ソマリア干ばつ緊急募金　第5報
アフリカ東部を襲う危機に全力をあげるユニセフ

【2011年7月22日　ニューヨーク発】

「アフリカの角（アフリカ東部）」と呼ばれる地域では、数十万人もの子どもたちが飢餓による死の危険に直面し、非常に深刻な状況が続いています。襲いかかる干ばつ、食糧価格の高騰、武力紛争の壊滅的な影響で、1,100万人以上の人々が飢餓に苦しんでいます。

国連は、ソマリア南部の2地域（バクール地方とシェベリ川下流地方）が飢餓状態にあることを宣言。また、緊急に対策が講じられなければ、今後2ヵ月間で、ソマリア南部の8つの地域全てに飢餓が広がると、警鐘を鳴らしました。

ユニセフは、185万人が、緊急に支援が必要な状況にあると推定しています。子どもたちの3人に1人が深刻な栄養不良に陥っている地域もあり、子どもたちは命の危険にさらされています。

時間との闘い

ユニセフは、日に日に深刻さの増す世界最悪の人道危機を食い止めるべく、必要な支援を提供するための緊急アピールを発表しました。

「ユニセフは、アフリカの角地域全てにおいて、今までに前例のない規模で治療用食品や栄養補助食品を届けるために、準備を進めています。」「命を救うためには、今、行動することが必要です。大量の医薬品、ワクチン、栄養関連の支援をできる限り早く、こうした支援が最も必要な子どもたちに届けなければなりません。」ユニセフ物流担当官のシャネレ・ホール代表はこのように話しました。

ユニセフは、7月初めから、栄養不良に陥っている6万6,000人以上の子どもたちを治療するための治療用食品を含む1,300トンの緊急支援物資を、ソマリア南部の最も深刻な影響を受けている地域に配布しています。

また、病気の流行を防ぐための支援として、今後数週間にわたり行われる予定となっている大規模な予防接種キャンペーンのために、殺虫剤処理された蚊帳やワクチンといった必須医薬品が空輸されています。

危機的状況

ケニア、エチオピア、ジブチ、ソマリアの半乾燥地域と乾燥地域全域にいる数千人もの人々が、食糧と飲料水を求めて何日も移動を続け、支援を待ちわびています。この支援がこうした人々の生死を分けているのです。

ソマリアでは、数十年におよぶ武力紛争と政情不安により、最も困難な状況に置かれている人々はすでにぎりぎりの生活を強いられ、危機的状況にありました。この苦難は果てしなく続くように見えます。隣国に追われた数万人ものソマリアの人々が、ケニア北東部のダダーブ等に連日辿り着いています。タダーブは、現在世界で最も大きな避難キャンプとなっており、38万3,000人を超える人々を収容しています。

この危機を生き延びるために

エチオピアでも、深刻な干ばつの影響で、フェディスをはじめとする干ばつの影響を受けている地域の子どもたちの栄養不良の割合が高くなっており、31万2,740人の子どもたちが深刻な栄養不良状態で、緊急に治療が必要な状態にあると推定されています。

「この地域の子どもたちの栄養不良状態が、今年ほど悪かったことはありません。」過去4年間、フェディス地区で活動している2つある団体のひとつ、ベリナ・アルバ診療所のレムレム・ウォルクさんはこう話しました。

最近、深刻な影響不良により41人の子どもたちが、ベリナ・アルバ診療所で治療を受けました。これは、昨年の同じ時期と比べて3倍も多い数です。ゲネテ・モハメッドさんの娘のイマンちゃん（1歳6ヵ月）も、この診療所で治療を受けた子どもの1人です。

「梅雨の時期に雨が降りませんでした。降っても、2日間だけだったんです。」「例年この時期は、とうもろこしの収穫時期です。ヤングコーン、じゃがいも、玉ねぎも、今、収穫時期のはずです。それに、エンドウ豆、ピーナッツもまだ収穫できていないんです。」

ゲネテさんは、ユニセフが支援して、週に1度提供されている治療用食事プログラムを受けるために、ベリナ・アルバ診療所にイマンちゃんを連れてやってきました。イマンちゃんが診療所にくるのは、今回で3度目。イマンちゃんは、徐々に回復に向かっています。

全ての子どもたちのために

最も困難な立場に立たされているアフリカの角地域の子どもたちに手を差し伸べ、活動をさらに強化するために、ユニセフは、今後6ヵ月間にわたる活動資金として、国際社会に約1億米ドルの支援を求めています。

ユニセフの東部・南部アフリカ地域事務所のエルハジ・アス・スィ代表は次のように話しました。

「ユニセフは、全ての子どもたちに手を差し伸べるために、でき得る限りの活動を展開しています。子どもたちとその家族の命を守るために妥協は許されません。」「全ての命が尊いものであり、この危機でこれ以上の命が犠牲になることがあってはなりません。」