エボラ出血熱緊急募金 第40報
エボラ出血熱3カ国・情勢レポート
感染者1万人を超える
治療・隔離・回復後の子ども、孤児への支援を
【2014年10月28日 東京発】
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© UNICEF/NYHQ2014-1820/Bindra |
エボラ治療センターで任務にあたる看護師たち。(シエラレオネ) |
10月25日、WHO(世界保健機関)はエボラ出血熱の感染が確認されて以降、感染者が8カ国で1万141人となり、4,922人が死亡したと発表しました。また、10月23日までに医療従事者450人が感染し、うち244人が死亡しました。
感染者・死亡者の内訳は以下の通りです。
ギニア | 感染者 1,553人 | 死亡者 926人 ※医療従事者80人感染 |
リベリア | 感染者 4,665人 | 死亡者 2,705人 ※医療従事者228人感染(うち103人死亡) |
シエラレオネ | 感染者 3,896人 | 死亡者 1,281人 ※医療従事者127人感染 |
マリ | 感染者 1人 | 死亡者 1人 ※10/23感染確認 |
ナイジェリア | 感染者 20人 | 死亡者 8人 ※医療従事者11人感染、10/20終息宣言 |
セネガル | 感染者 1人 | 死亡者 0人 ※10/17終息宣言 |
スペイン | 感染者 1人 | 死亡者 0人 ※医療従事者1人感染 |
米国 | 感染者 4人 | 死亡者 1人 ※医療従事者3人感染 |
合計 | 感染者 10,141人 | 死亡者 4,922人 |
出典:WHO EBOLA RESPONSE ROADMAP SITUATION REPORT UPDATE 25 OCTOBER 2014
感染拡大が続くシエラレオネ、リベリア、ギニア3カ国の情勢レポートより、現地の状況、ユニセフの活動をご報告します。
シエラレオネ:エボラに感染したり、親を失った子どもは2,200人
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© UNICEF/NYHQ2014-1858/Bindra |
身を寄せるエボラから回復した子どもたち。ケネマのエボラ治療センターにて。(シエラレオネ) |
【2014年10月22日 フリータウン(シエラレオネ)発】
本報告書の統計は、シエラレオネ保健衛生省が発行する日刊報告書に基づくものです(報告期間:10月22日時点)。
■概要
- 10月22日時点で、エボラと確認された感染者は3,345人、うち、1,001人が死亡、710人が回復
- エボラと確認されたうち、22%が17歳以下の子どもで、70人が回復
- これまでに、エボラの影響を受けた子どもは2,200人(定義:隔離された子ども、一方もしくは両方の親を失い孤児となった子ども、家族とはぐれた子ども、治療中または退院した子ども)
- シエラレオネでは全国でエボラが発生、最大の感染地は首都フリータウンのある西部地区、870人以上の感染を確認
- 最初に感染が起きた東部州のケネマとカイラフンでは、引き続き埋葬習慣により新たな感染を確認
- 東部のカイラフン、同ケネマ、北部のボンバリ、南部のモヤンバ、西部のポートロコは、依然として隔離管理下に
- 報告期間中に、ユニセフはケネマでエボラ回復者による会議を開催、自身の経験や問題などを共有すると同時に、現在流行しているエボラの免疫力を付けたこれらの人に、闘病中隔離中の特に子どもたちのケアにあたってもらえるよう働きかけ
- ユニセフは、今後半年のエボラ対策のために、6,100万米ドル(約65億8,800万円 ※1米ドル=108円で換算)の資金を要請、うち52%が不足
- エボラ待機センター(Ebola Holding Center)ならびにエボラ治療ユニット(Ebola Treatment Unit)とも、収容人数を大幅に超えているため、エボラと疑われたり、確認されたケースの多くが、入院できない状態
- 現場の調整や対応能力は強化されているものの、エボラの確定診断が出るまでの時間の遅れ、埋葬習慣、医療従事者への支払いタイミング、コミュニティでの緊張の高まりなどが、依然として課題になっている
- また、医療従事者の増員、防護用備品、埋葬習慣の変更など、さらなる取り組みや支援も必要
■ユニセフの取り組み
<社会への啓発活動>
- 10月18日、部族の首長全149人のうち、145人が参加し、エボラ対応に関する地域での取り組みに関する半日の研修を実施
ケネマでの取り組み、安全な埋葬法、地域でのエボラケアセンター、地域住民の支援のしくみなどについて学ぶ
10月15日には、キリスト教徒やイスラム教のグループも同様の研修に参加
- 子どもや障がいのある人、HIV感染者、セックスワーカー、エボラ回復者など特別なケアを必要とする人への支援のため、タスクフォースを結成
<保健>
- 国内の通常の保健システムの信頼回復と強化のために、保健省を支援
- 感染症予防やコントロールのための研修を医療従事者に実施予定
- エボラに関係して、妊産婦ケアのガイドラインを改訂、研修を実施予定
<栄養>
- エボラ待機センターならびに治療ユニット、一時ケアセンターにいる子どもたちへの栄養物資の配給が承認
高エネルギービスケットや治療用の強化ミルクなどが提供される
- 重度急性栄養不良の子どもたちへの診断・治療手順などを、エボラ対策を踏まえて改訂予定
<水と衛生>
- 他機関と合同で、西部地区の水と衛生状況の調査を実施、新たな待機センターや治療ユニットの場所の選定にあたる、他の場所でも調査を実施予定
- 待機センターや治療ユニットへの水の供給も引き続き行う
<子どもの保護>
- 10月21日時点で、エボラの影響を受けている子どもは2,200人
エボラで孤児となった子どもは674人(両親を失った子どもは521人、一方の親を失った子どもは153人)
- エボラで隔離された子ども計1,569人は、保健省やWFPから食糧配給を受ける
- 心のケアを受けた子どもは68人、治療を終えたり、家族がおらず一時ケアセンターにいる子どもは43人、家族の元へ戻れた子どもは125人
<教育>
- 学校が休校となっているため、ラジオで教育番組を放送し、緊急下での教育支援を実施
- 教員などに研修を行い、プログラムの質の評価・改訂のほか、受講状況などを調査していく予定
リベリア:エボラ回復者20人をエボラ影響下にある子どもたちの支援者に
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© UNICEF/NYHQ2014-1785/Kesner |
エボラ治療センターの女性と子ども。(リベリア) |
【2014年10月22日 モンロビア(リベリア)発】
本報告書の統計は、リベリア保健社会福祉省が発行する報告書に基づくものです(報告期間:10月18日時点)。
■概要
- 10月22日時点で、エボラと確認された感染者は4,665人、うち、2,705人が死亡
最も感染者が多いのは、首都モンロビアのあるモントセラド県
- ユニセフとパートナー団体は、保健省を支援し、前線にいる医療従事者からデータを収集、また住民にもSMSを使って基本的な保健サービスを提供
- 感染が確認されて以降、ユニセフは防護服やテント、下痢治療キット、栄養不良の治療、消毒用塩素など660トンの物資を提供
- モンロビアの貧困地区ウェストポイントでは、ユニセフの支援を受けた少女たちが、予防法の発信に従事、3,000世帯に啓発を行う
- エボラ治療ユニットなどへの支援のため、10月中旬、保健省に塩素6トンを提供
- エボラ以外の病気による死亡を削減するためには、通常の保健・栄養サービスの復旧(予防接種活動など)が最優先課題
■ユニセフの取り組み
<保健/栄養>
- 予防接種などの再開に加え、感染症予防・コントロールの研修を実施予定
- エボラ治療ユニットにいる孤児や6カ月未満の子どものための栄養物資の調達
- エボラに感染しているまたは回復したばかりの人に栄養治療食を提供できるよう、ガイドラインなどを最終化中
<水と衛生>
- モントセラド県では、エボラ治療ユニットからの排水を処理できるよう、下水処理プラントの復旧を支援
- モンロビアのウェストポイント地区の1万5,579世帯に衛生用品の詰め合わせを配給、また予防法として手洗い方法、塩素の使い方を説明
- ウェストポイントなどで新たに地域でのケアセンターを設置できるよう、実地調査を実施
<社会への啓発活動>
- ユニセフは、エボラに関する啓発活動を主に担う
- 戸別訪問のほか、ラジオ、電話での問い合わせ対応などを実施
<子どもの保護>
- エボラで家族とはぐれたりした子どものうち、595人に1回限りの現金支給の支援を実施
- 一時ケアセンターなどで保護されたのち、98%の子どもたちが家族の元へ戻るか、里親に身を寄せている
- ユニセフの全面的な支援により、ソーシャル・ワーカーや心理療法士などに心のケア、家族との再会などの研修を実施
- エボラ回復者20人にも研修、一時ケアセンターなどにいる子どものケアをできるように
ギニア:エボラ再燃後、最大の感染拡大が進行
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© UNICEF Guinea/2014 |
町を訪れ、エボラの予防法を子どもたちに説明するスタッフ。(ギニア) |
【2014年10月20日 コナクリ(ギニア)発】
■概要
- 10月20日週、ユニセフは患者や遺体の搬送などのための車両8台、地域での対応強化のためにバイク100台を提供
- 消毒用の塩素12万ボトルも提供、また地元企業を支援し、塩素のボトル容器の機械の輸入を支援、対応力を強化
- ギニアでは、2014年3月の流行発生以降、6月にはほぼコントロールできたものの、隣国リベリアとシエラレオネとの往来により、感染が再燃
- 現在、感染状況は最もひどく、国民1,060万人のうち、83%にあたる890万人がエボラ影響下にある
■ユニセフの取り組み
<教育>
- 学校再開にあたり、安全な教育環境の提供するため、ユニセフは教育省を支援
- これには、手洗いなどを含めた衛生習慣や登校許可のルールを定めるなどの支援が必要
<水と衛生>
- 感染が確認されている地域の家庭へ消毒用の塩素やせっけんを提供
- 公衆トイレや感染が確認されている地域などでトイレ1万8,000基を設置
- エボラセンターへの水の提供
<子どもの保護>
- ユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所の子どもの保護専門官が、ギニア国内で子どもの保護にあたる団体などに、心のケアを含む研修を実施
- この研修内容が国内で順次展開され、エボラで孤児となった子どもの確認や家族とはぐれた子どもの発見などにも活用
<社会への啓発活動>
- メガホンやチラシを作成・提供し、エボラの啓発活動を実施
- 警察官やボランティアにも研修を行い、戸別訪問を支援
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