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ソマリア 忘れられた緊急事態【2008年2月15日 ハルゲイサ発】
カードラ・アブドゥラーイさん(24才)は、それが何の音かすぐにわかる音があります。爆弾が爆発する音。叫び声と逃げる時に、彼女が家族の持ち物をバッグに投げ込む時の「ガラガラ」という音です。 「私たちが命からがら逃げなければならなかったのはこれが四度目でした。逃げるたびに、どんどんものが無くなっていまいます」と、彼女は話します。 アブドゥラーイさんが3歳の息子・アブドラシッド君を亡くしたと思ったのは、ほんの数ヶ月前。下痢を繰り返し衰弱していたアブドラシッド君の身体は、戦闘から逃れる道すがら、何ヶ月間も残飯で生き延びざるをえない状況の中で蝕まれていました。 アブドラシッド君は、ユニセフの支援を受けるソマリア北部の病院に入院しました。今、体重は徐々に戻り、健康を回復しつつあります。しかし、彼の主治医は、17年に渡る紛争が、再び彼とその家族を路頭に追いやってしまうのではないかと恐れています。 「ここにいる母親たちや子どもたちは、筆舌に尽くしがたい状況をかいくぐってきました。今の状況は、これまでにない程心配な状況です。」ホーダン・アーメッド医師は語ります。 資金不足ソマリア全土に内戦が拡大し、国内の食糧生産量が当初予測より不足してきたため、ユニセフは、2008年がソマリアの子どもたちにとって最悪の年になるのではないかと危惧しています。最新のデータによれば、子どもたちの間に広がる栄養不足は、ますます緊急事態の域を超えてきていることがわかります。 ユニセフは、2008年の緊急支援活動のため、昨年4800万ドル(約51億円)の支援を国際社会に求めました。しかし、このアピールへの反応は残念ながら皆無でした。ユニセフは、現状、なんとか支援活動を継続しています。しかし、110箇所で展開している栄養不良の子どもへの支援活動を支える資金が不足しており、現状のままでは、その半数を3月末までに終了させなくてはならざるをえない状況です。 ユニセフは、ソマリアの危機的な状況にある子どもたちを支援するために、580万ドル(約6億2千万円)を緊急に必要としています。ユニセフ・ソマリア事務所のクリスチャン・バールスレイ・オールセン代表は、「資金不足は、ソマリアの子どもたちの命を大きく左右する問題です」と訴えます。 支援が成果を生む影で・・・2007年、ユニセフは、次のような「成果」を上げました。
「昨年、ユニセフは子どもたちが置かれている状況を具体的に改善する様々な成果を上げました。しかし、ソマリアの状況は非常に流動的で子どもたちにとって厳しい状況のままです。国際社会がソマリアの子どもたちのことを忘れてしまわないように、切に願っています。」(ユニセフ・ソマリア事務所アッサ・アハメッド) 「今、援助を必要としています」
命をつなぐ支援が滞ってしまうかも知れない・・・ソマリアの子どもたち400万人にとって非常に過酷な現実です。1991年以来、政府が機能しない状況が続くこの国では、2世代にわたり、「子ども時代」が戦争や飢饉、病気によって苛まれました。国際社会の支援だけが、彼らの命をつないできたのです。 栄養不良と病気の子どもを診て回り、よい医薬品が手に入らないときは別の治療法で対象しようとしながら、アーメッドさんは国際社会の援助が来ることを祈っているといいます。 「栄養不良の子どもはどんどん増えています。全ての子どもを助けようと努力していますが、必要なことが全てできるわけではありません。ソマリアの女性や赤ちゃんには援助が必要なのです。一日でも早く、援助が必要なのです。」アーメッドさんは語ります。 |