公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第58報
ユニセフのアンソニー・レーク事務局長、チャドを訪問

【2012年4月4日 ニューヨーク発】

© UNICEF/NYHQ2012-0242/Duvillier
アフリカ・サヘル地帯に迫り来る栄養危機を訴えるためにチャドを訪問。マオの栄養治療センターで、母親たちの話を聞くユニセフのアンソンー・レーク事務局長。

ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、アフリカ・サヘル地域の100万人以上の子どもたちの命を守るため、人道支援を緊急に拡大させる必要があると全世界に呼びかけています。

この地域では、重度の急性栄養不良によって、多くの子どもたちが死の危険に瀕しています。ユニセフでは、こうした子どもたちの治療と食糧の確保のために必要な1億2,000万米ドルの支援を呼びかける世界規模のキャンペーンを展開。レーク事務局長は、チャド西部を訪問し、この世界キャンペーンの重要性を訴えています。

レーク事務局長は言います。「この地域は、いつも危機と隣り合わせです。2005年と2010年の干ばつで、子どもを含む多くの人々が被害を受けました。現在、サヘル地域の国々では、政情不安によって何百何千もの人々が避難を余儀なくされ、また、食糧価格の高騰や不作によって引き起こされた危険な状態がいっそう深刻化しています。」

支援の準備

多くの子どもたちが避難民となって長距離の移動を強いられ、衰弱して免疫力も低下している中、ポリオやはしか、髄膜炎をはじめとする子どもたちを死にも追いやる疾病の脅威とともに、深刻な栄養危機がこの地域に迫っています。

ユニセフはパートナー団体と協力し、サヘル地域8カ国の数百ヵ所に保健センターを設置。これまでに、重度の栄養不良に苦しむ何万人もの子どもたちが治療を受けています。

「サヘル地域の人々は、“最悪の事態”に直面しています。危険な状態にある100万人もの子どもたちも、このなかに含まれているのです」

チャドでは、600万人を超える人々が今回の危機の被害を受けています。うち350万人が18歳に未たない子どもたちです。そして、12万7,300人の5歳未満の子どもたちが、すでに重度の急性栄養不良で苦しんでいると見込まれています。

同国ではまた、アフリカの国々の中でポリオの発症件数が最も多く、髄膜炎の発生にも対処せねばなりません。こうした中で、この国が「栄養危機」に陥った場合、子どもたちの窮状をさらに複雑化させる要素が備わっているのです。

チャドの保健省とともに、ユニセフは、これまでに250箇所以上に、深刻な栄養不良の治療センターを設置。今後2ヶ月の間に、この数を倍にする計画です。

将来のための“回復力”を備える

これらの支援に並行して、ユニセフは、サヘル地域において、保健や公衆衛生、子どもの保護の各分野のシステムづくりに取り組むことにしています。これは、チャドの人々が、将来の危機に対処できるようにするための支援です。

レーク事務局長は、次のように語っています。「私たちの支援は、“今日の命”を救うためだけに行っているのではありません。明日起こるかもしれない“栄養危機”を防ぐために、特に3歳に未たない年齢の子どもたちに、適切な時に適切な栄養を与えることが必要です。こうした支援をすることは、とどのつまり、この国の保健システムの強化を図ることなのです。こうしたことを通じて、将来的に起こる可能性のある悲惨な緊急事態を予防することもできます。子どもたちが、将来的に治療センターに来なくてもいい状態にすることが重要なのです。」