公益財団法人日本ユニセフ協会
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ソマリア干ばつ緊急募金 第14報
ケニア:困難な状況に耐え離れ離れで暮らす家族

【2011年8月22日 ケニア発】

ワジールをはじめとする町や村に設置されている避難キャンプ場に、男性の姿はほとんど見当たりません。ケニア北部に広がる広大な不毛地帯が干ばつに見舞われ、多くの家畜が息絶え、牧畜を営む何百ものコミュニティの人々が避難を余儀なくされています。その一方、こうしたコミュニティの男性たちは、避難所に避難することよりも、生き延びている家畜を探し出そうと、ケニア北部の乾燥地域を歩き回っているのです。家族を避難所に残している彼らは、政府と人道支援団体が彼らの不在を埋め、家族を守ってくれることを望んでいます。

さらに南へ移動

© UNICEF video
ケニア北東部に新たに避難してきた多くが女性と子どもたち。多くの家族が干ばつにより避難を余儀なくされ、僅かに残った作物や家畜の世話をしている父親と離れて生活している。

5人の子どもを持つ母親のサウダ・アブディラーマン・アビカルさんは、もう2ヵ月間も夫に会っていません。まとまった雨の降らない状態が数年続き、2010年の初め、サウダさん一家は、ソマリア国境近くに位置するケニア北東部のワジールに移り住むことにしました。やぎ150匹、らくだ100匹、牛70匹を育てていたサウダさん一家は、干ばつの影響でこうした家畜が15匹に減ってしまうまで、自分達はとても恵まれた生活をしていると考えていました。

サウダさんの夫は、家族と共にワジールまでやってきましたが、すぐにワジールを離れてしまいました。サウダさんの夫は、残された家畜の面倒をみるために、ガニュレに戻っていったのです。サウダさんが最後に夫に会ったのは、今年の6月。栄養不良に関連する病気で亡くなった一番下の息子さん(1歳)のお葬式を行ったときでした。サウダさんは、今夫がどこにいるのか、またいつ戻ってくるのかも分からないと話します。ユニセフの最新の調査では、牧畜を営んでいる人々は、飲み水と牧草地を求めて南へ移動し、また、武力紛争で否応なく勃発する食料や資源をめぐる争いが起きる中、より安全な他のコミュニティへと移動している人々も多くいることが報告されています。

地域をまとめているヤーヤ・アブディ・モハメドさんによると、サウダさんの暮らしている避難所には、160世帯が避難生活を送っており、その半数は女性が一家を支えている状況です。サウダさんのように、何ヵ月も避難所での生活を強いられている家族もいれば、避難所に辿り着いたばかりの人々もいます。

女性たちは、干ばつが続く限り、夫の帰りは期待できないと話します。「夫がいなくて寂しいですが、ここには彼のためになるようなものは何もありません。」「子どもたちは、食べるものがないと父親のことを聞いてきます。子どもたちも父親に会いたいのです。」(サウダさん)

ユニセフの支援活動

© UNICEF video
干ばつに見舞われるケニア北東部のワジール地域。

こうした女性たちの選択肢は限られています。ワジールの誇りっぽい町の通りで売られている食料品が唯一の選択肢です。多くの人は、救援物資に頼っていますが、毎月支給されるお米2袋ではほとんど足りません。そのため、家計を助けようと近くの採石場で働いている子どもたちもいます。

ユニセフは、こうした家族のために、給食施設の建設や学校に飲料水を提供している他、政府やその他の人道支援団体は、学校給食を供給しています。ワジール女子小学校には、ユニセフは、宿舎2棟を設置し、移動式ベッドを提供。また、井戸を設置するための掘削も行いました。8月は通常、学校は夏休みに入りますが、政府は、子どもたちに給食を提供するべく、全ての学校で授業を継続するよう指示しました。ワジール女子小学校の400人の子どもたちは、必須ビタミンを含む栄養を強化したおかゆ状の食事を毎朝支給されています。こうした支援は、家族が遠くまで移動することを防ぐだけでなく、子どもたちの教育への影響を最小限に食い止めることができます。

ユニセフは、この危機的状況の中、一定の基準を満たす家族に直接現金を融資する活動の実施も検討しています。模範となっているケニアや他のアフリカ諸国で成功を収めた現金支給プログラムは、人々の健康や栄養を改善し、子どもたちを学校に通わせる一助となっています。