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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災復興支援 第206報
みなさまのご支援で — 宮城県女川町の「今」

【2013年8月21日 女川発】

© 日本ユニセフ協会
完成から1年半あまり。当初、子どもたちの放課後の遊び場を確保するために設置された“オレンジハウス”は、今、子どもたちのみならず、町民の方々への様々な公共サービスを提供する場として活躍しています。8月21日、女川町の方のご案内で施設を訪問した宮城県ユニセフ協会の五十嵐事務局長から、「とてもきれいに活用されていて、まるで設置されたばかりのようでした」と伝えてきました。

東日本大震災の被災地の中で、人口に対する死者・行方不明者の割合が非常に高かった宮城県女川町は、特に震災直後からの約1年にわたり、日本ユニセフ協会が緊急・復興支援活動を大きく展開した地域の一つでした。震災発生から間もなく2年半。みなさまのご支援で女川町に作られた様々な施設が、今も、町の子どもたちや町民の方々の生活を支えています。

オレンジハウス

僅かに残った土地も仮設住宅などに使われ、子どもたちが安心して遊べる場所の確保が、ほぼ全ての被災地に共通した課題でした。特に、7割近くの建物が津波で流失するほどの甚大な被害を受けた女川町の状況は非常に深刻で、一刻も早い対応が求められていました。このため、日本ユニセフ協会は放課後の子どもたちが、悪天候の中でも安心して過ごすことができるスペースとしての学童保育施設を、極短時間で設置できるトレーラーハウスを利用する形で提供しました。その色から“オレンジハウス”と呼ばれるようになった3棟のトレーラーハウス(うち1棟は、俳優の中村雅俊さんが女川町に寄贈)は、震災の年のクリスマスに完成しました。

あれから約2年経った今、オレンジハウスは、1号棟が、地域の法律相談に。2号棟は、子育て支援関連の活動に。3号棟は、スクールカウンセラーの相談活動にと、子どもたちだけではなく、地域の方々にとって欠かせない公共サービスを提供する場として活用されています。女川町役場の方も、「なかなか(個人面談などのための)個室の確保ができない状況なので、すごく重宝しています」と語っていらっしゃいました。

ちゃっこい絵本館

© 日本ユニセフ協会
女川第二小学校昇降口脇に設置された『ちゃっこい絵本館』。2年前、「ちっちゃな図書館プロジェクト」にボランティアで協力してくださったクリエーターや地元のみなさんと一緒にペンキを塗った扉も、当時の鮮やかなユニセフカラーのまま。「大切に使用されていて、女川の方の気持ちが伝わってくるようでしたよ」と、五十嵐事務局長も語ります。玄関前の看板には「おひるね中です」の文字。「児童クラブ」(学童保育施設)としても活躍中です。

「被災地の子どもたちに、絵本と笑顔を届けよう!」と、絵本の寄贈を呼びかけた『ユニセフ ちっちゃな図書館』プロジェクト。全国のみなさまからお寄せいただいた30万冊を超える絵本や児童書が、避難所や幼稚園、保育園、小学校、そして、外遊びがままならなくなった小さな子どもたちを持つ福島県内の多くの家庭に贈られました。

震災前、女川町は、2011年6月のオープンを目指して「絵本図書館」の準備を進めていました。しかし、この計画は、開館に向けて集められていた4万冊の絵本とともに津波で流出。そこに寄せられたのが、「ちっちゃな図書館」プロジェクトや、他の市民団体、企業などから寄贈された約5000冊の絵本でした。

一度は津波とともに流れてしまった「絵本図書館」の計画でしたが、日本ユニセフ協会は、女川町の方々のご要望を受け、「子どもに優しい空間」支援の一環として、本棚やマットなどを用意。「ちっちゃな図書館」プロジェクトの企画・製作・運営に無償でご協力いただいたクリエーターの方々にも女川町に通っていただき、震災から2ヶ月後の5月10日、女川第二小学校のオープンスペースの一角に、『女川ちゃっこい絵本館』が完成。学校が閉まっている時も利用できるにと、同年8月に、校舎1階の昇降口脇に再オープンしました。

現在、学童保育のスペースとしても活用されている『ちゃっこい絵本館』。今も、全国のみなさまにご寄贈いただいた絵本や児童書が、子どもたちに憩いと学びの時間を提供しています。

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