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公益財団法人日本ユニセフ協会
 

エボラ出血熱緊急募金 第17報
エボラ出血熱・リベリア
感染4カ国で最多の死者、感染拡大中
夜間外出禁止令などで社会的混乱も

【2014年8月20日 モンロビア(リベリア)発】

ユニセフのパートナー団体が教会でエボラ出血熱の予防方法について伝える様子。(リベリア)
© UNICEF/UNI167541/Jallanzo
ユニセフのパートナー団体が教会でエボラ出血熱の予防方法について伝える様子。(リベリア)

エボラ出血熱の感染が確認された4カ国で、最も多くの死者が出ているリベリア。感染拡大阻止のために、夜間外出禁止令や感染が広がっている地区の隔離などの対策が取られた結果、社会では混乱も生じています。

ユニセフは、感染と感染拡大を防ぐため、一般市民に向けた教育・広報活動、隔離用テントやベッドの提供を含め、治療に必要な医療品や予防に必要な消毒用品の提供、医療従事者への研修・育成などを行っています。

8月20日発表のユニセフ・リベリア事務所による情勢レポート報告書(Special SitRep)の一部をご紹介します。なお、本報告書の統計は、リベリア保健社会福祉省の報告書(最新版:8月18日)に基づくものです。

概要

  • 8月16日、モンロビアのウェスト・ポイントの住民が、地域で感染が疑われる人を隔離するために設置された臨時受入センターを襲撃し、略奪。この間、患者17名が脱走したと報じられ、医薬品や備品が盗まれた。8月19日、リベリア政府は患者17名全員を見つけ出し収容したものの、依然として、これらの患者の隔離場所を巡って争いが続いている。
  • 西部のモントセラド県にあるエボラ治療ユニットが拡張され、8月18日より、患者の受入れ開始。拡張により、120名の受け入れが可能になったものの、感染者は増え続けており、すぐに定員に達すると思われる。

夜間外出禁止令発令、2地区の隔離

  • 感染者の増加を受け、8月19日、サーリーフ大統領は無期限での8月20日からの夜間(21時〜6時)外出禁止令を発令、
    また、すべての娯楽施設の閉鎖と、ビデオセンターの営業を18時までとすることも指示。
  • 
保健員が市場でエボラに関する重要なメッセージを伝えている。(リベリア)
    © UNICEF/UNI167514/Jallanzo
    保健員が市場でエボラに関する重要なメッセージを伝えている。(リベリア)
  • さらに、西部のモントセラド県のウェスト・ポイントと、隣接する西部のマルギビ県のドロ・タウンの無期限での隔離も宣言、両地区は最もエボラの感染が広がっている。隔離政策を受け、治安部隊によって両地区への出入りはすべて制限されている。
  • 8月20日朝、リベリア警察は、ウェスト・ポイントで集まっていた住民を解散させようとしたところ、住民たちが投石を始め、治安部隊に抵抗したため、警察は空に向けて発砲し、催涙ガスを発射。負傷者数名が出たと報じられ、緊迫した情勢が続く。

国内での移動制限:リベリア南東部への感染阻止のため

  • リベリア政府は、南西部のグランド・ゲデー県、シノー県、リバー・ジー県、メアリーランド県への感染を防ぐため、南西部への道路の使用を制限することも発表。グランド・ゲデー県と隣接するニンバ県の間に、リベリア軍による検問所を設け、制限を強化。当局は、国連や人道支援機関、食糧を運搬する車両の通行は、検問つきで認めると発表。

* * *

シエラレオネ:
感染者、前週より100名以上増える
エボラ以外の病気の罹患・死亡が増加

【2014年8月17日 フリータウン(シエラレオネ)】

防護服を着てエボラ治療センターで患者に水を飲ませる保健員。(シエラレオネ)
© UNICEF/NYHQ2014-1064/Dunlop
防護服を着て、エボラ治療センターで患者に水を飲ませる保健員。(シエラレオネ)

エボラ出血熱の感染拡大が続くシエラレオネ。ユニセフ・シエラレオネ事務所のエボラに関する報告書から、現地の状況やユニセフの活動についてご報告します。本報告書の統計は、シエラレオネ保健衛生省が発行する日刊報告書に基づくものです(報告期間:8月11日〜17日)。

概要

  • エボラ出血熱と確認された症例は775件でうち297名が死亡、致死率は38.3%(8月17日時点)
    前週より、確認された症例は105名増加
  • エボラ出血熱と確認された症例のうち22%は子ども(0〜17歳)
  • リベリア国境と近い東部のケネマとカイフランの隔離施設に入院している患者は121名、これまでに計215名が回復して退院(前週より40名増加)
  • 感染者との接触を追跡確認できたのは2,323件(内訳:東部のカイフラン362件、同ケネマ579件、西部のポート・ロコ488件、北西部のカンビア13件、南部のボー189件、北部のボンバリ156件、南部のモヤンバ79件、同プジェフン46件、中部のトンコリリ8件、西部地区の都市部で394件、同農村部で36件) 2,021件は21日間の追跡調査期間を終了し、調査対象外に

エボラによる影響

  • 今週、政府は基礎教育修了試験ならびに学校の再開を延期することを発表(期間不明)
  • 子どもや女性が基本的な保健サービスを利用できない結果、エボラ以外の病気の罹患と死亡が増加
  • エボラ出血熱による基本的な社会サービスの利用と経済全体への影響を把握するために、喫緊に系統だった調査が必要

ユニセフのエボラ対策に必要な資金総額

349万9,706米ドル(約3億5,697万円 ※1米ドル=102円で換算)
用途:調整、社会への啓発活動、監視と追跡調査、物資供給と輸送、子どもの保護、治療
現在、76%の資金が不足

補足:シエラレオネ全体での対策費用総額:2,581万7,130米ドル(約26億3,334万円 ※1米ドル=102円で換算)

ユニセフの取り組み
<社会への啓発活動>

  • 国内全世帯の戸別訪問を検討中:質疑応答や感染者と接触した人の追跡調査強化、エボラの影響を受けている子どもを探し出す、住民と医療従事者の信頼関係の向上を目指す、訪問した世帯には棒状の石けんを配布し、手洗いを奨励
  • エボラにまつわる誤った情報や拒絶などに対する10分の映像を制作し、首都フリータウンやTVなどで放映予定
  • ルンギ国際空港の到着ラウンジのTV放映用に保健メッセージ映像を制作中、また到着者へ配布するチラシも作成
  • シエラレオネ・ジャーナリスト協会とのパートナーシップにより、国内の40のラジオ局で30分の番組を引き続き放送、また主要紙の紙面でエボラに関する情報を掲載
  • オートバイによる広報活動で、エボラの症状や予防法を伝えている。(シエラレオネ)
    © UNICEF/NYHQ2014-1066/Davies
    オートバイによる広報活動で、エボラの症状や予防法を伝えている。(シエラレオネ)
  • シエラレオネ全地区の中心都市で、オートバイによる路上での広報活動を1週間実施、バイク・ライダーを含めた520名が、プラカードやポスター、リーフレットなどを使ってエボラに関する情報を発信、今週も継続して実施
  • 現在、エボラに関して一般の知識、態度、習慣、行動に関する調査内容を検討中、出来次第、調査開始予定、4つの地域の6地区で実施予定、調査結果は、予防策の立案に役立てられる予定
  • 啓発活動を行う人員を育成するための研修を実施
  • エボラに関する「うわさ銀行(Rumor Bank)」が、国家エボラコールセンター(通話料無料“117”)と連結、寄せられたうわさは、今後の啓発活動の検討に盛り込まれていく

<監視/追跡調査>

  • ユニセフは、東部のケネマとカイフランで、医療従事者242名、地域の保健スタッフやボランティア1,455名を支援、感染者が確認されている地域で、追跡調査を改善していくには、地域住民の理解と知識を向上させることが必要
  • 国際NGOと、追跡調査の拡大を協議中
  • 4つの地域で新たに追跡調査を行うことを計画しているが、資金不足により実行できず

<物流>

  • 全地区で、エボラ対応用に使える救急車両を整備すべく、車両の修理などの対応を実施中
  • 点滴液やゴム手袋、マスク、消毒剤、ゴーグルなどの物資を提供、今後も継続
  • 診療所で医療品の在庫切れが起きていることを受け、地域レベルの在庫状況の把握を開始

<子どもの保護>

  • ユニセフは関係省庁などと共に、エボラの影響を受けている子どもたちを見つけ出し、登録し、支援する取り組みを開始
  • エボラの影響を受けている子どもの保護を行う団体の取りまとめ、活動が必要な場所や不足しているものなどのマッピングを開始
  • ケネマとカイフランでの「エボラによる子どもとコミュニティへの影響緊急調査」報告書を作成
  • 社会保健省などと共に、エボラで最も困難な状況にある人たちへ配布する食糧、非食糧品による支援パッケージを開発

課題

  • エボラの治療にあたっている病院の隔離病棟で働く医療従事者への拒絶
  • 感染者が治療センターから、家族と一緒に姿を消すケースも
  • こうした事態は想定されておらず、なかには医療関係者であることも
  • 資金、技術、人材の不足により、封じ込めが困難に

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