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パキスタン緊急募金 第44報
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© UNICEF/Pakistan/2010/ZAK |
パキスタン南部シンド州のタッタで妊産婦の検診を行う女性ヘルスワーカーのアスマ・ファロークさん |
このような状況で、特に妊娠中の女性が危険な立場に置かれています。
パキスタン政府はユニセフの支援を受け、「妊産婦、新生児及び子どもの保健プログラム」(MNCH)を通して出産前および出産時の基礎的なサービスを母親に提供し、出産後の母親と新生児のケアも行っています。ここタッタの町では、このMNCHセンターが3ヶ所設置されていて、洪水で住む場所を追われ、周辺の避難キャンプで暮らしている人に基礎的な保健サービスを提供しています。
しかし、残念なことに、多くの女性がこの保健サービスの存在を知らず、また、これらの保健センターへ通うことができない状態にあります。そこで、より多くの人にサービスを届けるため、また、妊婦さん全員に必要なケアが届くように、ユニセフは移動式の保健チームを支援しています。
チームには医師1人、女性のヘルスワーカーと地域の助産婦がいます。彼らは妊娠中、もしくは出産して間もない女性と赤ちゃんを探し出し、妊娠中と出産直後に必要なケアを行います。必要な時には、一番近い病院へ照会します。時には、病院までの距離が遠いことや、照会する時間が十分にない時もあります。
ハリーマさんと出会ったのも、三つの内の一つの保健チームが避難民キャンプを巡回していた時でした。リハーナ・ラフィーク・メモン医師が率いるチームは、ハリーマさんの妊産婦検査をした時、ハリーマさんに子どもが生まれそうになったらすぐにチームに声を掛けるよう言いました。
子どもが生まれそうになった日、ハリーマさんはチームを呼びました。その時、ハリーマさんはすでに出産間近でした。ハリーマさんはすぐさまテントに運ばれ、30分後、ロープで作られた簡易ベッドの上で女の子を出産しました。赤ちゃんはハリーマさんの母親と同じ名前をとって、ラリーと名づけました。
洪水の水が引いた今、避難先から家に戻る人々が増えています。そのため、被災者が分散してしまい、ケアを必要とする人々に基本的なサービスを届けることがより一層難しくなっていきます。そこで、パキスタン政府やユニセフ、それから人道支援団体は互いに連携して、パキスタン全土における早期復興への取り組みを急速に拡げています。
その一方で、ユニセフは、洪水が起きる前よりも多くの人々に、保健や栄養、衛生、教育といったサービスを届けられるようにするための支援構築にも取り組んでいます。ユニセフはパキスタンにおける女性や子どもたちの保健や生活を改善するため、今もそして今後も、長期的かつ持続可能な支援を続けています。