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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第36報
子どもたちが安心できる場所を

【2010年8月31日 パキスタン発】

ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、8月31日、2日間にわたるパキスタン視察を終えました。今回の視察で、レーク事務局長は、パキスタンが直面している未曽有の緊急事態の状況を目の当たりにしました。モンスーンによる異例な豪雨による洪水被害で、1,700万人以上の人々が被災しています。

懸念される感染症の大流行
© UNICEF/NYHQ2010-1646/Ramoneda
カイバル・パクトゥンクワ州チャルサッダにある避難所となっている小学校で、ポリオのワクチンを投与するユニセフのアンソニー・レーク事務局長。

カイバル・パクトゥンクワ州北西部のチャルサッダは、レーク事務局長が視察に訪れた地域のひとつです。紛争地帯であるこの地域の人々は、今回のモンスーンによる洪水の影響を受けて、さらなる困難に苦しめられています。この地区の人口170万人の75パーセントの人々が、今回の洪水で被災。約7万人が、避難所として利用されている学校での生活を余儀なくされています。

レーク事務局長は、チャルサッダ郊外のこうした避難キャンプ2箇所を訪問。この2つのキャンプには、およそ1,460人の子どもと440人の女性を含む計332世帯の家族が暮らしています。ユニセフは、飲料水の提供やトイレの設置、保健、公衆衛生、子どもの保護のための活動を展開しています。

レーク事務局長は、避難キャンプで、州の災害対策担当者と面会。被害状況の説明を受けました。また、レーク事務局長は、ユニセフとパートナーが行っている教育やレクレーション面、そして保健分野での支援活動を、精力的に視察しました。子どもたちが興じるゲームに加わったり、避難キャンプにいる女性たちから、自宅を失い、ほとんどの所持品を失った洪水被災者たちが直面している困難な状況と問題点を聞いて回りました。

「ユニセフは、できることは全てやるつもりです。これは、この緊急事態の間だけというわけではありません。現在の緊急事態が終息に向かっても、支援活動を継続していきます。」レーク事務局長は、避難キャンプを視察中、同行した報道関係者にこう話しました。また、ユニセフが、人々の命を奪う危険性のある病気の流行を非常に懸念しているとも語りました。

安心できる場所
© UNICEF/NYHQ2010-1677/Ramoneda
カイバル・パクトゥンクワ州チャルサッダにある避難所となっている小学校で、ユニセフの支援で設置された「子どもに優しい空間」で、ボードゲームに興じる子どもたち。

「パキスタンは、ポリオの感染例が現在でも確認されている、世界でも数少ない国のひとつです。ですから、世界中の国々が、はしかや下痢性疾患、ポリオだけでなく、他の疾患の流行を防ぐ最善の方法を探し、注意を向け続ける必要があります。」「この特異な地域は、とても多くの様々な理由で、非常に重要な地域なのです。」

建国史上最悪と言われている今回の大災害により壊滅的な影響を受けているパキスタンで、チャルサッダにある避難キャンプは、人々が安心することができる数少ない安らぎの場所となっています。パキスタン全域で、860万人近くの子どもたちが洪水による影響を受け、約350万人が下痢性疾患の脅威に晒されています。ユニセフは、さらなる支援が早急に行われなければ、さらに被害が拡大する恐れがあると、警鐘を鳴らしています。