をしやすくなってホッとされている様子です」とおっしゃいます。また、「相談室」としては十分すぎるほどの部屋数やスペースがあることから、相談に来られた親子が、親子遊びをしたり、遊びを通した心のケアを受けたりすることもできるようになりました。親子クッキングのような催しも開かれています。相談員の方々も「異なる立場から、子どもや家庭を支えている児童家庭相談員と療育相談員が同じ場所で活動できるようになったので、お互いの連携もとりやすくなりました」とおっしゃいます。

“支える方々”を支えるために

「周囲を気にせず面接することができるようになったし、市民のみなさんも相談をしやすくなってホッとされている様子です」と語る児童家庭相談員と療育相談員のみなさん。
© 日本ユニセフ協会
「周囲を気にせず面接することができるようになったし、市民のみなさんも相談をしやすくなってホッとされている様子です」と語る児童家庭相談員と療育相談員のみなさん。

相談員さんたちは、ご自身も被災をされていながら、子どもたちや保護者の方々の相談を一手に引き受けていらっしゃいます。「あの日」から3年。日本ユニセフ協会では、震災後、休む暇も無く他の被災された方々の支援を続けていらっしゃっているこうした行政サービスの最前線に立つ方々の“燃え尽き”を防ぎ支えることが、地元の子どもたちや家庭への長期的な支援につながるという考えに立ち、様々なスキルアップのための研修などの機会を提供しています。ここ陸前高田市でも、市の要請を受け、日本プレイセラピー協会と協力し、2012年7月から1〜2か月に1回程の頻度で臨床心理士2名を派遣。児童家庭相談員や療育相談員、子育て支援スタッフを対象に、プレイセラピーに基づいた遊びを通した子どもの心のケアのスキル、親との心理面接のスキル、ケースのスーパービジョンなどを中心とした研修を行ってきました。「親子と関わるスキルを学ぶことができた」「自分自身の心の整理やセルフケアの時間にもなっている」と毎回参加者から好評をいただいているこの研修会は、今年も、陸前高田市だけで全6回開催される予定です。

【関連ページ】