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エボラ出血熱緊急募金 第39報
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© UNICEF Sierra Leone/2014/Romero |
エボラの感染拡大により、シエラレオネではすべての学校が休校に。勉強を続けられるようにラジオで教育プログラムの放送を開始した。 |
シエラレオネ・フリータウンのニューイングランド近郊にある迷路のような細い道を進むと、13歳のウレマツ・コンテーちゃんの家がありました。普段なら、ウレマツちゃんはフルーツやお菓子、パンを売る市場の女性たちやオートバイタクシーの間を通り抜け、学校に登校している時間です。しかし今日はいつもとは様子が違います。ウレマツちゃんは学校に行く代わりに、家の床に座って木の椅子にもたれながらラジオを聞き、ノートを取っていました。
親戚のモアレム・シセさん(17歳)に教えてもらいながら、ウレマツちゃんはラジオで生物と非生物についての理科の授業を聞いていました。
エボラの感染拡大により学校は休校になり、学校で授業を行うことはできません。そこで今週、シエラレオネの教育科学技術省は、ユニセフやパートナーの協力の下、子どもたちが勉強を続けられるようにするため、国全土に配信するラジオ教育プログラムを開始しました。
「学校へ通うことができない170万人の子どもたちに、質の保たれた教育の機会を提供するために実施しています」と、ユニセフ・シエラレオネ事務所の教育部長であるウチェ・エクシリムが語りました。このプログラムには、英語、数学、社会、保健体育、社会心理、ライフスキル、エボラに関する基本的な情報を含めた衛生や手洗いなどの主要教科が含まれます。その他のコースは教員によって作られ、シエラレオネジャーナリスト協会とラジオネットワークの協力を得て、国中の41のラジオ局を通して放送されます。
© UNICEF Sierra Leone/2014/Romero |
ゴモイさん(18)は、勉強が続けられてうれしいけれど、学校に戻って友達に会いたいと話す。 |
シエラレオネの小学校出席率は男の子が73%、女の子が76%、中学校出席率は男の子が40%、女の子が33%です。ラジオ教育プログラムは、エボラで学校に通うことができなくなった生徒たちへの緊急対応として実施されます。
ウレマツちゃんの家の近所で、携帯電話をしっかりと耳にあてている18歳のゴモイ・サンディーさんに出会いました。携帯電話が普及している国では、よく目にする光景です。しかし、ゴモイさんは友達と話をしているわけではありません。ウレマツちゃんのように、教育プログラムの理科の授業を聞いているのです。「停電してしまったので、携帯電話がラジオ教育放送を聞く唯一の方法なのです」とゴモイさんが話します。
ゴモイさんは高校生ですが、携帯電話で聞いていたのは、ゴモイさんよりも年齢が低い生徒を対象とした授業でした。
「高校生用の授業は、月曜から木曜の午後3時から4時に放送されているよ」と、教育省のナイス・メスト氏がゴモイさんに伝えました。ラジオ教育プログラムが始まる前の週、プログラムに関する情報を伝えるキャンペーンを3日間行っていました。さまざまなプログラムが用意されていること、そして、その放送日程などの情報をきちんと伝えることが、依然として課題です。
© UNICEF Sierra Leone/2014/Romero |
「教育は人生で成功するためにとても大切だと思います」と話す、14歳のモハメドくん。 |
学校が休校している間も勉強を続けることができて、とてもうれしいと語るゴモイさん。「ラジオ放送で授業を受けることができるようになりました。でも、学校に戻って、友達に会いたいです」と、話しました。
状況が改善すれば、政府は来年1月にも学校を再開できるとみています。
14歳のモハメド・バリーくんにも出会いました。エボラの感染が拡大したとき中学生だったモハメドくんも、携帯電話を使って授業を受けています。「フリータウンでは電気が安定していませんし、電池を手に入れるのも難しい状態です」とモハメドくんの近所の人が話します。
「昨日、1回目の放送を聞きました。テレビで放送してくれるようになったらいいのに」と、モハメドくんが話すと、「近いうちに、テレビ放送についても検討します」と、教育省のメスト氏が答えました。
モハメドくんは、ラジオ教育プログラムが大好きだと話してくれました。「教育は、人生で成功するためにとても大切なものだと思います」と、14歳のモハメドくんが語ります。
「放送された社会科の入門授業はとても楽しかったけれど、理科はあまり興味がありません。ぼくは、ロボット工学が一番得意です」と話すモハメドくん。
「テクノロジーをもっと勉強したいです」と話し、その日の授業を終え、携帯電話の電源を切りました。
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