公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第54報
“最悪の事態”に備える

【2012年3月26日 ニューヨーク発】

まるで時限爆弾が刻一刻と爆破する時を刻むように、サヘル地域は、予断を許さない状況が続いています。

4月は、作物の収穫量が減りはじめる時期。アフリカ中西部の8ヵ国にまたがる乾燥したサヘル地域では、雨が降るのは年に1度きり。しかし、昨年は十分な雨が降らず、今まさに危機が起ころうとしているのです。

もうそこまで来ている“緊急事態”

すでに、1,000万人の人々が食糧危機に見舞われています。

© UNICEF Niger/2012/Asselin
ルートゥグーナ健康センターで、栄養不良の娘のファッチマちゃんに、ユニセフが配付した栄養補助食品を食べさせるイリア・サードゥさん (ニジェールのミリアで)

「ユニセフは、(このままでは)2012年中に100万人以上の子どもが重度の急性栄養不良に苦しむことになると予測しています。」 こう話すのは、ユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所のデヴィッド・グレスリー部長です。「栄養不良は、子どもたちの命をも奪う深刻な問題だということを知っておかなければなりません」

多くの自然災害は、なんの前触れもなく人々を襲います。しかし、サヘル地域の現状は違います。ここで起こっている緊急事態は、食糧価格の高騰、不作、そしてこの地域の生活の深刻な脆弱性が、徐々に進行して引き起こされているのです。

人々は、十分に餌を用意できなくなると家畜を売ってしまうため、“飢えの時期”が来る頃には、さらに弱い立場に置かれてしまうのです。

危機に備える

© UNICEF/NYHQ2011-2207/Esteve
ユニセフの倉庫で、調理せずに食べられる子ども向けの栄養補助食品の発送を準備するスタッフ (チャドのンジャメナ市内で)

迫りくる危機を予測できるということは、そのための準備ができるということでもあります。

ユニセフは、昨年から、大量の栄養補助食品と医薬品の調達を開始。スタッフも増員し、危機に備えて、サヘル地域各国の政府が十分な準備をできるよう、サポートし始めました。

「この危機が深刻さを増すのは、4月から6月にかけて。今は、いつそうした事態になっても良いように準備を強化しています。」グレスリー部長はこう話し、次のように続けました。

「基本的に、この危機を3段階に分けて捉えています。」「第1段階は、サヘル地域8ヵ国で深刻化する栄養不良への緊急支援。第2段階は、今年ニジェールですでに実施し、今後も恐らく必要になる栄養不良に対する対策とそれぞれの国でのセーフティ・ネットの構築。そして第3段階は、慢性的な問題の本質に向き合い、将来のために回復力を蓄え、根底にあるいくつかの要因に対処し始めることです」

これらすべての段階において、ユニセフは、子どもたちを中心に考えています。子どもたちが、食糧だけでなく適切な栄養支援と医療ケアも受け、この危機によって子どもたちの長期的な発達が危険にさらされることのないようにしなければなりません。