公益財団法人日本ユニセフ協会
HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > ソマリア干ばつ緊急募金


ソマリア干ばつ緊急募金 第18報
干ばつ被害拡大が懸念 国際社会の一層の支援を!

【2011年9月5日 ジュネーブ発】

© UNICEF/NYHQ2011-1222/Holt
ソマリアにある病院で娘の手を握る母親。

干ばつや食糧価格の高騰、長期にわたる武力紛争に苦しむソマリア。子どもたちをはじめとする多くの人々の命が最も深刻な状況に置かれている地域が、ここにきて更に拡大する兆候を見せている一方、人道支援団体の多くは、最も支援を必要としている人々になかなか支援を届けられない状況に直面しています。

こうした困難な状況の中でも、ソマリア国内各地に常設の事務所を構え、長年にわたり国全土で人道支援活動を続けているユニセフの広報官は、5日、ジュネーブの国連本部で開かれた記者会見で、ソマリアの子どもたちが置かれている現状を次のように訴えました。

ソマリア南部の150万人の子どもたちが、緊急に支援が必要な状態です。

8月現在、生後6ヵ月から5歳までの45万人の子どもたちが、急性栄養不良に陥っているものとみられています。このうち、推定19万人が重症です。これは、健康な子どもに比べて、最大9倍も死亡する確率が高いことを意味しています。こうした重症状態にある重度の急性栄養不良の子どもたちの多く(75パーセント)は、ソマリア南部に集中しています。

© UNICEF/NYHQ2011-1219/Holt
ソマリアのモガディシュで、父親に抱えられて病院へ向かう子ども。

ソマリア南部のほとんどの地域で、6人に1人の子どもたちが深刻な栄養不良に陥っています。中でも、「ベイ」と呼ばれる地域の急性栄養不良の割合が最も高く、58パーセントにも達しています。これは、WHOが“危険域”として定めている15パーセントの約4倍近くに達します。

下シャベレとアフゴイの河川地域と農牧地域、そして首都モガディシュで避難生活を送っている人々の間では、1日10,000あたり13人を超える高い割合で、5歳未満の子どもたちが命を落としています。農村部のジュバ地域を除くソマリア全土の5歳未満児の平均死亡率は、1日10,000人あたり4人強です。

今支援が届けられなければ、急性栄養不良の子どもたちの多くは、数週間以内に死亡する可能性があります。一方、治療さえ受けられれば、こうした子どもたちの健康状態は、急速に回復するのです。

ユニセフは、次のような支援活動を展開しています。その拡充・継続のために、国際社会からの一層の支援が必要です。

  • 今年1月から7月までの間に、重度の急性栄養不良状態にある6万3,400人の子どもたちに、治療支援を提供。中度の急性栄養不良状態の子ども90,080人には、補助栄養食を使った支援を提供。
  • ソマリア全土に設置された800箇所の栄養不良治療用の給食センターを支援。うち、子どもたちの状況が深刻なソマリア南部の約500箇所のセンターでは、月平均7,500人だった受診者数が、1万7,000人に達する事態に。
  • ユニセフが現在最も力を入れていることの一つは、(治療センターに来た子どもたちだけを対象にするのではなく)、今回の被害が深刻な地域に住む全ての子どもたちとその家族に、補助栄養食を提供する活動。今後半年間にわたり、毎月20万世帯に、こうした支援を提供することを目指している。
  • 約300箇所の母子保健センターを通じ、200万人以上の子どもたちに緊急の保健サービスを提供すべく準備を進めている。また、ソマリア最大の都市モガデシュに住み続ける人々や、モガデシュから逃れてきた人々が一時的に身を寄せている地域で、栄養不良治療センターなどを拠点に、飲料水や衛生施設(トイレ)へのアクセスの拡充を図っている。