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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災復興支援 第224報
「知ること・伝えることが第1歩」
子育て支援関係者を対象に里親研修

【2014年1月31日 岩手・大船渡発】

© 日本ユニセフ協会
研修の様子

岩手県内の気仙地区と宮城県気仙沼市で、日本ユニセフ協会が全国児童家庭支援センター協議会と連携して取り組む「里親啓発•里親子支援事業」。その一環として、1月31日、「子育てを地域で支える研修会」が、岩手県大船渡市の「福祉の里センター」で開催されました。

増える里親、求められる支援制度

大船渡市、陸前高田市、住田町にまたがる「気仙地区」では、震災後に孤児を受け入れた里親が急増しました。それにより、行政や民間の子育て支援関係者の間でも「里親」という言葉は広く知られるようになりました。しかし、制度の内容についての理解は支援者の間でも必ずしも十分とは言えません。

元々里親についても一般的に知られておらず、里親に登録されている方の数は多くありません。子どもたちの健やな成長を支えるためには、施設だけではなく、安全で安心できる“家庭”という環境で子どもたちが生活できるようにすることが最良の方策です。しかし、復興が思うように進まず、震災以前からも深刻な問題であった少子高齢化や不況が続いているなかで、子育てに様々な課題を抱える家庭も少なくありません。“あの日”から間もなく丸3年。家庭の子育て、特に、突然“親”の役割を担うことになったご高齢の方々や、自身では子育ての経験を持たない方々を“地域で支える力”が求められています。

全国児童家庭支援センター協議会に加盟する大船渡市の児童家庭支援センター大洋の主催で開催されたこの研修会には、気仙地区の行政機関や保育所等で子育て支援に従事されている相談員や主任児童委員、保育士、保健師など、気仙地区の要保護児童対策地域協議会の構成員や関係機関の方々を中心に20名を超える方々が参加しました。

「現状を知り伝えること」が第一歩

© 日本ユニセフ協会
2013年8月に岩手県八幡平市で実施した「里親子キャンプ」。キャンプファイアーは、子どもたちに大好評。

研修会では、まず、一関児童相談所の原裕子さん(児童福祉司)が、家庭養護や里親に関する制度や国の指針を解説。岩手県里親会の高橋忠美さんが、里親会の取り組みや、これまで10人もの子どもを養育されてきたご自身の里親活動を報告。児童養護施設大洋学園の金野祐樹さん(里親支援専門相談員)が、震災後に里親支援専門相談員として地域の里親の方々を支援されてきた経緯やその中で見えてきた課題などを報告。里親制度の仕組みと県内の現状が参加者に共有されました。

続くミニシンポジウムでは、全国児童家庭支援センター協議会副会長の坂口明夫さん(福岡県子ども家庭支援センターあまぎやま)の司会のもと、原さん、高橋さん、金野さんが、参加者からの質問や発言も交えながら、今後の里親養育の在り方について、地域の支援という観点から意見を交換。“地域で支える力”の第一歩は、「地域の現状を知り、伝えていくこと(啓発)」にあること、支援者や児童福祉現場の側からも里親制度を理解してもらうための情報を発信していくことの重要性が強調されました。また、原さんをはじめ3名の講師からは、「施設と里親とどちらを希望するかというのは子ども一人一人によって異なるが、より家庭に近い形である里親が増えれば、一人一人の子どもに合った場所の選択肢が増える」、「里親制度への理解を深め、ぜひ関心がある方々には里親登録をしてもらいたい」、「気仙地区には、児童養護施設大洋学園と県内唯一の児童家庭支援センターがあり、里親支援専門相談員や心理療法士がいる。その強みを生かしていきましょう」といった、子育て支援の最前線を担う参加者の方々へのエールも送られました。

みなさまのご支援で

2012年9月にスタートした「里親啓発•里親子支援事業」。本格的な展開が始まった昨年は、7月に、民生•児童委員などを対象にした「社会的養護と里親についての勉強会」を宮城県気仙沼市で開催。8月には、岩手県里親会との連携で、気仙地区の里親子はじめ子ども18人とおとな15人が参加した“里親レスパイト・里親子交流キャンプ”を実施しました。また、東日本大震災被災地での取り組みを日本の他の地域のみならず国際社会とも共有するために、9月に大阪市で開催されたIFCO(国際フォスターケア機構)世界大会では、気仙地区などでの取り組みや課題を、大洋学園や岩手県の方々に報告していただいています。

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