HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > ハイチ地震緊急・復興支援募金
財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第20報
ユニセフの支援は、ドミニカ共和国に逃れた被災者にも

【2010年2月1日 ドミニカ共和国・ジマニ発】

© UNICEF/2010/Bakody
ドミニカ共和国のジマニにあるプエン・サマリターノ病院に作られたテント村。被災者は、大きな余震を恐れ、屋内に留まることを恐れている。

ハイチの隣国、ドミニカ共和国のとある広場。子どもたちがサッカーをすることができるくらいの広さのこの場所は、ブエン・サマリターノ病院の一角です。この広場には、今、血のついたマットとシーツを棒に引っ掛けて作っただけの“テント”で埋め尽くされています。

1月12日のハイチ地震で負傷した人々は、余震に脅えながらこの病院で治療を受けていました。地震が起こったとき、多くの人々が、子どもたちたちを抱えて外に逃げました。

ブエン・サマリターノ病院は、傷を負った被災者の治療を行っている国境付近にある5つの治療センターのうちのひとつです。4つのセンターは、ハイチとの国境付近の町ジマニに、あとのひとつは、ハイチのフォン・パリジャンから約20キロの場所に設置されています。

不足する飲料水とトイレ
© UNICEF/2010/Bakody
サントドミンゴから駆けつけたユニセフの水と衛生担当官は、施設が飽和状態になっていたジマニとフォン・パリジャンの治療センターに、新しい貯水タンクとトイレを設置した。

ジマニの国立病院に設置されたセンターを除き、全てのセンターでは、海外(ほとんどが米国)から駆けつけた医師と看護師が活動にあたっています。ドミニカ共和国政府の支援の下、医師たちは、被災者の命を繋ぐために全力を尽くしています。現在、骨折の治療と感染症を防ぐための治療で手一杯の状況です。

数千人にものぼるハイチの被災者、そしてその4割と推定されている子どもたちは、この5つのセンターだけが頼りです。被災者でごった返した各センターでは、安全な飲料水とトイレの供給量は、その需要に追いつかない状況です。

こうした状況に対し、ドミニカ共和国の首都サントドミンゴにあるユニセフの現地事務所は、ドミニカ共和国保健省と他の人道支援団体と協力して、各治療センターに、追加のトイレと給水タンクの設置を始めました。清掃用品の提供と技術的な支援も始まっています。

感謝の念
© UNICEF/2010/Bakody
ハイチとの国境付近にあるドミニカ共和国の町ジマニにあるブエン・サマリターノ病院で、骨折した足の治療を受けているマラキくん(13歳)。怪我は回復に向かっている。

エリゼスさんと息子のマラキくん(13歳)は、シャワーを浴びるのを楽しみにしています。

エリゼスさんたちは、ハイチの首都ポルトープランスにある自宅が震災で倒壊してから、服を着替えることもできませんでした。エリゼスさんは、いまだに愚痴ひとつこぼしません。それどころか、ドミニカ共和国政府と、マラキくんの骨折した足を治療し、きれいな包帯で巻いてくれたブエン・サマリターノ病院に感謝しています。

「よかったね、マルキ。」そう問いかけるエリゼスさんに、マルキくんは一瞬笑顔を見せ、太股の上の包帯ピンを誇らしげに見せてくれました。

生死にかかわる問題

シャワーや清潔なトイレは誰もが歓迎する支援です。しかし、こうした緊急事態の中で、安全な飲料水と衛生施設(トイレ)や衛生的な環境の確保は、特に子どもたちの生死にかかわる重要な問題です。下痢性疾患をはじめ水を媒介とする病気は、5歳未満の幼い子どもたちの主な死因となっているのです。

こうした理由から、安全な飲料水の配布と衛生環境の確保、衛生習慣の普及が、ハイチ地震の被災地や緊急事態下にいる子どもたちのためのユニセフの支援活動の柱の一つなのです。現地時間2月1日現在、ユニセフは、様々な人道支援団体と協力して、40万人以上の被災者に安全な飲料水を提供しています。