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ナミビア洪水被災地に緊急支援【2008年3月18日 ナミビア発】 被害の状況 ナミビア北部と北西部(特にオムサティ、オシコト、オシャナ、オハンウェナ、カプリビ州)で起こった洪水は、今年1月から2月にかけて降り続いた豪雨とアンゴラ南部から流入する河川の氾濫が原因で起こりました。北部地域はナミビアでも最も人口が多い地域で、5つの州に約52万9千人が生活しています。そのうち、HIV感染者は20−40%と推定され、孤児や病弱な子どもたちは17万人にものぼると考えられています。そのため、この地方では大部分の人々が今回の洪水の被害を受けていると考えられています。
現在約6万5千人が避難を余儀なくされ、その他20万人が洪水による影響を受けています。 安全な飲み水の問題は深刻です。洪水のため多くの水資源が汚染されたうえ、衛生的なトイレも使えなくなってしまっています。また、道路などのインフラも大きな被害を受けたため、オムサティ州の44の学校、オハンウェナ州の33の学校、そしてオシャナ州の20の学校が一時的に閉鎖され、このうちの1州では26の病院にアクセスできなくなっています。また、この洪水により家畜などを失ったことも、人々の生活に大きな損害を与えています。 雨が続くことにより、援助を必要とする人の数は短期間に急激に増えると予想され、食糧や保健、水、衛生、教育といった基本的なサービスが必要になります。洪水などの災害が起こった状況下で、飢えやトラウマ、混乱、また、下痢やマラリアといった伝染病の被害を一番多く受けるのは子どもたちです。 ユニセフの緊急活動 現在ユニセフは、他の国連機関や国内・国外のNGOとともにナミビア政府と協力し、被災地域の緊急援助活動に取り組んでいます。 健康と栄養、HIV/AIDS
多くの子どもたちが、健康や栄養を維持するだけの十分なサポートを受けられません。混雑する避難場所や安全な飲み水・衛生的なトイレが無いところでは、伝染病などの危険性も高くなります。また、もともとナミビア北部は腸チフスやマラリア、コレラなどの深刻な被害を受けており、この洪水被害によってこれらの被害は子どもたちを中心により大きく広がると考えられています。 ナミビアの中でも北部地域は、栄養不良率が最も高い地域です。その中でも特に貧しい地域では、子どもの4人に1人が栄養不良の状態です。洪水によって避難する人が増えれば、この数字も高くなるでしょう。そのために洪水による被害を測定し、必要な栄養を取れるよう支援をします。 また、ナミビア北部では20〜40%の人がHIV/AIDSに感染しています。この洪水は、HIV/AIDSですでに体力を失った人やその家族をより苦しめています。エイズウイルスの増殖を抑える抗レトロウイルス薬(ARV)配布などの保健サービスも混乱に陥っており、ARVがないことによる人々の不安も膨れ上がっています。このため、住民の大部分がHIVに関係ある病気にかかることも危惧されます。 緊急活動内容
*ユニセフは保健機関やWHO、WFPと協力し、必要とされる中・長期の活動実施実現に向けて取り組んでいます。 水・衛生 洪水の被害を受けた人たちにとって、水と公衆衛生へのアクセスの確保は最も重要な課題です。ナミビアの安全な水へのアクセス率の平均は87%ですが、今回の洪水によって、被災地域の水の供給状況は大きく混乱しています。そして安全でない水を使用する人が増えているため、子どもや体の弱い人たちへの被害が大きくなっています。避難地など人が多く集まる場所では、公衆衛生施設の欠如が、危険な水から生じる病気の蔓延にもつながります。赤痢や伝染病は特に人々に深刻な影響を与え、子どもたちにとっては死活問題です。
緊急活動内容
教育 多くの学校が洪水により被害を受けましたが、子どもたちの通学を守ることは重要な援助の一つです。また、ユニセフの長い災害支援の経験から、子どもたちを出来るだけ早く学校に戻すことは、最も効果のある緊急支援でもあります。学校は子どもたちに通常の生活や精神的安定を取り戻させる場所でもあり、そこでは、子どもや女性の身を守るための教育やHIV/AIDSに関する教育も受けられます。 緊急活動内容
保護 避難などで人々が移動することにより、子どもや女性に対する虐待や差別の危険性は高まります。そのため、すでに洪水により苦しんでいる人たちに、暴力などによるこれ以上の苦しみを与えないよう支援していく必要があります。 緊急活動内容
ユニセフは、この被災地域の緊急支援活動を行うための資金として、国際社会に対し、総額120万米ドル(約1億2200万円)の支援を要請しています。 |