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公益財団法人日本ユニセフ協会
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エボラ出血熱緊急募金 第46報
エボラ出血熱:マリ
国内外から多くの人が集まるバスターミナル
適切な手洗いなどの実施で、エボラ予防へ

【2014年11月11日 バマコ(マリ)発】

バスターミナルのエボラ予防監督者、アブドゥライエ・バガヨコさん。
© UNICEF Mali/2014/Cissé
バスターミナルのエボラ予防監督者、アブドゥライエ・バガヨコさん。

西アフリカで大規模な感染拡大が続くエボラ出血熱。その感染は国境を超え、エボラの厳戒態勢をとるマリでも、新たな感染者が確認されています。たくさんの人で込み合い多くの公共交通機関が集まる交通の中心地で、ひとりの男性が利用者や街を守るための活動を行っています。

* * *

マリの首都・バマコにある、最も利用客の多いバスターミナルで働き始めてから20年以上が経つアブドゥライエ・バガヨコさん。バガヨコさんが今最も力を入れているのが、エボラの予防策です。

現在西アフリカで発生しているエボラ出血熱は、歴史上最大規模で感染が広がっています。マリの首都バマコでも、エボラの感染者が出たのは初めてです。過去の流行とは異なり、今回は国境を越えて感染が拡大し、都市部でも感染者が確認されています。10月23日にカイ地区で初めてエボラの感染が確認されてから、関係当局やコミュニティは感染拡大を阻止するため、迅速に対応を行っています。

マリだけでなくエボラの影響を受けるすべての国で、適切な保健医療物資の不足や感染コントロールに対する知識不足が、保健員を危険にさらしています。感染者の発見や接触者の追跡が適切に管理できていないこと、埋葬方法の管理に困難が生じていること、住民の間でエボラに関する誤解が広がっていることなど、さまざまな要因が絡み合い、感染に拡大につながっています。

うわさや恐怖、誤解と闘い、エボラの感染拡大を阻止するためには、社会啓発活動や1対1の対面コミュニケーションが必要不可欠です。そのため、ユニセフ・マリ事務所は政府やコミュニティと密接に協力し、住民間の認識の向上に向けた支援を行っています。ターゲットを絞って適切な情報を拡散させることで、効果的なメッセージを広く伝えることができます。

エボラと闘うヒーローたち

ユニセフと全国運転手労働組合が、バマコのバス停でエボラの予防と衛生習慣の啓発キャンペーンを実施。
© UNICEF Mali/2014/Cissé
ユニセフと全国運転手労働組合が、バマコのバス停でエボラの予防と衛生習慣の啓発キャンペーンを実施。

バガヨコさんは毎朝6時半から深夜まで、ソゴニコにあるバスターミナルで働いています。副所長としてバスターミナルの管理を行う傍ら、全国運転手労働組合の代表としても活動しています。

52歳のバガヨコさんは交通業界で35年の経験を積み、ターミナルの出入りすべてを把握しています。60以上の切符販売所と15の乗客用トイレがあるこの大きなターミナルには、毎日何百ものバスが発着し、何千もの乗客がさまざまな目的地へと向かいます。なかには、隣国のセネガルや、エボラが猛威をふるうギニアからの出入りもあります。

ターミナルのエボラ予防監督者であるバガヨコさん自身、感染の危険にさらされています。「エボラについて学んでから、周囲の環境を確認し始めました。容赦なく人々の命を奪うこの病気に、無関心のままではいられません」と、人見知りのバガヨコさんが、力強く語りました。

ユニセフやパートナー団体の協力のもと、保健省がバマコのあらゆるバスターミナルにエボラの症状や乗客のための予防法を説明したポスターを掲示しました。

「わたしたちは多くの人が行き来する場所で働いているので、感染の危険がとても高いと思います」(バガヨコさん)

みんなで団結して

バマコのバス停で行われたエボラの予防と衛生習慣の啓発キャンペーン後、乗客が手洗いと塩素での消毒をする様子。
© UNICEF Mali/2014/Cissé
バマコのバス停で行われたエボラの予防と衛生習慣の啓発キャンペーン後、乗客が手洗いと塩素での消毒をする様子。

ユニセフは社会開発省と協力し、50人以上の公共交通機関の管理者にエボラの予防法の訓練を実施しました。鉄道労働組合のメンバーへの訓練も予定されています。また、140人にのぼる関係者を対象に、すべてのバス停に設置される、手洗い設備の適切な使用や管理に関する訓練を実施しました。

「ユニセフによる訓練を受け、正しい予防法を行えば、自分自身だけでなく、多くの人の命をエボラから守ることができると実感しています。エボラは、豊かな人、貧しい人に関わらず、すべての人たちの命に関わる問題です。この訓練では、エボラの症状を発症した人への対応ガイドラインなど、命を守るために重要な予防法を学びました」(バガヨコさん)

こうした訓練の他にもユニセフは、保健医療物資やテントなどの物資の備蓄、コミュニティを基盤としたエボラの予防法を広めるアドボカシー活動や啓発活動の支援を、中心となって実施しています。

マリでエボラの感染が確認されて以降、この死に至る病の感染から住民を守るため、ユニセフはパートナー団体と協力して、バマコやシカソ、カイ、クリコロなどで支援活動を強化しています。

「訓練で学んだ知識をほかのスタッフにも共有するため、大規模なミーティングを行いました。また、特に切符販売所には石けんでの手洗いや塩素での消毒ができるような場所を設置しました。バスやタクシーなどの公共交通機関を利用する乗客には、手洗いを徹底しています。ユニセフとパートナー団体が行うエボラの啓発活動に感謝しています。感染拡大阻止のために、わたしたちは一致団結してエボラと闘わなくてはいけません」(バガヨコさん)

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