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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第28報
途方も無いスケールの危機

【2010年8月17日 パキスタン発】

© UNICEF/NYHQ2010-1565/ZAC
パキスタンの洪水被災地を訪れたユニセフ・南アジア地域事務所のダニエル・トゥール代表。

ユニセフ・南アジア地域事務所のダニエル・トゥール代表が、パキスタンを襲う深刻な洪水被害の状況を視察するため、カイバル・パクトゥンクワ州を訪問。今回の洪水被害で、最も深刻な影響を受けている州のひとつである同州で、何十万人もの女性と子どもたちを対象に行われているユニセフの緊急支援活動の状況を確認しました。

「途方も無いスケール」の危機

「パキスタンが直面している緊急事態。その切迫した状況や、被害の規模は、国際社会に十分に理解されていません。」「迅速で大規模な支援が求められています。数百万人もの人々が避難を余儀なくされているのです。自宅に戻るための支援を求めています。また、健康状態を保つための支援も必要です。」 現地視察中、トゥール代表はこう述べました。

© UNICEF/NYHQ2010-1624/ZAK
仮設テントでの生活を余儀なくされている被災者。2000万もの人々が、この洪水の影響を受けました。

トゥール代表は、他国連機関と協力して、現地自治体も、子どもを含む最も弱い立場の人々の命を守る支援を行うために、大規模な救援活動を行っていると報告。しかしながら、支援がまだ行き届いていない人々に、大至急、支援を届ける必要があると強く訴えました。

ユニセフは、7月下旬にパキスタンが洪水被害に見舞われてから、カイバル・パクトゥンクワ州で、最も必要とされている支援物資を届けている人道支援団体のひとつです。政府の推計によると、この洪水によって、少なくとも1,600人が死亡。被災者は2,000万人近くに上っています。

求められる国際社会からの支援

ユニセフは現在、一日に100万人以上の被災者に、飲料水や医療品、栄養補助食品、家庭用衛生キットを配布しています。また、ユニセフは、これまでに、医療チームを被災地に派遣。洪水の影響を受けた全ての地域で、予防接種キャンペーンや(伝染病の発生などを防ぐための)衛生的な環境の確保のための活動を展開しています。

しかしながら、こうした活動は、洪水の被害が、絶望的に壮大な規模に拡大している状況においては、まだ、ほんの小さな規模に過ぎません。

「ユニセフは、国際社会からの支援を必要としています。」 トゥール代表は、日頃からユニセフを通じて世界の子どもたちを支えてくださっている皆様に、更なる支援を求めました。ユニセフは、避難キャンプでの生活を余儀なくされている人々への飲料水の提供のために、通常予算(通常の支援活動に活用する予定であった資金)の中から、とりあえず700万米ドルの資金を捻出しました。しかしながら、さらなる資金が今すぐにでも必要な状況です。

「約2,000万人の被災者が支援を待っている緊急事態です。」「これは、近年稀に見るスケールの緊急事態です。保健・医療、栄養など、緊急に求められている支援を提供するためには、多額の活動資金が必要です。」(トゥール代表)

ユニセフは、先月末、パキスタン北西部を襲った洪水被災地で展開する緊急人道支援活動に、当面(今年10月までの活動に)必要な資金として、国際社会に対し、47,344,820ドル(40億円あまり)の支援を求めました。しかしながら、現在のところ、支援はほとんど集まっていません。