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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第44報
シリアと周辺国 はしかの集団感染が拡大
ユニセフ 大規模予防接種キャンペーンを強化

【2013年4月30日 ジュネーブ/アンマン発】

予防接種は最も費用対効果が高い取組み

© UNICEF Iraq/2013/Abdulmunem
イラクのドミズ難民キャンプで、ユニセフの支援を受けてはしかと髄膜炎の予防接種と共に、ビタミンA剤の投与を受ける子ども。

ユニセフとパートナー団体は、シリア、ヨルダン、レバノン、イラク、トルコでの予防接種キャンペーンの強化に乗り出しました。何百万人もの人々がシリア内戦の影響を受け、懸命の人道支援活動が行われているこれらの地域では、はしかの集団感染が拡大しています。はしかは、不衛生な環境や不十分な栄養、多くの人が身を寄せている環境下では感染が拡大しやすく、命を奪いかねない感染症です。

「シリア国内では、少しでも安全な場所を求めて多くの人が移動する一方、既存の保健サービスが崩壊しており、感染症拡大防止のための取組みが求められています。子どもたちがどこにいようとも、はしかのように命に関わる感染症から守らなければなりません。予防接種は、最も費用対効果が高く、我々にできることです」と、ユニセフの地域保健アドバイザーのマヘンドラ・シェスは言います。

国内外で増え続けるシリア難民・避難民

シリア危機から2年以上が経過。140万人以上のシリア難民が、レバノン、イラク、トルコ、エジプトといった近隣諸国への避難を余儀なくされています。いまなお、日に平均8000人ものシリア人が、国外へと避難している状況です。

シリア国内では、425万人がより安全な場所を求めて避難しており、その半数は子どもたちです。多くの人々が、またたく間に感染症が広まるような、狭く不衛生な環境での生活を強いられています。紛争は、国全体で行われていた定期的な予防接種プログラムを含む保健システムに、甚大なダメージを与えています。

はしかの集団感染が拡大中

はしかの感染が、イラクのドミズ難民キャンプでは、332件(2012年12月以来)、レバノンでは約300件(2013年1月以来)、シリアでは133件、ヨルダンでは、多くのシリア難民が身を寄せているザータリ難民キャンプで5件、トルコでは、この1年で3000〜4000件が確認されており、そのうちシリア難民の感染は300件報告されています。

4月24日〜30日「世界予防接種週間」にあわせ、予防接種キャンペーンを強化

© UNICEF Iraq/2013/Abdulmunem
予防接種キャンペーンの期間中、生後6ヵ月から30歳までの1万9000人以上がはしかと髄膜炎の予防接種を受けた。

ユニセフは、保健省やWHO、他のパートナー団体とともに、これらの国々で、すべての子どもたちを感染症から守るため、予防接種キャンペーンを強化しています。ユニセフとWHOの支援を受け、シリアでは、250万人の子どもを対象に国内全域で予防接種を行おっており、これまで55万人の子どもたちが予防接種を受けました。レバノンでは、今年だけで、シリア、レバノン、パレスチナの子ども46万2,000人が予防接種を受けています。

ヨルダンでは、ザータリ難民キャンプで大規模な予防接種キャンペーンを実施。シリア難民の子ども6万人がはしかの予防接種を受けました。加えて、国全体での予防接種キャンペーンが、近日中に実施される予定です。

イラクのドミズ難民キャンプでは、生後6ヵ月から5歳までのシリア難民の子ども1万9,300人が、ユニセフの支援によって、予防接種を受けました。トルコでは、保健省が29万2,000人ものシリア難民が身を寄せている8つの県で、予防接種の強化に乗り出しています。

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