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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第35報
パキスタン洪水
日本は官民合わせユニセフに500万ドルを緊急拠出
350万人の子どもたちが感染症の脅威に直面

【2010年8月31日 パキスタン発】

© UNICEF/NYHQ2010-1650/Marta Ramoneda
洪水の影響を受けたシンド州スックルで、食糧をもらおうとボールを差し出す女の子。

建国史上最悪と言われる大洪水に見舞われているパキスタン。1,800万人近くが被災し、うち約半数が子どもだと言われています。

こうした状況を受け、日本政府と日本ユニセフ協会は、国連児童基金(ユニセフ)に対し、それぞれ300万ドルと200万ドル相当の緊急拠出を決定しました。これにより、今回の洪水で被災したパキスタンの子どもや女性たちに対し、ユニセフを通じ日本として官民合わせて総額500万ドルの支援を行うことになります。

ユニセフは現在、毎日およそ200万人の被災者に、各州で活動するNGOなどと協力し、安全な飲み水を提供しています。また、医療品、栄養補助食品、家庭用衛生キットを配布。さらに、被災地域において、予防接種キャンペーンや、衛生的な環境確保のための活動を展開しています。しかし、洪水被害は広範に及び、最大350万人の子どもたちが赤痢や下痢、コレラなどの感染症の脅威に晒される危険性があります。

パキスタンでの洪水被害に関し、日本政府は二度に亘りユニセフに対する拠出を行いました。一回目の拠出(100万ドル相当)は、今月3日に決定された300万ドルの緊急無償資金協力の一部として、また、今回新たに明らかとなった二回目の拠出(200万ドル相当)は、パキスタン政府の要請と今月11日に国連が発表した初期緊急洪水対策計画を踏まえ、16日に決定された1,000万ドルを上限とする緊急無償資金協力の一部として実施されます。

特に一回目の拠出は、他の支援国と比べても早い段階で拠出されました。日本政府からの支援金は、被災した人々に安全な飲み水を提供し、衛生について啓発するためのユニセフの活動に使われます。その結果、汚染された水を介して感染する疾病により子どもが死亡するのを、防ぐことが期待されています。

© UNICEF/NYHQ2010-1673/Marta Ramoneda
パンジャブ州にあるバッセエラ村で、浸水した道路をバイクで渡る被災者。

また、日本ユニセフ協会による拠出は、これまでに全国からお寄せいただいた募金や緊急拠出積立金(ユニセフ本部の要請に基づき、自然災害や紛争など緊急事態の発生時に柔軟に対応するために積み立てられている資金)より拠出されるものです。

日本による今回の支援に関し、駐日パキスタン・イスラム共和国特命全権大使ヌール・ムハマド・ジャドマニ閣下からは、次のようなコメントが寄せられています。

「日本の政府および皆様の温かいご支援に感謝いたします。パキスタンでは国土の5分の1が浸水し、橋や道路、そして広大な農耕地が洪水の影響を受けました。また、多くの人々が家を失い、感染症の危険に晒されています。被害が拡大する一方、国の対応能力は追いつきません。パキスタンは、被災者の救援とインフラの復興のため、国際社会の支援を早急に必要としています。」

ユニセフの南アジア地域代表のダン・トゥールも、日本の貢献に対し謝意を表明しました。「時機を得た日本のご支援に感謝いたします。頂いたご支援によってユニセフは、被災した子どもたちに必要な援助を届けることができます。パキスタンでは、洪水被害に対応するため今後数ヶ月間に亘り国際社会の支援が必要となります。日本の皆様も子どもたちへの支援を続けていただけるよう、お願いいたします。」

ユニセフはパキスタンの洪水に関し、当面の支援活動に必要な資金として、国際社会に対する要請を1億4,100万ドルまで引き上げましたが、8月26日時点で4,750万ドルしか受領できていません(このほかに、2,480万ドルがドナーによって誓約されています)。例えば教育の分野においても、パキスタン各地で約11,000の学校が洪水によって倒壊し、6,100校以上近くがほぼ140万人の被災者の避難所として使用されていると見られることから、学校再開などに向け、中長期的な支援が求められます。