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アフリカ干ばつ緊急募金 第72報
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© UNICEF 2012/Mauritania |
モーリタニア南東部にあるムベラ避難キャンプに新しく設置された学校に通う子どもたち。ユニセフは、モーリタニア政府とマリ政府とともに、避難キャンプに学校を設置しています。 |
マリ北部で続く武力紛争で、何十万人もの人々が国内外への避難を余儀なくされています。こうした人々のうち、3万9,000人の子どもたちを含む約6万4,000人が、現在、隣国モーリタニア南東部の国境地帯に設置されたムベラ避難キャンプで生活しています。このキャンプは、現在この地域に設置されているキャンプの中で最大のもので、その敷地は、州都バッシクノウの3倍の規模に広がっています。
避難された方々の命を繋ぐ支援活動は、ユニセフをはじめとする国連機関やモーリタニア政府、そしてNGOによって続けられています。こうした活動は、これまでに、必要不可欠な保健、教育、その他必要とされている様々な社会サービスがより包括的に提供されるようになりました。
過密状態の避難キャンプでの感染症などの流行を防ぐため、ユニセフは、世界保健機関(WHO)とともに、現在、保健省の主導で実施されている予防接種キャンペーンを支援しています。また、避難生活を強いられている子どもたちが日常の感覚を取り戻すために非常に重要な、学校の建設も進められています。学校は、子どもたちに安全な環境を提供するだけでなく、公衆衛生や衛生習慣など、命を守るメッセージを広める場所にもなっています。
© UNICEF 2012/Mauritania |
モーリタニアのムベラで行われている予防接種キャンペーンで、はしかの予防接種うけるマリの避難民。 |
レガラ・ウェレット・モハメドさんと、それぞれ1歳、3歳、4歳の3人の子どもたちは、ムベラに最初に辿り着いた人々の一家族です。
最近、彼らが避難生活をおくるテントの近くで、モーリタニアの内務大臣と国連難民高等弁務官が参加するポリオ予防接種キャンペーンのスタートを祝う式典が行われました。この予防接種キャンペーンは、3月に行われたはしか予防接種キャンペーンに続いて実施されたものです。モハメドさん一家の子どもたちも、経口ポリオワクチンの投与を受けました。
モハメドさんは、子どもたちが1歳の誕生日を迎える前に、たくさんの予防接種を受けなければならないことを知っています。モハメドさんは、ワクチンによって防ぐことのできる病名を全て覚えているわけではありませんが、(この予防接種によって)子どもたちの健康が守られると確信しています。
「マリでやっていた予防接種キャンペーンでも、村長たちが子どもたちに予防接種を受けさせるように話している場所には、たくさんの人だかりができていました」「そこで、ポリオについてより多くのことを学び、なぜ子どもたちに予防接種を受けさせることが必要なのか学んだのです」(モハメドさん)
避難キャンプに到着して、ワクチンの投与を受けていないことで最も危険にさらされるリスクがあるのは、遊牧民の子どもたちです。遊牧民の人々は移動しながら生活しているため、医療をはじめ様々な社会サービスの恩恵を受けることが非常に難しいのです。
ユニセフは、モーリタニア政府やマリ政府と協力して、避難キャンプに学校の設置も進めています。480人を収容できる最初の学校が、4月初旬に開校。現在、2,221人の子どもたち(男の子:1,164人、女の子:1,057人)が学校に通っていますが、まだ多くの子どもたちが待機している状況です。ユニセフは、現在も多くの学校用の仮設テントの設置を進め、「箱の中の学校」といった学用品の配布を続けています。
教室では、自身も避難キャンプで生活している先生方が、ボランティアで教えています。避難を強いられた多くのマリの子どもたちが、それぞれの学年を終えることができる見込みです。また、こうしたこの臨時の学校は、多くの子どもたちに、初めて教育を受ける機会を提供しています。
マーモウドくん(10歳)は、これまで学校に通ったことがありませんでした。母親と幼いきょうだいとともに、遊牧民としての生活を送ってきたマーモウドくんは、家族の中で‘男’とみなされ、早く‘おとな’にならなければなりませんでした。そんなマーモウドくんですが、避難キャンプでの生活にすぐに順応し、今は、家族のために、1日2回、責任を持って水汲みをしています。ついこの間も、午前3時から8時までの5時間、水飲み場の列に並んでいました。
マーモウドくんは、「以前は、同じ年頃の子どもたちと学校について話すことができなくて、悲しかった」と言います。しかし、キャンプの中に新しい学校が出来たおかげで、モーマウドくんは、ついに教育を受ける機会を得たのです。