HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > シリア緊急募金
財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第31報
トルコのアクチャカレ難民キャンプに避難した16歳のシリアの少女

【2013年2月14日 トルコ発】

© UNICEF 2013/Raji
シリアの自宅からトルコ南東部のアクチャカレ難民キャンプへの避難を余儀なくされたハラさん(16歳)。この難民キャンプは、シリア難民のために、トルコ政府が15箇所設置した難民キャンプのうちのひとつです。

ハラさん(16歳)が、シリアの自宅から避難を余儀なくされ、家族と共にトルコのアクチャカレ難民キャンプに向かったのは、午前3時のことでした。サンリウルファにあるこの難民キャンプは、シリア難民のために、トルコ政府が15箇所設置した難民キャンプのうちのひとつです。

ハラさんの自宅の近隣で激しい爆撃が勃発。ハラさん家族は、国境を越えて避難せざるを得なくなりました。「爆撃音が至るところで聞こえていただけでなく、人々が亡くなっていく様子を目の当たりにしました」「避難していますが、私たちの心は、シリアに残る親戚や愛する人々と共にあります」ハラさんはこう話します。

悲痛な状況

14日現在、トルコに避難を強いられたシリア難民の総数は17万人。その約半数に及ぶ推定9万人は、子どもたちです。当初、アクチャカレ難民キャンプは、最大2万3,000人を収容できるように設計されていましたが、現在、3万6,000人がこのキャンプ地で避難生活を送っています。トルコ当局は、難民の増加に伴い、基礎的なサービスの需要も増えていることを憂慮しています。

こうした状況を受けて、ユニセフは、パートナー団体と共に、難民キャンプにある課題を解決し、子どもたちに教育や補習授業を提供するため、支援活動を拡大しています。

ハラさんは、シリアでの武力紛争のために、今学期は学校に通えなくなってしまいました。しかしながら、難民キャンプに設置された臨時の学校に通うことができたことを嬉しく思っています。

「今の段階では、学校は完全なものではありませんが、少なくとも、いつかシリアの家に戻って、普段通りの生活を再開できるだろうという希望を与えてくれます」ハラさんはこう話します。ハラさんの最大の懸念事項のひとつは、シリアの学校に戻ることができても、シリアの教育システムに、ハラさんの受けている学位のコースが承認されるのかどうかとうことです。

この先の課題

「トルコ当局は、シリア難民のために、保護、支援、安定性を何とか確保しています」「無数の命が救われました。また、何千人もの子どもたちが食事を与えられています。しかし、難民の女性と子どもたちの状況は、いまだに非常に厳しいものです」ユニセフ・トルコ事務所のアイマン・アブラバン代表はこう話します。

冬に入り、ユニセフは、パートナー団体と共に、アクチャカレ難民キャンプの子どもたちのために、上着や長靴を含む防寒着約1万3,000セットを調達し、配布することができました。また、ユニセフ・トルコ事務所は、トルコに避難を余儀なくされたシリア難民の約2万2,500人の子どもたちのために、支援物資の提供やインフラ設備の整備、安全な学習とレクリエーション活動が行える環境を整えるための支援も展開しています。

子どもが安心できる環境の整備

今月、ユニセフは、9万7,000人の避難を余儀なくされている子どもと若者のために、安全で、参加型の、包括的な教育やレクリエーション活動を実施できる空間を確保するべく、1年半にわたる支援プログラムをスタートする予定です。こうした活動は、子どもたちが、安定感や日常の感覚を取り戻す一助になるのです。

「ユニセフは、トルコ政府がパートナー団体と共にスタートした、武力紛争の影響を受けた子どもたちを癒すための重要で新しい取り組みが継続していけるよう、最善をつくします」「教育とレクリエーション活動は、一見人命救助の支援活動とは関係がないように思われるかもしれません。しかし、子どもたちの命を救う活動に大きく関係しています」(アブラバン代表)

ハラさんに願い事を尋ねると、ハラさんは、ただ家に戻りたいと答えました。ハラさんは、難民キャンプで提供されている全てのサービスに感謝していると同時に、シリア国内に留まっている友人や家族のことを案じていると語ります。「爆撃を逃れた人でも、寒さや飢えで命を落としている人もいます。世界中の人々に、訴えたいと思います。シリアの人々は、皆様一人ひとりの助けを求めています」