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公益財団法人日本ユニセフ協会
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エボラ出血熱緊急募金 第28報
エボラ出血熱・シエラレオネ
エボラ対応の一方で「助かる命が失われている」事態も
日本人 開発コミュニケーション専門官による報告

【2014年9月18日 シエラレオネ発】

エボラと疑われる症状などのポスターを手に、啓発活動を行うスタッフ(首都フリータウン)
© UNICEF Sierra Leone/2014/Tanya Bindra
エボラと疑われる症状などのポスターを手に、啓発活動を行うスタッフ(首都フリータウン)

9月19日〜21日にエボラ啓発キャンペーンで、国内の150万全世帯訪問が実施されたシエラレオネ。現地で本キャンペーンを含めた啓発活動の立案・実施に携わっている櫻井有希子・開発コミュニケーション専門官によるレポート(9月18日付)です。

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フリータウンの街はいたって「ふつう」という印象を受けます。住民の方々は以前と同じように教会やモスク、マーケットにも出かけます。ただ、国内全土のすべての学校が年内休校になったことや銀行の午前のみの営業などを受け、以前より車の量も少なく、朝晩の渋滞もなくなりました。

増え続ける感染者

9/19〜21の戸別訪問の様子(首都フリータウン)、研修を受けたスタッフが全世帯を訪問
© UNICEF Sierra Leone/2014/Tanya Bindra
9/19〜21の戸別訪問の様子(首都フリータウン)、研修を受けたスタッフが全世帯を訪問

街に多く見られたバイク・タクシーは、人の接触を避けるため、数が非常に少なくなりました。我が家のお手伝いさんの話では、8月中頃まではかなり戦々恐々とした状況で、住民の方々もパニック気味だった(ほとんどの人が外出を避けていた)ということですが、最近は以前のような生活に戻ったと言っています。あいさつ時に握手やハグをする習慣がなくなったことや、職場や街のいたるところで、簡易手洗い機が設けられていることにエボラの流行地だということを感じさせます。

しかし、感染が拡大する地域では、治療施設も足りず、政府やパートナーの努力にも関わらず、今も1日に30人以上の新規感染者が確認されています。また国内の多くの医療関係者がエボラ治療に追われているため、通常では助かる命が助からないこともあるのが現状です。

一人でも多くの命を守るために

エボラ出血熱で両親を失い、孤児となった子どもたち(エボラの感染が続く東部カイラフンにて)
© UNICEF Sierra Leone/2014 Jo Dunlop
エボラ出血熱で両親を失い、孤児となった子どもたち(エボラの感染が続く東部カイラフンにて)

ユニセフは、今月19日から3日間「戸別訪問キャンペーン(現地語で”Ose to Ose Ebola Tok”)」を実施します。研修を受けた医療関係者、コミュニティー・ワーカー、ユースボランティア約3万人が、シエラレオネの家をくまなく訪問し、エボラ出血熱の知識向上、予防方法の伝達を行うとともに、患者の早期発見を行う予定です。その際に石けんの配布も行い、手洗いの徹底を指導します。

もれなく確実に戸別訪問を実施するため、シエラレオネ政府はその間の3日間は国民全員に自宅待機するよう指示しています。このキャンペーンにより、遠隔地やギニア、リベリアの国境近辺も含めたすべての国民がエボラ出血熱に関する知識を得て、しかるべき予防をしてほしいと考えています。また、少しでもエボラ出血熱に関する不安と偏見を取り除くことができればと望んでいます。

このほかユニセフは、学校閉鎖のため学校に行くことができない学生のためのラジオ放送を通じた教育の機会を設けたり、1,000人近く確認されているエボラ出血熱による孤児への支援にも積極的に関わっていく予定です。

一方で、国内の多くの医療関係者がエボラ治療に追われているため、通常では助かる命が助からないこともあるのが現状です。今後も一人でも多くの命を守り、子どもたちが安全に暮らせるよう、皆さんのご支援・ご協力をお願い致します。

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シエラレオネ政府の発表(2014年9月21日)によると、これまでのエボラ出血熱感染者は、疑いを含めて1,696人、死亡者は501人、回復者は374人となっています。

一方、9月16日にユニセフなどが発表した『2014年度版 子どもの死亡における地域(開発レベル)別の傾向(Levels and Trends in Child Mortality 2014)』によると、シエラレオネの5歳未満児死亡率は出生1,000人あたり161人で、アンゴラの167人に続き、世界で2番目の高さとなっており、年間3万4,000人もの子どもが5歳未満で命を失っています。その原因の多くは、マラリアや下痢、肺炎といった予防可能な病気によるものです。

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ユニセフ・シエラレオネ事務所 櫻井有希子・開発コミュニケーション専門官
ユニセフ・シエラレオネ事務所 櫻井有希子・開発コミュニケーション専門官

開発コミュニケーション専門官として、子どもや青少年の健康・教育・保護状況が改善されるよう、さまざまな媒体を用いて社会および行動変容を促す活動に従事。今回のエボラ対応では、保健省健康促進課やWHO、現地NGOと協力し、病気の症状や予防の知識向上のためのポスターやラジオ番組の作成、電話相談員や現地NGOスタッフ、ラジオパーソナリティーやディレクターへの研修、コミュニティーで正しい知識や予防方法を普及させるために宗教指導者、各種リーダー、教員、母親グループを通しての地域活動の企画・実施運営に携わっています。

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