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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第21報
水や食糧支援を待つ100万人以上の子どもたち

【2010年8月2日 ニューヨーク発】

パキスタンは、1929年以来の大洪水に見舞われています。死者は1400人以上。100万人以上の子どもたちに、緊急の支援が必要な状態です。

北西部の山岳地域に位置するカイバル・パクトゥンクワ州は、この洪水の最も大きな影響を受けています。推定350万の同州の住民の多くが、収穫物を失い、自宅が流されたり全半壊している様子を目の当たりにしました。

最も必要な支援
© UNICEF/NYHQ2010-1566/Asad Zaidi
カイバル・パクトゥンクワ州で、洪水の水の中を歩いて、崩壊した自宅から持ってきた木材を運ぶ男の子。

多くの地域で通信網が遮断されています。橋や幹線道路、一般道は、洪水により通行止めとなっていたり、倒壊してしまったところもあるため、多くの被災地が孤立しています。

「食糧と安全な飲料水が切実に求められています。」「被災者の間で感染症が流行することが、最も懸念されています。」

ユニセフが、幼い子どもたちの命を奪う危険のある下痢性疾患の流行を防ぐための活動を展開している被災地から戻ったばかりのユニセフ・パキスタン事務所のマーティン・モグワンジャ代表は、こう語りました。

洪水により、上水道が汚染され、損傷を受けた状態にある地域に住む数十万人の人々に、安全な飲料水を提供することは、今、最も重要な活動の一つとなっています。ユニセフは、パキスタン当局と共に、できる限り早く井戸を修繕し、水源を確保するべく活動しています。また、被災者が、水を口にする前に、浄水できるよう塩素錠剤も配布しています。

現地調査
© UNICEF Pakistan/2010/Mogwanja
最も大きな影響を受けた地域のひとつ、カイバル・パクトゥンクワ州の状況。

被災地を空からも視察したモグワンジャ代表は、洪水によるコミュニティの被害状況を直接目にすることができました。

「家屋は、文字通り、泥水の中に浮かんでいました。」「農作物は流され、壊滅的な状況でした。木々も洪水の水に押し倒されていて、ほとんどの建物が崩れていました。」

モグワンジャ代表は、また、人々が木に登って避難しなければならなかった話や、屋根に上って生き長らえた話も聞きました。また、洪水で親類を亡くし、洪水の水が引いたら、葬儀をしようと、遺体をなんとか乾かそうとしている人々とも会いました。

「被災地の復興に必要な期間を割り出すのは、非常に難しいことです。」 モグワンジャ代表は、崩壊してしまった(学校や病院などの)基本的な施設の再建作業だけで、少なくとも3ヵ月から6ヵ月はかかると語りました。

新たな洪水の恐れ

洪水に見舞われたいくつかの地域では、水が引き始めています。しかし、新たなモンスーンが被災地に向かってきている模様で、専門家は新たな洪水被害を懸念しています。

「安全な飲料水、避難所、水を媒介とする病気を治療するための保健ケア・サービスが、緊急に求められています」「さらに、食糧の確保が今の課題です。食糧の大部分が失われてしまいましたから」(モグワンジャ代表)。