|
パキスタン緊急募金 第32報
|
© UNICEF Pakistan/2010/Sami |
洪水被災地の子どもたち |
パキスタンの洪水被害は、北部から南部にその規模を拡大し、パンジャブ州にも壊滅的な被害を及ぼしています。パンジャブ州では、州全域の12地区が被災。数百万もの人々がこの影響を受けました。数千棟の家屋が倒壊。数十人が死亡したと報告されています。
パキスタンの洪水被災地を訪れているユニセフ・南アジア地域事務所のダニエル・トゥール代表は、パンジャブ州南部の最も被害の激しかった地区のひとつ、ムザフェラバードの被災者たちが避難生活を強いられているキャンプを訪れました。
ユニセフは、洪水の被災地を巡り、被災者に話しかけながら彼らのニーズを確認。被災地の被害状況の把握を図っています。
洪水被災地の多くの人々は、パキスタン政府と国軍によって設置された仮設キャンプでの暮らしを余儀なくされています。トゥール代表は、ムザフェラバードの約30箇所に設置された避難キャンプのひとつ、チョーク・サルワル・シャヒード避難キャンプを訪れました。この避難キャンプのほかにも、自然発生的にできた「避難キャンプ」が17箇所あると報告されており、5万人の被災者がそこで生活していると見られています。
今回の大災害で被災した人々は、トラウマ(精神的外傷)や自宅や生活の糧を失った悲しみに苦しんでいます。こうした苦しみを抱える母親のひとり、シャミム・ビビさんは、子どもたちを連れて洪水の中を歩き、何とか避難キャンプまで辿り着きました。考えうる最悪の悪夢が現実となったと、ビビさんは話しました。
「ここでの生活は大変です。」「まともな食事は、1日2回。子どもたちの体調も優れません。以前は、子どもたちは学校に通っていました。彼らは、ここが好きではないのです。子どもたちは、常に不安に付きまとわれているようです。」(ビビさん)
ビビさんのような家族を支援するために、さらなる支援が切実に求められています。しかし、未だに深刻な資金不足が洪水被災地全域での支援活動を脅かしているのです。
「この地域の洪水被害は、信じられないほどです。」「パキスタン政府は、懸命に活動しています。ユニセフは、子どもたちに、飲料水とビタミン補給剤を提供するべく活動していますが、この悲劇的なほどの洪水被害の規模と範囲に対処しきれていない状況です。」(トゥール代表)
水を媒介とする疾患の発生を防ぐため、ユニセフは、給水車や塩素浄水剤を使って、避難キャンプに安全な飲料水を提供しています。また、ユニセフのパートナーによって、避難キャンプに新しいトイレが設置されています。
さらに、ユニセフは、避難キャンプでの生活を余儀なくされている子どもたちのために「子どもに優しい空間」を設置。子どもたちに、教育やレクリエーション活動の場と機会を提供しています。