公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第56報
ユニセフ本部とユニセフ協会(国内委員会))
3日(本日)、世界規模のキャンペーンをスタート

【2012年4月3日 ニューヨーク発】

© UNICEF Chad/2012/Tidey
深刻な栄養不良の子どもを膝に抱える女性(チャドで撮影)。ユニセフは、100万人を越えるサヘル地域で栄養不良の危機に瀕している子ども達の支援を急いでいる

アフリカ・サヘル地帯で食糧不足が深刻化する中、重度の栄養不良で命の危機に瀕する100万人以上の子どもたちを救うために、ユニセフは、世界規模の緊急募金キャンペーンを始めました。

このキャンペーンのキックオフにあたり、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、現地時間3日より、干ばつ被害、食糧価格の高騰、内政不安といった三重苦にあえぐ8つのサヘル地帯の国のひとつであるチャドを訪問する予定です。

「私たちは、サヘル地帯の子どもたちの苦境に対する世界の注意を喚起したいと思っています。今、サヘル地帯で起こっていることを、世界中の人々に、時機を逸することなく知っていただきたいと考えています。」と、ユニセフ緊急支援本部のルイ・ジョージ・アーセノウ局長は語っています。

被害は数百万人にも

ブルキナファソ、カメルーン、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガルに広がるサヘル地帯では、1500万を超える人々が、干ばつの危機に直接晒されています。この地域に住む人々は、もともと様々な困難に耐えてきた人々です。しかし、度重なる緊急事態に、その抵抗力も弱まりつつあります。サヘル一帯は、2005年から2010年にかけて干ばつに見舞われ、多くの家庭が、主な収入源であった家畜を売り、現金収入を得る仕事をさせるために子どもを学校から連れ戻し、さらに借金を抱えながら、わずかな食べものだけで日々を過ごしています。

アフリカ干ばつ緊急募金サヘルからの第3報(ナレーションなし)

ユニセフは、重度の栄養不良で救命措置を必要としている100万人の5歳未満の子どもたちに治療を目的とした給食を与えるためには、約1億2千万ドルの資金が必要としています。しかしながら、これまでに確保できた資金は、その32%に過ぎません。

アーセノウ局長はこう続けます。「われわれの対応が遅くなり、多くの命が失われてしまう前に、そうした対応を強化するだけの資金の確保をしなければなりません。サヘルの危機が、もっと広く世界に認識されて欲しいと願っています。」

ユニセフは、過去7ヶ月間にわたり、サヘル地帯で拡大しようとしている莫大な支援ニーズに応えるため、食糧や栄養補助食品などの支援物資を調達。支援拠点に輸送し、また追加の支援要員を確保してきました。これらの膨大な作業は、サヘル8カ国の政府や、他の国連機関、NGOなどと協力して進められています。

「もし、われわれが適切な対応をできなければ、重度の栄養不良の子どもたちの数は約140万人にも達すると予想されます。私たちは、尋常で無い数の子どもの命の問題に直面しているのです。」(アーセノウ局長)。

子どものニーズに一刻も早く応えるために

これらの危機に重なるのは、マリで急速に拡大している治安の悪化です。マリでは、反政府組織が20万人以上の人々を強制的に国外退去させています。ユニセフは、こうした祖国を追われた人々のニーズに対応するためにも活動しています。

ユニセフはこうした緊急事態に対応する一方で、サヘル地帯の子どもたちの長期的な抵抗力を強化していくための準備にも取り組んでいます。

「われわれが訴えているのは、子どもたちの間に広がる重度の栄養不良問題だけでなく、その解決のためには、より包括的なアプローチを必要とする危機の問題です。安全な水、適切な衛生環境、そして予防接種を提供できなければ、この危機を克服するために必要十分な効果をあげることは難しいでしょう。」(アーセノウ局長)。