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アフリカ干ばつ緊急募金 第82報
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ナイジェリアのラフィヤロ小学校の子ども。近隣の3つのコミュニティの子どもたちが通っているこの学校は、ユニセフが英国政府やナイジェリア政府とともに進めている水と衛生プログラム(WASH)に力を入れている。 |
「(このプロジェクトは)単に学校の施設設備を整えているだけではありません」「子どもたち自身が十分な情報を得た上で意思決定ができるよう、子どもたちに正しい情報を与えています。(子どもたちの命や健康を守るために)必要とされる時に、(子どもたちが適切な)手洗いをするようになることを目指しているのです」ユニセフのテレザ・パンマWASH担当官はこう説明しました。
ナナ・モハメド・ウミアルさん(13歳)は、WASHプロジェクトの中で、‘大使’のような役割を果たしています。彼女は、食事の前やトイレの後の手洗いの習慣が身についていないと、「私たち子どもは、コレラのような危険な病気にさらされることになる」と語ります。ナナさんは、学校の中でプロジェクトが実践されている場所を案内してくれました。そこには、手洗い用の大きな給水タンクとプラスチックの赤いやかんが並んでいました。
教室では、ナナさんの先生が黒板の前で元気いっぱいに跳ね回りながら、実際に手洗いをやってみせ、適切な手洗いの習慣の重要性を子どもたちに教えています。また、この先生は、学校の子どもたちに、校庭で用を足すのではなく、新しく設置されたトイレを使うように促していました。
「(この学校では)排泄物が、他人の目に晒されることはありません」 ユニセフのパンマWASH担当官は、誇らしげにこう語りました。あまり大っぴらに語るような話題ではないかもしれませんが、長い間衛生設備(トイレ)というものが無かった地域では、トイレが作られたということは、重要な記念すべきことなのです。 学校から約2キロ離れたナナさんの家では、母親のハワさんが、顔を輝かせて娘のことを誇らしげに話してくれました。「ナナが、学校で衛生について習い始めてから、私たち家族の生活も良くなりました。ナナが私たちにも教えてくれるんです。それから、確かに、子どもたちは、以前より病気になりにくくなっていますよ。」
(お母さんがこう話している間にも)まるで彼女の話の要点を伝えるかのように、ナナさんは、妹の手を取り、石鹸でその手をごしごしと洗い始めました。
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ナイジェリアのラフィヤロ小学校に設置された井戸に集まる村人。この学校は、良い衛生習慣の重要性について、子どもたちに教えるユニセフ等が実施するプログラムの中で、中心的なモデルとしての役割を果たしている。 |
ナイジェリア北部の多くの地域では、その険しい地形のため、水そのものを得ることが容易ではありません。5,000人が暮らすヤンダキ村では、地下水があまりにも深い場所にしか存在しないため、「井戸」を使って汲み上げることが出来ないのです。このため、経済的に豊かな人々は、政府が黒色のプラスチックでできた給水タンクで提供している水を購入していますが、一方で、大部分の人々は、水を得るために、数キロも離れた場所にある、濁った水しか得られない泥まみれの井戸に頼らざるをえないのです。
地域の水と衛生委員会の委員長を務めるアハメド・モハメドさんは、家族が必要する水を購入するとなると、毎日900ニラ(5.6米ドル以上)かかると話します。「病人やお年寄りはどうなるのでしょう。彼らには、そのような金銭的な余裕はありません。ですから、より確実な解決策が必要なのです。」(モハメドさん) この地域の人々は、隣接した村々から水を引いてこれられるよう、中央政府に要望しています。また、ユニセフも、地元自治体の関係当局と協力して、浄水剤の硫酸アルミニウムの支援を行っています。
ユニセフと世界保健機関(WHO)の共同報告書によると、ナイジェリアの人口の42パーセントは、改善された水源(安全な水)へのアクセスがありません。そして人口の85パーセントが、異物除去等の処理が全く施されていない水で生活しています。
ナイジェリアは、今、その高い乳児死亡率を削減するよう迫られています。しかし、飲料水の供給システムが整っていないために、その状況は悪化しています。水と衛生施設へのアクセスの改善は、ミレニアム開発目標の達成に不可欠な最重課題と考えられているのです。