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東日本大震災緊急募金 第181報
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日本ユニセフ協会がおこなっている東日本大震災復興支援の柱の一つ、「子どもの保護」。その中の一つである社団法人J-CAPTAとの連携事業では、子どもたちの人権を守り、暴力を予防し、本来持っている一人ひとりの生きる力の回復を、復興の中で継続して支えていくことを目的に、CAPプログラム(「子どもへの暴力防止」の略で、子どもたちがさまざまな暴力から自分の心と体を守るための教育プログラム)を取り入れたプロジェクトを進めています。
具体的には、CAPプログラムを実践する、“暴力防止スペシャリスト”を地域で養成しながら、被災地域や被災した子どもたちが過ごしている避難先の学校、児童養護施設等で、子どもやおとなを対象にしたCAPワークショップを実施しています。
この『CAPスペシャリスト養成講座』は、2011年に宮城県仙台市、岩手県盛岡市で、2012年9月から10月には福島県福島市で開催し、行政担当者や保育士、教員、子育て支援関係者を含む受講者の方々から大きな反響がありました。
岩手県では、一昨年の盛岡市での養成講座に参加し、“暴力防止スペシャリスト”となった方々が中心になって、沿岸部山田町で初めての地域のおとなを対象にしたCAPワークショップが開催されました。その後も沿岸各地で開催され、CAP岩手が対応するなど、実践的な広がりを見せています。沿岸部でのワークショップに参加された方々から、地域の子どもたちにCAPを受けてもらいたい、近くで養成講座を開催してほしい、という声があり、今回岩手県山田町での『CAPスペシャリスト養成講座』が実現しました。
今回の養成講座は、12月21日からの3日間で「基礎編」、1月19日からの2日間で「実践編」が開催され、山田町、大槌町、釜石市、宮古市をはじめ、岩手県内外から計27名が参加しました。行政関係者、保健師、保育士、教員、民生児童委員、子育て支援やNPO関係者、学生など、子どもに関わる様々な職種の方々が、暴力防止教育の理論や思想、子ども虐待についての知識や子ども・おとなワークショップの手法を学び、活発な意見交換も行われました。
養成講座の運営を支援したCAP岩手・沿岸サポーターの阿部さんと上野さんは、「今回山田町で開催したことで、地域の皆さんにCAPを知っていただく大変よい機会となりました。今後、山田町の子どもたちや地域の方々にCAPを届けられたらと思います」と熱心に語ってくださいました。
参加者からは、「自分たちが社会をよりよくするための小さな種をもらった気がする。自分にできることを考えて少しずつ広めていきたい」「いろいろなボランティアをしてきたが、あらためて気づかされることがあった。地域を明るくしていく原動力になれば・・・」「CAPが地域に根付いたら子どもたちも安心して過ごせるのではないか」「たくさんの素敵な方に出会えてネットワークができたことがうれしい」などの感想が寄せられました。また、「岩手沿岸からCAPを盛り上げていきたい」という意見もあり、今後の活動に期待が高まります。
J-CAPTAチーフディレクターの木村里美さんからは、「CAPは不安を勇気にかえるプログラムです。「あなたは大切な人だよ」というメッセージをCAP活動を通して、沿岸部で暮らす子どもたち一人一人に届けたいと思います。今回沿岸部にCAPスペシャリストがたくさん誕生しました。沿岸部に新たなCAP実践グループを発足し、日常的に継続してプログラム提供ができることを期待しています」と語ってくださいました。
写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会