財団法人日本ユニセフ協会



チャド:首都を襲った武装衝突 数千人が避難民に
内戦続くンジャメナから、ユニセフ職員が現状を報告

【2008年2月4日 ニューヨーク発】

重度の栄養不良に苦しむ1歳の息子を抱える女性。
© UNICEF/HQ07-0243/ Pirozzi
重度の栄養不良に苦しむ1歳の息子を抱える女性。チャドのディアベル難民キャンプの仮設病院にて。

チャドの首都ンジャメナで3日発生した武力衝突。混乱を逃れた数千もの人々が避難生活をおくるカメルーンやナイジェリアとの国境地帯で、ユニセフは他の国連機関と協力し、緊急支援活動を開始しました。

ユニセフ・チャド事務所のディミトリ・パパタナッシウ副代表は、チャドの反政府組織が週末にかけて首都に大規模な攻撃を仕掛け、多くの市民が犠牲になったとのこと。「犠牲者の多くがまだ路上に放置されています。建物の多くが破壊されました。」パパタナッシウ副代表は、電話で伝えてきました。

武力衝突の発生を受け、ユニセフ・チャド事務所は、必要最小限の人員を除きスタッフを安全な場所に避難させました。現在、事務所の建物は兵士に占拠されています。このため、パパタナッシウ副代表は、この武力紛争が女性と子どもたちに及ぼした影響を正確に把握するためには数日かかるだろうと話しています。

「外には、まだ沢山の子どもたちがいます。彼らのことが心配でならないのですが、彼らが今どんな状況におかれているのか、把握することすらできません。(武力衝突の勃発直後)少なくとも4〜5000人はカメルーンに逃げたと思われます。そして衝突が小康状態だった時に、さらに多くの人が避難したかも知れません。」(パパタナッシウ副代表)

チャド地図

チャドは、チャドの国内避難民のキャンプだけではなく、隣国スーダンのダルフール地域から来た多くの難民も抱えています。ユニセフは、(今回の武力衝突が)既に困難な状況にあったこうした人々の負い打ちとなることを懸念しています。

「状況は非常に混迷しています」と、ユニセフ西・中央部アフリカ地域事務所のマーティン・ドウ広報官は語ります。

「東部地域のキャンプの状況は、今のところ比較的安定しているようです。しかし、国際社会の監視の目が入っておらず人道支援も届いていないため、これらのキャンプの状況が悪化し避難している人々が更なる危機に直面するのは、このままでは時間の問題です。」(ドウ広報官)

チャドの医療・教育などの基本的な社会サービスはまだ整備されていません。子どもの死亡率も非常に高く、こうした問題が、今回の新たな危機をさらに複雑にしています。

「これ以上、現地の状況が悪化しないよう祈るばかりです。紛争が長引けば長引くほど、国際社会の支援の手はチャド国民に届きにくくなります。より多くの子どもが危険に晒されます。武力衝突が続いているため、私たちは、今は現地の状況を静観するしかありません。とにかく、現状が少しでも好転することを祈るばかりです。」(ドウ広報官)