財団法人日本ユニセフ協会



チャド:ユニセフ、数万人の避難民への緊急支援を準備

【2008年2月6日 ニューヨーク発】

重度の栄養不良に苦しむ1歳の息子を抱える女性。
© UNICEF/ HQ07-0251/Giacomo Pirozzi
紛争のため、難民キャンプでの生活を強いられている子どもたち(2007年)。

今月3日、チャドの首都ンジャメナで発生した武力衝突。ユニセフは、戦闘を逃れた数万の避難民への緊急支援を開始しました。チャド政府は先週末の暴動の鎮圧を宣言していますが、カメルーン北部のクーセリには何万もの避難民がなだれ込んでおり、国際的な援助を求めています。

「クゼリの状況は深刻です。避難する人の数は増加の一方です。クーセリや周辺地域には、今現在、5万8000の避難民がいます。このうち、少なくとも3万人が、特に危険な状況にあると考えられています。」ユニセフ・カメルーン事務所のシルビア・ルチアーニ代表はこう伝えます。

現地入りしたユニセフ職員5名を含む国連の合同チームは、現在、食料、水、医薬品やテントなどの緊急支援物資がどれだけ必要なのか、確認する作業を急いでいます。明日(現地6日)には、はしかや脳炎予防の予防接種やビタミンA剤の配布などを開始する予定です。ユニセフは、こうした活動と並行し、保護者を失うなどして特に危険な状況にある子どもたちの保護や、子どもたちに「安心できる時間・空間」を提供するために、学校活動の再開を最優先します。

続々と到着する避難民

重度の栄養不良に苦しむ1歳の息子を抱える女性。
© UNICEF/ HQ04-0400/Christine Nesbitt
2004年チャド難民キャンプで、ユニセフが支援するミルクをもらう親子。

カメルーンと川を隔てた場所にあるクーセリ。首都ンジャメナを逃れた避難民は、この川にあるンゲリ橋を渡ってゆきます。「自宅に戻るように」というチャド政府の指示に従う気配は見えません。

「クーセリに逃れた人々が自宅に戻る気配はありません。逆に日増しに増えています。水も毛布も食料もテントもなく、野宿を強いられています。ユニセフは、支援活動を急いでいるのですが、とても間に合いません。」ルチアーノ代表は語気を強めます。

ユニセフの初動支援チームがクーセリに到着したのは6日朝。チームは到着後直ぐ、子どもや女性の支援を最優先課題に、活動を始めました。物資も到着し始め、7日には予防接種や食料支援がスタートできる見込みです。今回の緊急の予防接種活動では、はしかに加え、チャド周辺の国々で発生している脳炎のワクチンも投与される予定です。

「避難民の数が増えています。心配です。支援活動の拠点を作り、誰にどんな支援が必要なのか見極めることを健闘しなければなりません。」ユニセフ・西部中部地域事務所のマーティン・ドウ広報官は語ります。

ユニセフは、約1万人分の子ども用の毛布と教材、遊び道具や衣服を準備しています。また、浄水剤や石鹸、バケツや緊急支援用の簡易給水タンクなども供給・設置する予定です。

避難民キャンプの状況

重度の栄養不良に苦しむ1歳の息子を抱える女性。
© UNICEF/HQ07-0243/ Pirozzi
重度の栄養不良に苦しむ1歳の息子を抱える女性。チャドのディアベル難民キャンプの仮設病院にて。

「緊急支援活動はまだ始まったばかりです。まだ我々が把握していない状況が他にもあることは容易に想像されます。」(ドウ広報官)

隣国スーダンのダルフール地域での紛争を逃れた4万人が暮らすチャド東部の難民キャンプにも援助が必要です。

「少なくとも状況が落ち着くことを願っています。我々のスタッフが状況を監視していますが、水不足や感染症の発生などで、避難民キャンプの状況が不安定になることをとても憂慮しています。」(ドウ広報官)。