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アフリカ干ばつ緊急募金 第88報
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ここは、栄養不良が蔓延している地域です。ブルキナファソは、サヘル地域の9ヵ国に影響を与えている最近の干ばつの影響を受けている国のひとつです。しかし、この地域の栄養不良問題は、必ずしも食糧不足が原因となっているわけではありません。人々は、適切な種類の食べ物を摂っていないのです。つまり、食事の回数を増やせばいいというわけではなく、栄養の摂取の仕方が問題になっているのです。また、ビタミン豊富な果物や野菜は値段が高く、また、多くのお母さん方は、こうした食材が家族の食事に重要であることを知りません。
キエンテゴ・シエロッタさんは、この地域に変化を起こしている54人から成る女性グループのリーダー的な存在。彼女は、生後8ヵ月の赤ちゃんを背中におぶって畑仕事をしています。1時間にわたる土おこしや植え付け作業の後、息子に食事を与えるために休憩をとり、次のように話してくれました。
「このプロジェクトを始める前、子どもたちの栄養状況は深刻な状態でした」「子どもたちは、度々病気になっていました。でも、ここで働くようになって、この庭で野菜を作り始めてから、子どもたちは病気にならなくなりました。食事が変わったのです」
「以前は、高い野菜を買える程の金銭的な余裕がありませんでした」「今は育てた野菜を食べて、それを売ることもできます。多くの状況が、著しく改善していると思います」(シエロッタさん)
女性たちは、農業技術に関する研修を受け、井戸を設置するための資金も得ました。この取り組みは、ユニセフが、欧州連合と共同で行っている、子どもたちの栄養状態の改善を目的として進めている予算170万ユーロの事業の一環として進められています。この4年間のプログラムで実施される様々なプロジェクトや支援を通じて、最終的には、ブルキナファソ全土の約1500の村々が恩恵を受ける予定です。本プログラムは、緊急支援を目的としたものではありません。食糧危機などの問題が生じたときに、特に子どもたちへの悪影響を最小限に抑えられるよう、ブルキナファソ全域の平時の栄養状況を改善するための支援活動なのです。
作物を選んで順番に育てているので、‘庭’には、一年を通して果物や野菜が実り、女性たちは、コミュニティでさらに積極的な役割を担うようになっています。家族を食べさせられるようになっただけでなく、食べきれない作物を売り、収入を得ることができるようになったのです。
「私たちとコミュニティにとって、この恩恵は大きなものです。家族の食事をより良いものにしてくれました。また、私たちが家族の稼ぎ手になって、子どもの学費や病院の費用を用意したり、友人や家族も助けることができます」シエロッタさんは、こう説明します。
コミュニティで食べきれない果物や野菜は、最終的にオウヒゴウヤ市場に並びます。このプロジェクトを通して、果物や野菜の売り手も、彼女たちの作った野菜や果物の栄養の重要性について教わっています。こうた人々が、市場に買い物にくる人々にも栄養に関する情報を伝えています。
スワドゴ・デトゥさんは、研修を受けた売り手の一人。売り手はみんな、ボランティアです。みんな、コミュニティの栄養状況を改善するためには、自分たちの取り組みが必要だと考えているのです。
「栄養不良やその予防に関する研修を受けました。市場に買い物に来る人々に、それぞれの野菜の栄養価や、下ごしらえの仕方も説明します」「私は母親ですし、家族に適切な食事をいつも提供する必要があると考えているので、ボランティアになりました。研修を受けた今、他の人々にも私が習った事を教えています。全ての人々の食事が改善されればと思っています」(デトゥさん)
こうした長期にわたる支援活動を評価することは、まだ、時期尚早でしょう。しかしながら、このプログラムに参加した母親たちは、すでに子どもたちがより健康に、より活動的になって、学校の成績が良くなり、そして、ほとんど病気にならなくなったと報告しています。
このコミュニティに住む人々は、今、より良い食事を取り、より良い教育を受け、より経済的に安定しています。人々が待ち望む、“サヘルの砂漠の気まぐれ”に翻弄されない日がくるのも、そう遠くはないはずです。