エボラ出血熱緊急募金 第56報
ギニアで学校再開、シエラレオネでマラリア予防薬配布
リベリアではエボラ孤児登録が4,500人超える
エボラ出血熱3カ国・情勢レポート
【2015年1月22日東京発】
1月21日、WHO(世界保健機関)はエボラ出血熱の感染が確認されて以降、感染者が9カ国で2万1,724人となり、8,641人が死亡したと発表しました。医療従事者828人が感染し、うち499人が死亡しました。1月18日、マリでは感染を封じ込めたとして終息宣言が出されました。感染者・死亡者の内訳は以下の通りです。
ギニア | 感染者 2,871人 | 死亡者 1,876人 ※医療従事者162人感染(うち100人死亡) |
リベリア | 感染者 8,478人 |
死亡者 3,605人 ※医療従事者370人感染(うち178人死亡) |
シエラレオネ | 感染者 10,340人 | 死亡者 3,145人 ※医療従事者296人感染(うち221人死亡) |
マリ | 感染者 8人 |
死亡者 6人 ※2015/1/18 終息宣言 |
ナイジェリア | 感染者 20人 |
死亡者 8人 ※医療従事者11人感染、2014/10/20終息宣言 |
セネガル | 感染者 1人 |
死亡者 0人 ※2014/10/17終息宣言 |
スペイン | 感染者 1人 | 死亡者 0人 ※医療従事者1人感染 |
米国 | 感染者 4人 | 死亡者 1人 ※医療従事者3人感染 |
英国 | 感染者 1人 | 死亡者 0人 ※医療従事者1人感染 |
合計 | 感染者 21,724人 | 死亡者 8,641人 |
* * *
エボラ出血熱の影響が続く西アフリカ。ユニセフ情勢レポートから、現地の最新の状況とユニセフの活動についてご紹介します。
ギニア
学校再開、安全な環境を子どもたちに提供するための支援実施
【2015年1月14日 コナクリ(ギニア)発】
|
© UNICEF/NYHQ2015-0057/UNMEER Martine Perret |
学校が再開された、ギニアの首都コナクリにある小学校で勉強をする女の子。(ギニア) |
※本報告書の統計は、WHOが発表する週間報告に基づくものです(1月13日時点)。
■概要
- 県レベルでのエボラ対応計画を支援するため、1月10日、政府や11のパートナー団体で構成された、「60日間のエボラ・ゼロ運動」のチームがコヤ県に正式に立ち上がりました。
- 政府は2015年1月19日にギニアの学校を再開すると発表しました。
■ユニセフの取り組み
<栄養・保健>
- バケツと石鹸を含めた衛生キット4万8,615セットが1万2,000校分、270万人の子どもたちを対象に配布されます。8万650人以上の教員が、学校再開に向けて、安全に関する講習を受けました。
- ユニセフは全てのエボラ治療センター及びトランジット・センターに高栄養価食品(重度の急性栄養不良に陥った子どものための、すぐ口にすることができる栄養補助食)を提供し続けています。これまでに、こうした補助食を受け取ったエボラ患者は1,568人となります。加えて、エボラ出血熱への感染が確認されている、あるいはその疑いがある母親をもつ24カ月未満の子どもたち、及び23カ月未満のエボラ孤児の120人に、母乳の代用としての代替ミルクが提供されました。
<子どもの保護>
- 女の子2,843人を含む子ども6,650人に、594のコミュニティ・セッションを通じて心のケアが提供されました。
エボラ孤児(片親または両親を失った子どもたち)1,044人に対して、ソーシャル・ワーカー17人が、訪問観察を行いました。
<教育>
- 学校を再開するとの政府発表を受けて、8万657人の教員(幼稚園から高等教育までの教員全員)が安全な学校再開のための講習を受けています。
* * *
シエラレオネ
感染者発生数は横ばい、大規模な第二回目のマラリア予防薬配布へ
【2015年1月14日 フリータウン(シエラレオネ)発】
|
© UNICEF Sierra Leone /2015 /Francia |
シエラレオネでは、国中の感染が広がっている地域で啓発活動が行われている。(シエラレオネ) |
※本報告書の統計は、シエラレオネ保健衛生省が発行する日刊報告書に基づくものです(1月13日時点)。
■概要
- WHOの報告書によると、エボラ感染の発生数はシエラレオネにおいて横ばいになりました。しかし、同国における新規感染数は依然として高いままです。
- エボラ発生地域における大規模な2回目のマラリア予防薬の配布に向けて準備が進んでいます。保健衛生省、ユニセフそしてパートナー団体との共同事業として、およそ250万人に提供される見込みです。
- ユニセフが主導する家族追跡・再会ネットワークにより、エボラ危機の直接的な影響を受けた子ども、エボラによって一方、または両方の親を失い孤児となっている子ども、保護者の同伴がない、または離別状態にある子どもに対する保護の活動がすすんでいます。
- 今週発行された世界銀行の調査で、2014年7月、8月以降のビジネスからの収入は平均して40%の落ち込みを見せるなど、エボラ緊急事態はシエラレオネの経済に広く影響を与えたことが明らかとなりました。導入された営業時間の短縮は引き続き首都において行われています。
■ユニセフの取り組み
<保健>
- マラリア予防薬の大規模配布第2弾の準備が引き続き行われています。ユニセフによって調達されたおよそ100万回分の予防薬が実施地域に提供されました。
<栄養>
- 急性栄養不良の総合管理の一環として、149地域のうち60地域(294コミュニティに相当)で5歳未満児の計1万5,459人がコミュニティ・レベルで検査を受けました。合計で204人の重度の急性栄養不良の子どもが特定され、うち154人は食事治療プログラムのための施設に搬送され、一方で内科的な合併症を伴った34人が小児科的および栄養ケアを受けるため入院となりました。
<水と衛生>
- ユニセフの水と衛生チームは、「エボラ治療センターの水と衛生状態の調査」を完了し、2月中旬から始まる乾期ピーク期の水不足の影響を最小限にするための危機対策について、水と衛生に関するパートナー団体と協力して活動を行っています。
<子どもの保護>
- ユニセフが主導する家族追跡・再会ネットワークは、1万5,258人(7,664人の女の子と7,594人の男の子)の子どもがエボラ危機の直接的な影響をうけたと特定しました。このうち、7,968人がエボラによって一方、または両方の親を失い孤児となり、552人は保護者の同伴がない、または離別状態にあります。 1月1日〜12日の報告期間において、ユニセフ主導の家族の追跡・再会ネットワークは、家族との再会が必要な子ども98人を特定し、その全員が再開に至りました。このネットワークにより計1,676人がエボラ危機以来特定され、うち62%に相当する1,033人が家族と再会しました。
- 9,103人のエボラの影響を受けた子どもに心のケアが提供されています。
* * *
リベリア
エボラ孤児登録 4,500人以上に
【2015年1月14日 モンロビア(リベリア)発】
|
© UNICEF Liberia/2014 |
エボラ啓発活動のポスターの前に立つこどもたち。(リベリア) |
※本報告書の統計は、リベリア保健社会福祉省が発行する報告書に基づくものです(1月12日時点)。
■概要
- 保健社会福祉省によると、先週は2014年6月上旬以来、報告される感染者数が最も少ない週となりました。
- エボラ孤児に登録された子どもは4,519人に上ります。特定された子どもたち全員が現在心のケアを受けています。しかしながら、約7,500人の子どもたちがエボラ孤児の可能性があるとみられています。ユニセフは、すべてのエボラ孤児が守られる環境で生活できるよう、より多くのソーシャル・ワーカーに研修を提供し、政府やパートナー団体と協力して活動しています。
- 首都モンロビアを含むモンセラード県、グランド・ケープ・マウント県では引き続き感染者が報告されています。ギニア南部の町と国境を接するロファ県では78日間感染が報告されていません。
■ユニセフの取り組み
<子どもの保護>
- ユニセフはエボラで親、または保護者を失った子どもたちが、施設に入ることなく、親族らによる養育を確実に受け続けられるように支援しています。
- 潜伏期間である、21日間の観察が必要となる子どもたちへのケアのために設立された、モンロビアの一時的ケアセンターにおいて、このセンターに滞在していた53人の子どもたち全員がここ数カ月で家族の元に戻りました。
-
エボラから回復を遂げたものの治療後に戻る親族または保護者がいない子どもたちへのケアを提供する、モンロビアのトランジット・センターに、現在5人の子どもが家族の追跡・再会のため滞在しています。家族の追跡が不可能であった場合、保健社会福祉省・社会福祉科が里親となる家族を特定することになります。
<保健・栄養>
- ユニセフは、9カ月〜59カ月の子ども55万1,364人、及び定期予防接種を受けそびれた1歳以下の子どもに対して、はしかとその他の予予防接種を行うことを目標に掲げ、予防接種強化活動を行っています。このうち、11県において、9カ月〜59カ月の子ども計9万5,540人にはしかの予防接種活動が実施されました。
<教育>
- 学校再開に向けて、およそ1万5,000人の教員に安全に関する講習が行われます。
【関連ページ】
|トップページへ|先頭に戻る|