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ソマリア干ばつ緊急募金 第8報
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© UNICEF Kenya/2011/Modola |
ケニア北東部にあるリボイで行われている5歳未満児を対象にした予防接種キャンペーンで、経口ポリオワクチンを投与される男の子。 |
ケニアとソマリアの国境にある埃っぽい町、リボイは、一見すると、ほとんど何の希望も見出せそうもない町のようにみえます。しかしながら、よく目を凝らしてみると、5歳未満の子どもたちに命を守る予防接種を届けるために、予防接種チームが、地域の保健員や村の長老達と共に全力で活動していることがわかります。
ケニア北東部にあるリボイやダダーブ周辺のコミュニティは、干ばつと食糧価格の高騰、そして(武力紛争による)ソマリアからの難民流出という3重苦に見舞われ、子どもたちは最も厳しい立場に立たされています。
かつて、リボイ周辺で飼育されていた牛やヤギ、その他の家畜は、アフリカの角地域全域を襲っている干ばつの影響で死に絶えています。現在、子どもたちが、はしかやポリオといった干ばつの際に流行しやすい病気を防ぐための支援が緊急に求められています。
ユニセフは、アフリカの角地域の危機を食い止めるべく、リボイをはじめとする干ばつの影響を受けた地域で、命を守る予防接種キャンペーンを実施しています。この地域の定期予防接種の普及率は依然として低く、病気が流行する危険性が高まっているのです。
また、予防接種率の低いソマリアからぞくぞくと押し寄せる難民の影響で、地元の子どもたちが、特にはしかといった命を奪う危険のある病気に罹るリスクも高まっています。
リボイでは、コミュニティの長老や保護者が協力して、子どもたちに予防接種を受けさせるべく、予防接種キャンペーンを展開している保健チームのところに子どもたちを連れて行っています。
10人の子どもを持つ母親のハワ・アブドゥラさんは、一番下のアユブちゃん(3歳)に、はしかとポリオの予防接種を受けさせ、ビタミンA補給剤、寄生虫駆除薬をもらうためにやってきました。
「子どもたちを守るために、予防接種が本当に必要です」と、アブドゥラさんは話します。アユブさんちゃんが病気に罹ることを心配しているアブドゥラさんは、予防接種によってアユブちゃんが元気に育つことを願っています。
© UNICEF Kenya/2011/Modola |
ケニア北東部のリボイでは、地域の保健員が5歳未満の子どもたちにはしかとポリオの予防接種、またビタミンA補給剤を提供するために、一軒一軒家を訪問して回っています。 |
本予防接種キャンペーンで現地のコーディネーターを務めるモハメッドさんは、希望を持ち続けています。モハメッドさんは、自身がポリオに罹った経験を持ち、全ての5歳未満児に確実に予防接種を提供することを強調しています。彼は、コミュニティの保健チームに加わり、予防接種を受けていない子どもがいないかどうか、一軒一軒家を回って確認しています。
炎天下で、埃の舞う中続けられているこうした活動は、大変厳しいものです。民家から民家までの距離が離れているため、歩くのは大変なことなのです。
「この地域の全ての子どもたちに予防接種を届けるために、この活動を全身全霊で一生懸命行っています。」「子どもたちがポリオに罹るとどうなるのか、どんな困難に直面するのか分かっています。私自身が経験したことですから。」
© UNICEF Kenya/2011/Modola |
家族とともに、ソマリアとケニアの国境にある町リボイを渡り、ダダーブの避難所へ向かうらくだの上にのった子ども。 |
リボイでの活動は、ソマリアの難民のための大規模な避難所となっているソマリア北東部に位置するダダーブと、その周辺地域に暮らす21万5,000人の子どもたちを対象にした予防接種キャンペーンの一環として行われています。ユニセフは、ケニア公衆衛生省、世界保健機関(WHO)と共に、今本キャンペーンをスタートしました。
このキャンペーンは、特に栄養不良の子どもたちにとって命にかかわる病気から子どもたちを守るべく、干ばつ全域の子どもたちを対象に、地域ごとに順々に行われています。
リボイを始めとするコミュニティは、子どもたちの生存の危機に直面しています。子どもたちは、食糧不足という理由だけで命を落としているのではありません。栄養不良の様々な段階の中で、子どもたちはより病気にかかりやすくなっています。栄養不良に陥る子どもの割合が増加するのと同時に、子どもたちの命の危険がさらに拡大していることが大きな課題となっています。リボイやその他の地域で行われている予防接種キャンペーンは、接種率を高める好機となっており、子どもの命が確実に守られています。